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中小企業診断士として答えよ 〜世界はそれを仁と呼ぶんだぜ〜

皆さんこんにちは。「馬車の第五輪」です。

1次試験が近づいて来ましたね。
僕自身、7月は蝉の声とカフェの強すぎる冷房と寝不足の季節、という刷込みが体に染み付いてしまっておりますが、
冷静に振り返ると、最初の合格以降直前期は「小企業診断中小企士問題演習アプリ(TAC出版)」しかやっていませんでした(色々資格を受けたりはしてみたものの)。スマホで場所を問わずひたすら繰り返すことができ、知識の定着が図れお気に入りでした。

この時期、「あれもやってないこれもやってない!」と焦りがちですが、自分で決めた問題集(過去問)でしっかり基礎を固め、「あとは本番で全身全霊を傾けて考える」という姿勢で合格可能だと思います。特に2回目以降の皆さんは、肩肘張りすぎないでいいのではないか、というのが経験者(サンプル数1)としての感想です。

さて、そんな時期でも2次試験の話題ですみません。

「中小企業診断士として答えよ」の解釈

今回は、2次試験に挑む者なら誰もが一度は疑問に思うフレーズ「中小企業診断士として答えよ」について、いささか異説的ながら(いつもですが)思うところを書いてみたいと思います。

「中小企業診断士として、100字以内で述べよ」「中小企業診断士として、〇〇字以内で助言せよ」という出題が、主に事例Ⅰ、事例Ⅲで頻出しています。
「中小企業診断士として」はあってもなくても意味が通じるにも関わらず、このフレーズがある設問とない設問があるのはなぜか?どのような解答を要求する制約条件なのか?
明快な答えが示されていないため多くの受験者を悩ませています。
これまでも尊敬すべき講師先生、先輩諸賢の説得力のある説明がなされており、
・事例企業の分析に基づいた助言をすること
・過去ではなく、未来について答えること
・経営者の想いに傾聴すること
と、とても納得感のある説明がいろいろな場所でなされています。このような理解をしておけば試験対策上問題ないと思いますが、
もっと感覚的、直感的に理解するためのキーワードが、「仁」なのではないかと考えました。

仁とは?

仁は、いわずもがな、伊藤仁斎(1627〜1705)をして「最上至極宇宙第一の書」と言わしめた『論語』に説かれ、人間の最高の徳目とされます。
南総里見八犬伝に出てくる仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌とか、そういうやつです。

仁の説明は一般的に「主に『他人に対する親愛の情、優しさ』」と説明されます(wikipediaより)。
これだけでも奥が深そうですが、
「仁」をもっと拡大解釈して、「学習回路を作動させて、活性・維持している状態」とする言説に触れ、膝を打ちました。
その説を、もう少し詳しく説明します。
「仁」を考えるにあたって、まず「仁」でない状態、「不仁」を考えます。
「不仁」とは、中国医学(漢方とか)では「手足などがしびれて、感じのなくなること。麻痺した状態」「血がかよっていない状態」をいいます。
仁であるときに(=不仁でないときに)はじめて人は硬直的思考から脱して学習回路を作動させ、創造性を発揮することができる。
論語には「君子は器ならず」という一節があります。
「器」とは機械、道具で、自ら考えることはなく作動することしかしません。「不仁」と「器」は近い概念なのではないかと考えられます。

「中小企業診断士として」求められるもの

中小企業診断士に求められるものは、経営に関する専門的知識はもちろんですが、それは1次試験で主に問われるため、2次試験では、
いうまでもなく「診断・助言」の能力が試されます。
語弊があるかもしれませんが、つきつめると、事例企業をただしく「診る」ことが求められているといえると思います。

2次試験でよくやってしまうミスとして、次のようなものがあります。
・学んできた知識に固執して、与件と関係ないことを書いてしまう
・自分の経験やアイデアに固執して、制約条件を外してしまう
・思考が硬直的になって、与件の因果やわざわざ表現を見落としてしまう

これらは、厳しい言い方ですが、目の前の事例企業を「ただしく診ることができていない」ことに起因するものと思います。
なぜ「診ることができていない」のか。それは、少なからず上述の「不仁」の状態に陥ってしまっているからではないでしょうか?

心と頭が麻痺状態で、目の前の事例企業と関係のないことを診断、助言しているのとしたら、それは診断士ではないでしょう。

 

よく言われることですが、診断という意味では医者の医療行為と共通点があります。
患者を前にしていながら、患者のことをよく診ず、過去のデータや自分の思い込みに固執する医者にかかるのは本気で御免被りたいですよね。
「医は仁術なり」
昔からの格言ですが、「診断士のコンサルは仁術なり」といっても過言ではないのではないでしょうか(やはり過言でしょうか)。

結論、上述の仮説に基づけば、「中小企業診断士として答えよ」という設問は、
たとえば事例Ⅰであれば、
中小企業診断士として、(A社はこの事例にしか出てこないA社であって、過去問や新作事例のA社ではない。A社の歴史、A社を取り巻く外部環境、内部環境、社長の想い、固有の組織の構造・文化、人事制度等を様々な角度からA社のことをしっかり診て)答えよ。
ということになります。

最後に、昔から妙に心にひっかかる一節が、今回のテーマに沿うような気がするのでご紹介して終わります。R.P.ドーア「江戸時代の教育」より

「人人人、人人。人人人、人人。 人ノ人タル人ハ、人ヲ人トス。人ノ人タラザル人ハ、人ヲ人トセズ。」

 

今回も、勝手気ままな放談にお付き合いいただきありがとうございました。
最後まで読んでいただけて、心から感謝です。

【参考文献】
生きるための論語 安冨歩 ちくま新書
あわいの時代の『論語』ーヒューマン2.0 安田登 春秋社
流れとよどみー哲学断章ー 大森荘蔵 産業図書

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