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実務補習15日間の実際~アラフィフが体験した診断士登録への道【けやき⑩】

皆さん、こんにちは。

「5年連続第2次試験を受けて、ようやく合格した50代サラリーマン」のけやきです。

今回は、中小企業診断士として登録するために必要な実務要件を満たす方法の一つである「実務補習」について、私の体験をお伝えしたいと思います。

実務補習を受けるかどうか迷っている方や、これから実務補習に臨まれる方の参考に、少しでもなれば幸いです。

目次

実務補習とは~診断士登録への選択肢の一つ

実務補習は、第2次試験合格後に中小企業診断士として登録するための実務要件を満たす方法の一つです。

中小企業診断士として登録するためには、第2次試験合格日以降で15日以上の実務要件を満たす必要があります。この実務要件を満たす方法としては、大きく分けて2つの選択肢があります。

A. 登録実務補習機関が行う実務補習を受講する(15日間コースまたは8日間コース)

B. 中小企業者に対する経営の診断助言業務または、経営の窓口相談業務に従事する

私は、最速で「中小企業診断士」の登録を受けるため、Aの実務補習15日間コースを選択しました。

実務補習では、受講者が5~6名程度のグループを組み、ベテラン診断士の指導のもと、実際の企業に対して経営分析や提言を行います。第2次試験で学んだ理論を、実際の企業で実践できる貴重な機会です。

実務補習では「理論(学習)と実践は違うもの」という意見もありますが、私の場合、学習してきた理論が大いに役に立ちました。「この会社のこの状況は、過去問にあったあの事例会社と同じだ!」と思えるシーンが何度もあり、第2次試験の勉強が実務に直結することを実感できました。

15日間コースの概要~想像以上にハードなスケジュール

日程と休暇取得の実際

私が参加した令和6年度(令和7年2~3月実施)の実務補習15日間コースは、平日6日、土日祝日9日の構成で、サラリーマンの私は6日間の休暇が必要でした。

ここで注意していただきたいのは、実務補習が始まると、日程が詰まっているため、土日が休日のサラリーマンの場合、会社勤めと実務補習のどちらかに31日連続で勤務することになるという点です。

今年度合格してその直後の実務補習で15日間コースを受けるとすると、令和6年度と同じく平日6日、土日祝日9日で、6日の休暇が必要で、32日連続となります。

アラフィフの私にとって、この連続勤務は正直かなりハードでした。体力的にも精神的にも、若い頃とは違う厳しさを感じました。

また、実務補習期間は、補習がない日でも課題をこなす必要があります。特に会社勤めの方は、この点を十分に理解しておく必要があります。

詳しい日程は、一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会のホームページで確認してください。

費用と価値

費用は、15日間コースの場合、税込みで21万円でした。1日あたり1.4万円の計算になりますが、受講した実感としては十分価格に見合った内容だったと思います。

ベテラン診断士の指導を受けながら、実際の企業に対して診断を行えるという経験は、何物にも代えがたいものでした。

申込について~合格発表直後は争奪戦

ここで重要な注意点があります。

合格発表直後の実務補習は、希望者が多いため、申込開始後すぐに定員が埋まってしまうことがあります。

私は、必ず受講したかったので、申込開始時刻の直前からパソコンの前でスタンバイし、開始時刻から5分くらいで申込を完了しました。それでも「もしかしたら間に合わないかも」とドキドキしながらの申込でした。

実務補習を受講したいと考えている方は、合格発表後すぐに動けるよう、事前に日程や申込方法を確認しておくことをお勧めします。

参加前の準備と心構え~事前準備が成否を分ける

申込みから開始までの流れ

申込をすると、まずはテキストが届きます。

このテキストには、受講にあたっての心構えから、必要な知識、診断先企業に提出する報告書の作成等について、詳しく記載されています。SWOT分析等、診断士の学習で勉強した内容も改めて記載されています。

ページ数は100ページ弱ですが、合格直後の高揚感もあり、「いよいよ実践が始まるんだ」という期待で、興味深く読み進めることができました。むしろ、これから始まる実務補習への期待が高まり、あっという間に読み終えてしまったという感じです。

実務補習はこのテキストを熟読している前提で進みますので、しっかり読み込んでおくことが必要です。

実務補習の日程が近づくと、指導員から診断先企業の資料が届きます。会社の概要や財務諸表等、実際の会社の情報です。この資料を読んでいると、「いよいよ本当の診断が始まるんだ」とわくわくしてきます。

事前に準備しておくべき知識やスキル

知識は第2次試験で身に付けたもので十分ですが、テキストに記載のあるもので、なじみがないものがあれば、事前に学習しておいた方がよいです。

私の場合、バランススコアカードについて、使い方が分かっていなかったのですが、補習の当日に指導員から「バランススコアカードで整理したらよい」と指導を受けました。しかし、その場で対応できず「一晩ください」と言って、持ち帰りとなってしまったことがありました。事前にしっかり準備しておけばよかったと反省しています。

なお、SWOT分析とクロスSWOTは定番なので、具体的な作業イメージまでもっていると、スムーズに進むと思います。

参加者の属性~多様なバックグラウンド

実務補習の参加者は、年齢層も業種も受験回数も多種多様です。私の場合は、住所が近い人でグループが組まれました。

私のいたチームは、20代、30代、40代が各1人、50代は私を含め2人と、年齢バランスよく構成されていました。業種は様々で、受験回数も、ストレート合格が3名、2年が1名、5年が1名(私)でした。

みなさん、人柄もよいうえに、大変優秀だったので、とてもよい経験ができました。この出会いは、実務補習の大きな財産だと思います。

実務補習の実際の流れ~理論を実践に変える15日間

班編成とメンバー構成

役割は、診断先企業やメンバーの人数により調整されます。メンバーが5人の場合、たとえば「経営戦略」「財務」「生産管理」「マーケティング」「組織・人事」といった分担になります。「経営戦略」を担当する人が班長となって全体のとりまとめ役も担うことになります。

15日間コースの場合、2社の診断を行うので、この役割を2種類体験することができます。

私の場合は、立候補制でした。ご自身の得意分野や、経験はないがやってみたいことの希望を出し合って、調整して決めました。

私は、実務補習を受けるにあたり、経験者の方から「班長(経営戦略)と財務は、全体が見えるのでやった方がよい」とのアドバイスを頂いていたので、班長と財務を希望していました。幸運にも両方できました。

特に、班長は立候補制となることが多いと思うので、是非積極的に立候補することをお勧めします。全体の流れを把握できるだけでなく、リーダーシップの経験も積むことができます。

実務補習の基本的な流れ

実務補習は、次のような流れで進みます。

①診断先へのヒアリング事項の検討

まず、指導員から届いた診断先企業の資料(会社概要、財務諸表等)を読み込み、グループでヒアリング事項を検討します。

事前資料からわかることと、わからないことを整理し、「何を聞くべきか」「どのような順序で質問するか」をメンバー全員で議論しました。この段階から、第2次試験で学んだ知識が活きてきます。

②ヒアリング(相手は、基本的に社長です)

実際に診断先企業を訪問し、社長にヒアリングを行います。

事前に準備した質問事項に沿って、会社の現状、課題、今後の方向性などを詳しくお伺いしました。社長から直接お話を伺うことは、緊張しましたが、同時に大変貴重な経験でした。

社長の言葉の端々から、会社への思いや経営に対する情熱が伝わってきました。第2次試験の事例企業は、こうした社長の思いが背景にあるのだと、改めて実感しました。

③診断、提言内容検討

ヒアリング内容をもとに、グループでディスカッションを重ねながら、診断と提言内容を検討します。

ここが実務補習の最も重要な部分であり、最も時間をかける工程です。SWOT分析やクロスSWOTなど、第2次試験で学んだフレームワークを実際に活用します。

特にSWOTの要素は、診断士試験では数が限られていますが、実際の企業では数が多いです。どれを中心にして戦略を考えるかは、メンバーと議論が必要で、よい経験になりました。

また、それぞれのメンバーがご自身の職歴から専門分野を持っているので、意見が分かれることもありました。そんな時は、なぜそう考えるのかを丁寧に議論し、診断先企業にとって最善の提案は何かを、メンバー全員で考えました。この議論のプロセス自体が、大変勉強になりました。

④報告書作成

診断と提言内容が固まったら、診断先企業に提出する報告書を作成します。

報告書の作成は、補習の時間帯だけでなく、自宅での作業も必要です。私の場合、補習がない日の夜は、自宅で報告書の作成や資料整理などで数時間を要することがありました。また、受講生同士でオンラインミーティングを開いて、内容の調整や情報共有を行うこともありました。

効率的に進めるためには、個人作業は各自が家で進めておき、補習に集まった時はディスカッションや他分野との調整をメインにすることが重要です。私が班長の案件では、翌日の時間割を事前にメンバーにメールするようにしていました。これにより、各自が事前準備をしてくることができ、限られた時間を有効に活用できたと思います。

⑤診断先への説明(プレゼン)

最後に、再度診断先企業を訪問し、完成した報告書をもとに社長にプレゼンテーションを行います。

私たちが作成した診断報告書の内容を説明し、提言について議論しました。社長から「こういう視点は考えていなかった」「この提案は実行できそうだ」といった言葉をいただいた時は、学んできたことが実務に役立つことを実感でき、大変うれしく思いました。

また、財務を担当した際には、社長から「顧問税理士より、当社のことを分かってくれている」と言っていただけたことは、とてもうれしい思い出になりました。

15日間コースでは、この①から⑤までの流れを、2社について経験することができます。1社目で学んだことを2社目に活かすことができるので、回を重ねるごとに診断の精度が上がっていくのを実感できました。

実務補習を終えて~最後のメッセージ

実務補習は、正直ハードでした。特にアラフィフの私にとって、31日連続の勤務は体力的にも精神的にも厳しいものがありました。

しかし、終わってみると、「受けてよかった」と心から思っています。

実際の企業を診断し、社長に提案する経験は、何物にも代えがたいものです。また、多様なバックグラウンドを持つメンバーと一緒に取り組むことで、自分にはない視点を学ぶことができました。

5年間かけて合格した私ですが、この実務補習で、ようやく「中小企業診断士」としてのスタートラインに立てたと感じています。

実務補習を受けるかどうか迷っている方がいらっしゃったら、ぜひ挑戦していただきたいと思います。大変ですが、その分、得られるものは大きいです。

もし受講を決められた方は、合格発表後の申込開始日時を必ず確認し、開始直後に申込できるよう準備しておくことをお勧めします。

皆さんの診断士としての活躍を、心より応援しています!

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