どうも、SNYです。
診断士に登録されて1か月が経過しました!コンサルティング業務はまだまだ行えていませんが、公的機関の窓口相談や補助金関連のお仕事をいただきながら、何かと忙しくさせていただいております。
そんな中で、やはりAIの進歩を感じることが多いです。
1年と少し前くらいから一気に広がり、「これもAIでいいんじゃない?」という状況を最近は特に目の当たりにします。補助金の文章、戦略立案の方針、ちょっとした困りごとの相談役。
正直、文章の作成、数値の分析、定型業務の“考える”プロセスなど、これらの大部分はほとんどがAIに可能な仕事になってきました。なんだったら人間よりもスピーディに、正しくアウトプットしてきます。
しかしAIは、成果物には強くても“責任”が取れません。AIが行った仕事の責任は、結局はユーザーが受ける形にならざるを得ないということです。
AIに置き換えやすい仕事
高速で大量の文章作成
AIは、文章を「考えて書く」作業を大きく変えました。
会議録や企画書のたたき台のように、ある程度の型がある文章は、それを指示するだけで、早ければ数秒で出力されます。
それなりに読みやすく、構成も整えることができるため、書き出し最初の一歩をAIに任せることで、「考える」時間を大幅に短縮できます。
定量面の分析
財務分析のような数字をもとにした定量分析は、AIの得意分野です。
PDFやスプレッドシートなどのデータを読み込ませることで、特に整理されていなくとも分析をやってのけたりします(解釈を間違えることはまだまだありますが…)。
診断士の立場から言えば、こうした最初の分析をAIに任せることで、人間はデータにどう意味づけし、どう施策につなげるかという定性的な分析に集中できます。
つまり、AIが地図を示し、人がルートを決めるイメージです。
ルールが決まっているチェック業務
補助金などの申請書類のうち、転記する数値のチェックやフォーマットの項目確認など、ルールが決まっていて手順も明確な業務は、AIがとても得意です。
単調になりがちで定型的な作業のミスは抑えられ、スピードも速いため、効率がとても上がります。
それでも人が外せない「責任」業務
ただし結局のところ、AIは“やらかした”ときに謝れません。間違った情報を返して顧客が損をしたり、あんまりよくない表現をしたり。
そんなときに「AIが間違えたので…」という言い分が通用しないんです。ここが人が行う仕事との差ですし、人がAIと差別化できるポイントですよね(競争優位の強みです)。
つまり、
- 意思決定に署名(責任の明確化)をする役割
- AIが処理できない例外(業界特有の先鋭的な事項など)を考慮する役割
- 倫理感や法に対する監視役
これらは人間が背負うしかありません。業界に精通していて、意思決定の現場に立ち会う必要がある中小企業診断士は、こういった点で代替されにくいのかな、と思います(もちろん経営者も)。
AI活用のポイント
- “入口”より“出口”を決める
何をAIに任せ、どこで人がチェックするかを業務フローに落とし込む。 - 責任者を工数の中心に置く
AIで浮いた時間を“確認作業”に再配分し、時間当たりのアウトプットの質を高める(生産性を高める)。 - 研鑽・勉強を怠らない
担当者がAIの限界を知らないと丸投げ事故が起こる。あくまでも人が“AIの上司”となる必要がある。
まとめ
AIは「作業」を劇的に速く安くする一方、「責任」までは請け負わないツールです。
置き換えられるタスクを見極めつつ、最後にハンコを押す人間。そんな立場こそがこれからの価値であり、人間が現場にいる意味なのかもしれません。
AIを使うほど、人は「判断と責任」に集中する時代になります。AI導入=コスト削減ではなく、AI+人で抜け目をなくす成長戦略と捉えるべきでしょう!
今日の一問
中小企業診断士第1次試験 令和6年度 経営情報システム 第24問から出題です。
生成 AI に見られる現象の 1 つにハルシネーションがある。ハルシネーションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア AI が生成したデータを AI 自らが学習することで、言語モデルの精度が低下したり多様性が失われたりする現象のこと。
イ 事実に基づかない情報や実際には存在しない情報を AI が生成する現象のこと。
ウ 人間が AI との対話中に、その AI が感情や意図を持っているかのように感じる現象のこと。
エ 人間が AI を反復的に利用することで、特定の意見や思想が正しいと信じ込むようになる現象のこと。
オ モデル訓練時の入力データの統計的分布と、テスト時/本番環境での入力データの統計的分布が、何らかの変化によってズレてくる現象のこと。
解説
正解:イ 事実に基づかない情報や実際には存在しない情報を AI が生成する現象のこと。
ハルシネーションとは、生成AIがあたかも本当の情報であるかのように、事実無根の内容や存在しない情報を出力してしまう現象のことです。特に近年のモデルは自然な言い回しや表現がうまく、それを重視して出力されるため、間違った情報であっても“正しく見える”点が厄介です。
AIが自信満々に間違いを話す場面がハルシネーションです。実在しない法律条文を作ってしまったり、架空の人物の発言を引用したりするケースが該当します(著名人の名言はとにかく間違えてきます。どうしてでしょうね…)
各選択肢の解説は以下。
ア:「精度低下・多様性の喪失」
これはAIが自分で生成したデータを再学習することによって起きる「データの劣化」や「モード崩壊」などの問題であり、ハルシネーションとは異なります。
ウ:「AIが感情や意図を持っているように感じる」
これは「擬人化」や「エルゴン効果」と呼ばれるもので、AIを人間的に捉えてしまうユーザー側の心理的現象です。
エ:「特定思想への偏り」
これは「エコーチェンバー現象」や「フィルターバブル」と関係が深く、AIの現象というよりも人間側の認知の問題です。フィルターバブルに関しては近年の問題で頻出ですね。
オ:「データ分布のズレ」
これは「コンセプトドリフト」や「データシフト」と呼ばれるもので、学習時と実運用時でデータの性質が異なることによる性能低下の問題です。
本日はここまでとします!次回もどうぞご覧ください!