【事例4】NPVでよくある間違い(例題付き!)

皆さんこんにちは。
AAS東京代表の早坂です。

今日は、NPVでよくある間違いについて語りたいと思います。

さて、まずは以下の設備投資案件のNPVを算出してみてください。

<例題>ある新規設備投資案件

  • 投資額 100万円
  • 設備の耐用年数 2年(定額法により減価償却。2年後の残存価格0円)
  • 投資による税引き前利益の増分
    (1年目) ▲10万円  (2年目) 20万円
  • 運転資本の増減は無いものとする
  • 法人税の実効税率は30%とする
  • 計算簡便化のため、割引率は考慮しないものとする

 

どうでしょう。
NPVの算出としてはシンプルな問題ですが、皆さん算出出来たでしょうか?

一般的に、NPVを算出するためには、次の3つの要素を求める必要があります。

  1. 投資額
  2. 割引率
  3. 年々のCF(キャッシュフロー)

しかし、大抵の問題では、①の投資額と②の割引率は、設問文で条件として与えられています。
今回の例題では、①投資額100万円、②割引率なし、となっていますね。

問題になるのは、③年々のCF(キャッシュフロー)です。

年々のCFは、所詮はキャッシュフローなので、基本的にはCF計算書に基づいて計算すれば算出できます。
しかし、以下の公式を知っておくと、もっと簡単に算出することができます。

年々のCF=税引後利益+減価償却費

本問のように運転資本の増減や固定資産売却損益が無い場合には、この公式が使えます。

この公式に基づいて、上記の例題の条件を当てはめていくと、

減価償却費=100万円(投資額)÷2年(耐用年数)=50万円

1年目のCF ▲10万円×(1-0.3) + 50万円=43万円
2年目のCF 20万円×(1-0.3) + 50万円=64万円

∴ NPV=1年目CF+2年目CF―投資額
=43万円+64万円ー100万円
=7万円

となります。
これで、例題のNPVが算出できました

しかし、中には

Name
ちょっと待った!それはちょっと違うんでないの?

と思った方もいるでしょう。

それは、恐らく1年目のCFの部分だと思います。

1年目のCF ▲10万円×(1-0.3) + 50万円=43万円

となっていますが、

Name
1年目は税引き前利益が▲10万円とマイナスなので、税金は発生しないはず。なので、(1-0.3)を掛けるのはおかしいのではないか?

という訳です。

Name
す、鋭い!
・・・・・が、しかし、残念。

これは、上記の計算方法で正しいのです。

なぜかと言いますと、税金が0になるのは、会社全体の利益がマイナスの場合ですね。

例題の1年目の税引前利益は確かに▲10万円ですが、これは会社全体の税引き前利益ではなく、この設備投資案件の税引き前利益ですね。この点をまずはしっかり区別してください。

例えば、会社に、AプロジェクトとBプロジェクトという2つのプロジェクトがあるとします。そして、それぞれのプロジェクトの税引前利益を

A ▲10万円  B 20万円

としましょう。この場合、会社全体の税引き前利益は10万円となり、
税金は10万円×0.3=3万円となります。

ここで、それぞれのプロジェクト毎に税金を算出してみると、

A  ▲10万円×0.3=▲3万円
B  20万円×0.3=6万円
∴ 税金=▲3万円+6万円=3万円

となり、全社の税金の額と一致します。

しかし、Aプロジェクトの税金を▲3万円ではなく0としてしまうと、税金の額が6万円となり、全社の税金額と一致しなくなりますね。

そのため、1プロジェクトの税引前利益がマイナスであっても、会社全体の利益がマイナスという条件が無い限り、今回の例題のように税金を考慮して計算するのが、正しい計算方法なのです!

Name
この点が理解できていれば、平成27年度の事例Ⅳ第3問のケース1、ケース2の意味も理解できるでしょう。

ちなみに、平成25年度事例Ⅳ第2問(設問1)では、営業CFの算出において、一部の年度の税金を0として計算します。これは、植物工場が別会社という設定になっているため、

植物工場の利益がマイナス=会社全体の利益がマイナス

であるので、税引き前利益がマイナスの場合には税金を0として計算する訳です。
こちらも合わせて確認してみてください。

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