本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例2 60点) とっつぁん
こんにちは、とっつぁんです!
今回はR6年度本試験事例2の再現答案の解説をさせていただきます。
なお再現答案については、助詞などの使い方が適切でない文章もそのまま残していますがご了承ください。
試験終了後に本試験で実際に記載したと思われる内容を整理した結果ですので、試験で解答したリアルを感じていただければと思います。
各設問の再現答案と解説
1 問(配点 20 点)
B 社の現状について、SWOT 分析をせよ。各要素について①~④の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。
S)
経営者のオリジナル商品開発力、地場産業に関わる方々との連携、大消費地に近い。
W)
オンラインの有用性を活用できていない、顧客の顔を直接見ながら販売する機会の減少。
O)
オリジナル食器の提案依頼、旅先で食べた味わいを自宅で再現したい声。
T)
安価かつデザイン性に富んだ外国製陶磁器の輸入業者と100円ショップ。
S,Wは内部環境分析、O,Tは外部環境分析の観点で整理をしました。
いずれも2つ以上の切り口となるように意識しました。
与件文からは候補がいくつも出てきていましたが、他の事例同様、SWOT分析(第1問)は第2問以降の解答との関連性があるものから優先的に選択していきました。
なので、候補のリストアップは序盤にしていましたが、実際に選んだタイミングや解答用紙に書いたタイミングは、設問4つの中で一番最後だったと思います。
第 2 問(配点 25 点)
X 市は、ふるさと納税の返礼品として X 焼を活用したいと考えている。現在でも市の返礼品の中に X 焼はあるが、全国の返礼品の中で埋もれている状態にある。
3 代目は、X 市から「返礼品の中でもっと目立ち、市と X 焼のファンを増やすような返礼品の企画を考えてほしい」と依頼を受けた。ブランド価値構造のうち、消費者にもたらす感覚価値と観念価値を意識して、返礼品の企画を 100 字以内で提案せよ。
企画は①地元食材とオリジナル陶器の地元デザイナーズホテルとコラボで、ホテル気分を感じられる商品を提供②クリエイター志望の窯元のオリジナル陶器で返礼品で育てるX焼をコンセプトに提供する。
この設問は、『ふるさと納税』という与件文に登場しないテーマでしたので、”与件文とのリンクができない”イレギュラーな問題だと考えました。
そのため、”設問文に忠実に解答する”を意識し、設問文の整理と与件文から活用できそうな情報を抽出し整理をしました。
加えて、”感覚価値・観念価値”という初見では少し混乱するような切り口が設定されている特徴があります。(実際混乱しました)
解答の段階では、感覚価値は気分が上がるものをイメージしたのですが、観念価値ってなんだっけ??という状態でした。
感覚価値は言い換えるとコンセプトではないかと考え、何かしらのコンセプトになり得るような情報を与件文から参照し解答しました。
特に企画自体が「市と X 焼のファンを増やしたい」という目的でしたので、市・X焼の特徴を活用する+特別感があるようなことや長期間関係性を築けるような内容を意識しました。
第 3 問(配点 25 点)
X 焼には窯元それぞれの魅力があるため、 3 代目は、消費者がいろいろな窯元の陶磁器を手にとれる機会をつくりたいと思っている。しかし、陶磁器祭りで接客をしていると、「あれもこれも欲しいが、家にはもうたくさんの食器がある。収納スペースがないし、今あるものも捨てられない」と購入をためらう食器愛好家の声をよく耳にする。
3 代目は、自社や窯元の事業機会拡大を図る一方、こうした食器愛好家のニーズを充足する新規事業を手がけたいと考えている。どのような事業内容にすべきか、100字以内で提案せよ。
内容は①食器愛好家の食器を宿泊施設や飲食店にレンタルし陶器を捨てずに活用する事業②サブスクリプション型で様々な窯元の陶器を愛好家が欲しいものを欲しい時だけ使用できるようにする事業。
設問文の内容がかなり具体的な情報で設問文のみで問いが完結するような構成であり、第2問同様に与件文に登場しないテーマでしたので、”与件文とのリンク”を考えるのではなく、”設問文に忠実に解答する”を意識しました。
また、比較的”アイデア”をもとにした解答が必要になるだろうということも情報整理の段階で感じました。
切り口としては、「自社や窯元の事業機会拡大を図る」ことと「食器愛好家のニーズを充足する」ことの2つを同時に満たす新規事業であることでしたので、
・自社や窯元の事業機会の拡大:陶磁器を使用するシーンを拡大する、継続的に陶磁器を提供し続けられる
・食器愛好家のニーズ:陶磁器を捨てない、欲しい陶磁器があればその都度使えるようにする
と整理して、それらを組み合わせた記載としています。
レンタル、サブスクリプションは上記を実現するための事業を連想することができるようにするためのキーワードとして記載しました。
第4 問(配点 30 点)
EC サイトの新規顧客は増えたが、 3 代目は顧客の顔を直接見ながら販売できない寂しさも感じ始めた。
3 代目は、今後は、X 市の地元で開く店舗と EC サイトの両方を利用する顧客を増やしていきたいと考えるようになった。B 社にはどのような施策が必要か、150 字以内で具体的に提案せよ。
施策は①明るく開放感のあるスタイリッシュな空間のカフェで自社で扱うX焼と地元食材を使用した朝食を季節や月毎に変えて提供し、大消費地からの毎月の来店を促す②自社で扱うX焼と地元の食材と発酵調味料を季節や月毎に変えた夕食セットをECサイト上で販売し旅先で食べた味わいを自宅で再現したいニーズに対応する。
この設問では、”店舗”と”ECサイト”という異なる販売チャネルではあるものの、店舗・ECサイトで相互の関係性でリピートされるような施策となるよう意識しました。
実店舗の施策に記載している「大消費地」は第一問のSにも記載している立地面での強みです。(第1問のSの解答と繋げています)
キーワードとして与件文の内容を記載したことはもちろんですが、同じ商品では長期的なリピートは難しいと思いましたので、一定頻度でリピートしてもらえる=固定客化を想定した施策としました。
店舗とECサイト提供する商品が同じような内容になっていますので差別化できれば良かったのですが、時間の都合もあり情報整理ができなかったので重複なむなしで解答しています。
最後に
※記載内容には他の再現答案解説との重複があります
よく言われることではありますが、他の事例も含め解答において意識していたことは大きくこの2つだけです。
①設問文、与件文に忠実に。客観性をつけるために設問文・与件文の記載内容を単語レベルでも活用した解答とする。
まず、理由は?狙いは?施策は?などの問いに対して、解答の”主語”を間違えないこと。これは、解答作成における最重要事項でもあると思います。
私は、設問文を読むと同時に、解答用紙と解答下書き欄にまず主語だけ書いておくことで、問いに対して解答の方向性がズレないように意識していました。
加えて、時間軸や切り口などの制約も漏らさないように気をつけます。
この事例では、第2-4問で「提案せよ」という問題が3問出ましたが、それぞれ企画・事業内容・施策でしたので、これらを主語にした記載としています。
第2-3問は与件文とのリンクではなく設問文の内容から切り口を判断し、それに合う情報を与件文から抽出することで対応しました。
また、事例企業に対する診断・助言ですので、企業の状態を考慮しているということが伝わるように、必ず設問文・与件文に記載されている内容を活用します。最低限では、特徴的な単語ひとつでも良いと思います。
例えば、第2問では『感覚価値・観念価値』という見慣れない単語が制約条件として出てきました。
この2つが解答の切り口になるわけですが、ストレートに意味がわからない・忘れてしまった場合でも、それらから連想できるキーワードを活用することで制約条件を満たす解答になるよう対応しました。
一方で、相談を受けている”中小企業診断士”の立場ですので、中小企業診断士としての知識・スキルを活用していることがわかるような内容とする=文の抜き出しだけにならないようにすることも重要です。
②第1問から第4問までがストーリーとなるような繋がりのある解答とする。
事例問題は、企業の現状分析をもとに戦略を考える(助言する)というストーリーです。ですので、一貫性のある解答を意識します。
最終的には戦略の助言をするため、事例2に関しては第1問以外を最初にまとめ、第1問まで順に戻るように意識して解答をしていました。
第1問でSWOT分析が出題されることの多い事例2においては解答を書きやすい第1問をすぐに書いてしまいがちですが、SWOTとして選んだ理由を解答の一貫性として表現することが重要ですので、先に解答の候補は出しておきつつもSWOT以外の問題を優先的に整理することが必要です。
ただ、SWOT以外を先に整理仕切れないこと当然あるので、SWOT以外を最初に大枠の整理をすることはMustとしつつ、場合によっては記載が最後になることがあっても良いと思います。
試験本番では、事例演習を行っている時にできていることが、良くても同じレベルまでしか発揮できません。
試験時間の過ごし方や解答に至るプロセスや考え方、書き方は、再現性のある自身の”型”として定着させれば、試験当日の初見問題に対しても落ち着いて向き合えるようになるはずです。
満点解答がわからない試験ですので、合格者の解答もさまざまですし、解答を導くまでの型もひとつではありません。
ご自身に合う型を見つけ、定着させ、本試験に挑んでください!
以上