百術不如一清

はじめましてこんにちは、「馬車の第五輪」と申します。

これまで長らく一読者としてチェックしてきた本ブログに、自分の記事を発信する日が来ようとは!!

まったく、よもやよもやです。

これから1年ほどこちらでお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。

私は中小企業診断士を志したのが2013年1月ですから、足掛け9年、今回8回目となる二次試験で合格したことになります。

立志編から現在までの顛末を綴るにはあまりに時が経ちすぎておりますので、学習開始当時と現在との状況変化を一望してみようと比較表を作ってみました。

9年間の状況変化比較表

学習開始当時(2013年1月) 現在(2022年3月)
年齢 32歳 41歳
勤務先 埼玉県 徳島県(ちなみにこの間、石川県、茨城県にも勤務)
家族構成 妻と二人暮らし 2015年石川県勤務時代に最愛の娘誕生。現在は6歳。私は徳島で単身赴任中。
保有携帯 ガラケー iPhone
保有資格 特になし CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、ビジネス実務法務2級

(秋の実務補修を経て中小企業診断士資格取得予定)

趣味 読書 合気道
休みの日によく行くところ ゴルフ練習場 道場、図書館
中小企業診断士資格への思い 生殺与奪の権を会社に握らせるな!そのための「知識」と「ステータス」が欲しい。 思考のOSをバージョンアップさせてくれ、多くの人と出会わせてくれたこの資格に感謝。

現実の中小企業の方々にどれだけの影響が与えられるか心から楽しみ。

長かった、、。三十路から四十路にかけてのサラリーマンの環境が一変するには十分過ぎるほど、あまりにも長い年月が流れました。

影も形もなかった娘がこの世に生を受け、ぼちぼち小学校に上がらんかという程の時間が(多くの方のツッコミポイントと思われるFPやら合気道やらのあたりは、追って記事にしてレポートしていきますね)。

念のために申し上げておきますが、決して遠大なる9ヶ年計画でこの資格を取ろうとしていたわけではありません。

当初の予定では1年半の学習で見事にストレート合格!というシナリオを大真面目に描いておりました。

「今年こそは絶対合格するから!」と毎年妻に新年の抱負を宣言して年を越し続けてきたのであります。

再起の春、うだるような暑さと睡眠不足の夏(一次対策)、金木犀の香りと希望と不安と緊張と木枯らし1号の10月(二次本番)、結果待ちに身悶える11月、呆然と失意のクリスマス、そして再起の春・・・。

「これが永劫回帰か」とシーシュポスの苦役に思いを馳せ、うっかり形而上の世界に永住しそうにな感覚が生じてきたところ、この無限ループを8回目にして脱することができたのです。

なぜ今年合格できたのか、二次試験1〜7回目と8回目で何がどう違ったのか、まだ完全に消化できているわけではありませんが、AAS東京でよくいわれる基本的な学習プロセスの考え方・姿勢である「守・破・離」(※)の「離」がキーワードになったのかな、と自分なりに考えています。

(※)「守・破・離」とは・・・

守破離(しゅはり)は、日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修行における過程を示したもの。日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している(wiki)。

今回は自己紹介代りに、そのあたりの考えをトピックスにしてみたいと思います。

百術不如一清(百術ありといえども一清に如かず)

私の中小企業診断士試験学習歴を振り返ると、平成30年度〜令和元年度にかけてAAS東京の本科で学んでいた時が質・量ともに成長のピークでした。今でも充実感とともに当時を振返ることがよくあります。

ちょうど仕事の繁忙度も落ち着いており、娘もまだ(比較的)手がかからない時期だったこともあって、AAS流の解法の習得や過去問の分析にかなり集中して取り組みました。それだけでは飽き足らず、近所の大学図書館にこもってアンゾフやバーナードの原著を紐解いてみたりしたのもこの時期です。

当然のように試験直前は5日間会社を休み、月曜日〜金曜日まで試験と同じ時間帯で事例Ⅰ〜Ⅳの過去問を解く、いわゆる「セルフ模試」を5日連続で行うなど「回峰行」修験者さながらの経験もしました。

(ずーっと見守り応援してくれていた家族の気持ちを思うと言葉もありません。本当に感謝です)

 

しかし、それでも結果は不合格

 

「まだまだ本質的な理解が足りない」「もっともっと勉強しなければ」と思っていたところ、AASの先生から、

「少し間をあけてみてもいいかもしれませんね」というアドバイスをいただき(普通の受験校だったらこのアドバイスはあり得ないですよね)、それからはいわゆる「詰め込み」をやめました。特に合格した今年は、オーバーな表現だと思われるかもしれませんが、一年を通じてほとんど勉強していませんでした。ずっと読みたかった本を読んだり、ずっと気になっていた別の資格を取ったり、ずっとやりたかった「合気道」に入門したりしながら、二次試験を受けたのです。

 

そして、合格。

 

結果を見たときは、本当に心臓が口からまろび出るかと思う程驚きましたが、事実は事実です。

思えば、不合格を続けていた間は、合格への執着、解法への執着、過去問への執着で思考が硬直的になり、詰め込んだ知識で溺れそうな状態で試験を受けていたのに対し、合格した今年はにわか仕込みの知識が何もないので、過去の学習で深く内面化していた知識と解法だけを頼りに臨んだことで、目の前の「診断・助言の事例」に素直に対応できたのかもしれません。

「百術ありといえども、一清に如かず」は、吉田松陰の叔父であり師匠である玉木文之進の座右の銘とのことですが、私のこの経験をピタリ言い表す言葉だと、勝手に解釈しています(いろいろな語義説明をみても微妙にニュアンスが異なるので本当に勝手な解釈です)。

そして、もしかしたらこれからの診断士としての心構えとしても重要な言葉になるかもしれない、という確信めいた予感があります。

ちなみに、『山月記』で有名な中島敦の最後の作品に『名人伝』という短編があるのをご存じでしょうか。

弓術の奥義を極めることを目指した人物が、奥義に達した時に、「奥義を極める」という初発の動機さえ忘れてしまうという逆説を語った物語です。

私と「名人」とは凡そ比ぶべくもないですが、ここで描かれていることの超縮小相似版が自分に起こったのかも、などと空想に耽っています。

掌編ともいえる超短編ですし、青空文庫などで無料で読めますので、興味のある方は(特に上述の「守・破・離」の「離」についてじっくり考えてみたい方は)是非ご一読されてみてください。

 

ペンネーム由来

初回ですので「馬車の第五輪」という珍妙なペンネームの由来を。

「馬車の~」は欧米圏で古くからよく使われる言い回しで 、馬車の5番目の車輪、つまりあってもなくても良いもの、本来不要のもの、無用の長物、という意味だそうです。遠回りに遠回りを重ね、8回目の2次試験でやっと中小企業診断士試験に合格した身であり、他の執筆陣の皆さんの有用な記事に紛れて一知半解で空回り全開の記事が混じっていてもそんなに悪くないですよね、という意味合いでのネーミングです。

また、この慣用句が自分にとってあやふやな語彙だったため言葉の意味の確認のためにググってみると、「第五輪」にはなんと「牽引自動車の連結装置」という意味があるということを発見しました(もしや常識ですか?)。

長くこの試験にチャレンジしてきた経験を踏まえ、半可通が「空回り・空騒ぎ」をしつつも、AASという強力な牽引車と合格を目指す皆さんを繋ぐ「連結部」として少しでも貢献できれば、というダブルミーニングの想いを込めて、これからも駄文を連ねて参りたいと思います。

「馬車の第五輪」、以後お見知り置きの程、どうぞよろしくお願いしたします!

ところで記事の長さに制限はないと聞いて思うままに長文を書いてみましたが、最後まで読んでくださった方は果たしていらっしゃるのでしょうか、、。

【参考文献】

「名人伝」中島敦 (角川文庫)

「修行論」内田樹 (光文社新書)

「世に棲む日々」司馬遼太郎 (文春文庫)

「シーシュポスの神話」アルベールカミュ (新潮文庫)

「鬼滅の刃」吾峠呼世晴 (集英社ジャンプコミックス)

・・・・・

最後に、我ながら本記事の第一稿があまりにも読みづらく辛気臭い文章だったので、エンタメ要素として今や国民的コミック・アニメになった『鬼滅の刃』の有名フレーズをところどころにちりばめてみました!お好きな方は探してみてくださいね。

ではまた次回、お会いしましょう!

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