R1のA社を深読み

こんにちは。AAS東京の三木です。

今日(4/11)は東京都中小企業診断士協会が主催するスプリングフォーラムの開催日でしたが、コロナウィルス蔓延防止のために中止になってしまいました。
昨年度の試験で合格し、実務補習を終えたフレッシュな新人診断士の皆さんにお会いできる機会として、楽しみにしていましたのでとても残念です。一刻も早い終息と経済の回復を祈念しています。

 

AASでは過去問を用いた学習を重視しています。
とはいえ、正解が公表されない試験ですから、「論理的・多面的・具体的な解答」について思考することがポイントになると考えています。
それでは昨年の事例問題を深読みしてみましょう。

昨年の事例Ⅰは「受験生に対する教育的要素が詰まった事例」だと深読みしました。そのため、4事例の中でも特に点数のばらつきが大きかったのではないでしょうか。すなわち、できた人とできなかった人との差が明確に表れたということです。

それでは、何が教育的要素なのか、具体的にみていきましょう。

①事例企業から学ぶ

全設問が診断問題でした。
H22年の事例Ⅱ(食品スーパー)以来の、とても珍しい設問構成です。助言問題がないということは、改善すべき大きな問題がなく、成長戦略も立案されている企業ということになります。問題を解きながら経営革新の実例を学ぶことができる事例だということですね。

 

②設問文から学ぶ

第4問と第5問の末尾が「考えられるか」となっており、解答を導くために考えることが求められています。
2次試験として考えるということは、1次試験の知識を活用して解答の方向性を定め、内容を補強するということですね。
第3問では営業社員の士気を高めた要因として、組織・文化(成立要件)や人事・モラール(動機付け要因)の知識を活用し、第5問では組織再編の適否を判断する理由として、組織・構造(機能別組織のメリットとデメリット)の知識を活用することが求められる設問だということですね。

 

③切り口を学ぶ

多面的に解答するためには、適切な切り口を設定する必要があります。
AASでは切り口の優先順位を設問>与件>一貫性>知識としています。出題者の意図に耳を傾けるということですね。
具体的には、第2問では設問文に「高コスト体質/営業体質」という切り口のヒントが、第3問では設問文に「目的/機能」という切り口のヒントがありますので、これに沿って与件情報を整理できたかどうか、振り返ってみて下さい。

第1問では“ビジネスとして成立しなかった”という設問文から与件文第4段落にリンクすると、同様の記述の直後に「売上減少/費用増大」という切り口のヒントと、ヒントを分かりやすくするための「二重苦」というわざわざ表現があります。なお、この切り口で与件情報を整理して解答すると『最大の』という制約条件に違反するのではないか?という危惧を持つでしょうが、切り口を「外部環境/内部環境」ととらえなおすことによりピラミッド型で解答できますので、制約条件に合致するでしょう。
(環境分析【根拠】⇒全体戦略【結論】というセオリーに従って解答)

安易な切り口設定は、ダメ!絶対
与件文第5段落に「また」という接続詞がありますが、切り口のヒントではないことを与件文の情報から判断する必要があります。
財務面の概要を並列で記述する内容ですが、前半の“膨大な部品在庫”は「費用増大(第1問)」、後半の“前近代的な経理体制”は「高コスト体質(第3問)」、というように対応させるべき設問が異なっています。
国語だけに頼った安易な国語的解釈は禁物であることを教えてくれているということですね。
④与件リンクを学ぶ

第3問の切り口である「高コスト体質」は上記のようにリンクできました。
「古い営業体質」は第4段落の“古き良き時代を知る古参社員”が育んできた体質でもありますが、この“古き良き時代”を第3段落の“かつて”の記述にリンクすることで、どのような時代であったかを具体的に把握して解答に活かすことができたでしょうか?
正しく読むことの重要性を教えてくれているということですね。

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