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わたしの再現答案リアル解説(R06事例4 61点)【雄町】:第8回

本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例4 61点) 雄町

本試験まで残り2週間!
直前期は平静でいられなくなることもあると思いますが、どうか落ち着いて、今までやってきたことを思い返して本番に臨んで欲しいと思います。残りの2週間はアルコールもやめときましょう。


今回は事例Ⅳの振り返りです。
まず、私は事例Ⅳがとにかく苦手です。もともと数学が残念なのも相まって、模擬試験でも過去問でも60点に届いたことがほとんどありませんでした。ですので他の事例よりも学習時間を多く取って、イケカコを写経して、結局ミスだらけでどうにかこうにか届いたのがこの61点でした。
戦略としては、「私の能力では点数の取れる部分は限られる」ことを意識していました。具体的に第一問の指標分析と第四問の記述問題は取れるところなので、時間を割いてもいいから全部の箇所を埋めることでした。その次にCVPが来て、たいていミスをするNPVは後まわしです。今回は第一問→第四問→第二問→第三問の順番で行ったと思います。

第1問(配点25点)

(設問1)D社および同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較してD社が優れていると考えられる財務指標を1つ、劣っていると考えられる財務指標を2つ取り上げ、それぞれについて、(中略)①の欄に優れていると考えられる指標を、②、③の欄に劣っていると考えられる指標を記入すること。(以下略)

① 有形固定資産回転率 11.26回
② 売上高総利益率 59.01%
③ 負債比率 606.94%

第一問は例年通りの出題で「よしきたっ!」と思いました。ここで失点してしまうと他に取れるところがないので、絶対に落とせません。「収益性」・「効率性」・「安全性」の指標を一つずつ探し出し、設問2との兼ね合いも考えて指標を選びました。私は当たりをつけて指標を選ぶということができなかったので、いつもほぼすべての指標をまずは計算していました。時間はかかるぶん、「収益性」における費用比率も見ることができるので、今回の問題であれば営業利益でなく、おおもとの売上高総利益率を選ぶことができました。

(設問2)

D社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を80字以内で述べよ。

一貫体制の構築により効率性に優れるが、地元産食材のメニューにより原価率高く、経営成績が悪い。一貫体制の構築・維持の負担が重く資本調達構造の長期的財政状態が悪い。

設問1との兼ね合いもありますが、因果表現の「因」の部分は与件文の言葉をなるだけ使うようにしていました。「果」の部分は、「財政状態→安全性」・「経営成績→収益性と効率性」はパターン化して覚えておいて、それぞれの指標の表現のキーワードを暗記して当てはめるようにしていました。ただ、今見ると安全性の因果表現はちょっと噛み合っていないですね…

第2問(配点20点)

(設問1)取引先のX社から最大6,500袋を購入したいという引き合いがあった。ただし販売価格3,000円での納入を打診されている。D社としては加工事業のテコ入れを検討しているという事情もあり、引き受けを検討している。一方で、新たにY社からも、次期に最大4,200袋を購入したいという引き合いがあった。(中略)4,800円で納入することが打診されている。(中略)X社およびY社と交渉したところ、両者とも注文数量に応じてくれることが分かった。次期の営業利益を最大化するための生産数量と、その時の営業利益の額を答えよ。(以下略)

(a)6500 袋
(b)240 袋
(c)2,670,800 円
(d)
それぞれの限界利益はXが1220円、Yが1420円。機械作業時間あたりはX610円、Y568円。そこでXを6500袋=13,000時間を製造した後、残りの600時間分のYを240袋つくる。
X:1220×6500袋=7,930,000円  Y:1420×240袋=340,800円
8,270,800円-FC5,600,000=2,670,800円

X・Yそれぞれの直接作業時間・機械運転時間あたりの限界利益が両方ともXの方が高かったので、より制約の厳しい機械運転時間の範囲でXを限界まで作って残りぶんでYを作ればいいということに気付いたのは良かったのですが、それに飛びついたせいで線形計画法の考え方に全く及ばなくなっていました(過去問や模試でもやったのに!)。問題の答えこそあっているようなのですが、制約当たりの時間単価が変わったとしたら答えられなかった可能性があります。

(設問2)Y社から、最低でも2,400袋以上購入することを希望しており、また販売価格の引き上げについては交渉に応じる旨の連絡があった。なおD社は、設定した販売価格の下で営業利益を最大化するように生産数量を決定するという方針をとっている。生産数量についてのY社の希望に応じるためには、Y社向けの製品の販売価格を何円以上に設定すればよいか。(以下略)

(a)4894.5 円
(b)Y社2400袋×2.5h=6000h 、X社は13600-6000=7600h(3800袋)
値上げ分をZとおくと
(3800袋×1220円)+(2400袋×(1420円+Z))≧8,270,800円  Z≧94.5円

右辺が値上げ分を考慮しておらず、(240袋×Z円)を足せていないですね…
ただ、この問題はそもそも「何円以上に設定すればよいか」と聞かれているので、整数で答えるべきですよね。大きな点でも細かい点でも間違ってしまっていました。

第3問(配点30点)

(設問1)初年度および2年度のキャッシュフロー更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。(以下略)
(a)41 万円
(b)46 万円

(設問2)この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。ただし、資本コストは9%とする。(以下略)
(a)△116.77 万円
(b)旧機械の減価償却費は20/年、新機械は60/年、差額は40/年。(単位:万円)
1年目CF=41×0.917=37.597
2年目CF=46×0.842=38.732
3~9年目CF=(61×5.033×0.842)+(40×0.460)= 258.504946+18.4=276.904946
CF合計は353.233946
投資額は△540+70=△470万円
よってNPV=△116.766054≒△116.77

NPVがマイナスになっているときは、たいていミスしているときですから、計算が終わって全身から嫌な汗が出てきたことを記憶しています。時間的に直すことはできなかったので、そのままにしました。
実はこの問題、模範解答が出てくるまで何をどう間違ったのかずっとわからなかった問題でした。間違っていたのは、与件文に「営業利益は」とあるのにCIFと思い込み、初年度であれば30万円からもう一度減価償却費を引いてしまったことでした。それを全部の年にやってしまっているのでCF合計は低くなって当たり前でした…これさえなければ、残りの表の数値の置き方は同じだったので、本当に惜しいことをしたなぁと思います。
あと一歩のところまでたどり着いていたとみるべきか、その一歩の差が大きいとみるべきか、この差がきちんと得点を取れる方との分水嶺なんだろうなぁと思います。

(設問3)D社は、営業利益の予測が正しいかどうかを探るため、初年度期首に30万円をかけて市場調査を行った。その結果、営業利益は60%の確立で予測どおりとなるが、40%の確立で価格競争の激化により予測の7割にとどまることが分かった。なお、営業利益が減少する場合でも、運転資本の残高に関する予測に変化はない。このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。(以下略)
(a)空白
(b)実行すべきで ない
(c)空白

設問1でマイナスのNPVになってしまったので、これは深入りしてもだめだなと切ってしまった設問です。減価償却費の計算過程ぐらい書いておけば部分点がもらえたかもしれません。今からみても、期首の市場調査費をきちんと埋没原価だと気付けるか微妙です、たぶん投資CFに組み入れてしまうんだろうなぁ…と思い、やっぱり事例Ⅳ難しいと思います。

第4問(配点25点)

(設問1)D社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利潤を上乗せした価格を用いている。D社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の評価を行う上でどのような問題点があるのか、80字以内で説明せよ。

問題点は、①飲食事業部と惣菜事業部の経営状況がそのまま加工事業部の成績に反映されてしまうこと、②上乗せ利益の水準次第で、加工事業部の成績が上昇してしまうこと。

今、自分の解答を見ていて、私は何が言いたかったのでしょうか…(苦笑)。
一応「問題点」と聞かれているので、その題意自体は踏まえているのですが、特に①は中身がよくわからないです。
ここは全部原価を使うことの不備を指摘するのが適切だと思いました。

(設問2)D社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を60字以内で説明せよ。

留意点は、社長の一存で投資が行われた場合、事業部長の裁量外で効率性やROAが低下してしまい、正しく業績評価が行えないこと。

まず、ROAじゃなくてROIですね。この設問に似たようなのはイケカコでもあったので覚えていたんですけど、ダメでしたね…(涙) 答え方も留意点というより問題点の指摘になっていますね。
実は第四問はメモが残っておらず、どうも解答用紙にそのまま書きしていたようなのですが、やっぱりよろしくない解答になってしまっています。きちんとメモで回答骨子を作ることが重要です。

まとめ

長々と読んでいただき、ありがとうございました。このミスだらけの解答でも60点ついているので、相当ゲタを履かせてもらったことは想像に難くないです。
私のように事例Ⅳが得意でない方は沢山いらっしゃると思います。その方々にアドバイスできることがあるとすれば、
「取れるところで取る(できない問題はやらない)」でしょうか。取れる問題と取れないであろう問題をすばやく見極めて優先順位をつけてやってみてください。
その上で取り組む問題は手を動かし続けることを意識していました。指標問題であれば全部の指標を計算したり、NPVであればちゃんとCF表を書いたりすることです。手が止まったら恐らくずっと止まることは今までの経験で分かっていたので、作業興奮ではないですが80分間集中力を切らさない感じでやっていました。

ようやく4科目の振り返りが完了しました。次回からはまた別のテーマで、実務補習のことなど書かせてもらえればと考えています。
みなさん試験当日がんばってくださいね!!

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