本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例3 61点) たか50-50
こんにちは! たか50-50です。
今回はR6年度事例3の再現答案解説を記述させていただきます。
本番時に解答の方向性をどのように考えたか、後から振り返るとどのような点が足りなかったか、が皆様の参考になれば幸いです。
試験前に事例3で心がけていたことは下記のポイントです。
事例3は『経営戦略』と『生産改善』の二刀流で攻める!
・設問は企業の経営戦略問題とIT活用含めた生産課題解決問題に明確に分けられる。ごちゃまぜにせず切り分けて考える
・経営戦略問題は強みと機会、成功例を活かした新製品開発and/or新市場開拓の方向で考え、営業力強化も念頭に経営効果とドメイン(誰に何をどのように)を意識して解答構成する
・生産戦略問題は与件記述のQCDいずれかの問題点の裏返し、課題解決を念頭に生産計画/統制に分けて整理する
IT問題はDRINK+プロセス改善
・IT問題は与件課題の解決を念頭に、DRINK事項を軸に与件の具体例を入れて記述する。あわせてプロセス改善もアドバイスする
第1問(配点20点)
C 社の強みを 80 字以内で述べよ。
私の回答
強みは、①社長の工場レイアウト設計経験に基き搬送機能について工場生産性を高める提案力②技術者採用の設計・製造要員を有し様々な移動対象物形態に対応可能な点
解釈
シンプルに強みを2~3個ピックアップすればよい
考え方
第5問で使える強みを重視し、営業面、生産面など2つの観点から探す
振返り
②の記述がわかりづらいかもしれませんがひとまず無難に通過できたかと思います。20点問題なので気は抜けませんでした。
第 2 問(配点 20 点)
コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C 社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100字以内で助言せよ。
私の回答
C社は、①作業員割当を見直し、標準化・マニュアル化と教育による作業員スキル向上により製缶工程の生産能力を向上させ工程間負荷を平準化②IT活用し進捗状況を共有、柔軟な余力管理を行い、生産能力向上を図る。
解釈
製造工程の生産性向上の具体的施策について問われている
考え方
どのようにと聞かれているため、問題点を探し出して対応策として何をどうするという答え方がよい。工程改善と問われているのでまずは問題のある工程を探す。
振返り
残業・休日出勤の多発から製缶工程が問題工程ということはすぐにわかりましたが、その要因がラインバランシング不良かなという程度にしか推測できず、どのような具体的施策で対応するかに悩みました。結果、定番の標準化・マニュアル化とITによる情報共有を持ち出しましたが、特に②についてはあまり加点されてないような気がします。
第 3 問(配点 20 点)
C社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を100字以内で助言せよ。
私の回答
進め方は、①業務プロセス改善として生産会議を短サイクル化し設計・納期変更と短納期化に対応し混乱を防止②IT導入により大日程計画や進捗状況等の生産計画・統制情報を一元的に随時共有し生産性向上を図る。
解釈
与件文から生産管理上の問題点を探し、対応策を提示すればよい
考え方
納期問題なので主に生産計画に問題があるのではないかとあたりをつける。その場合は定番作法として①生産計画面、②生産統制面で解答することを基本に考える。しかしこの与件では納期遅延対策としてIT利用を図り対応を検討との記述があり、本設問はIT問題としてプロセス改善+IT導入の面からも考える。
振返り
現状の問題点として経験を基にした工数見積もりというわかりやすい要素が与件にありましたが書き漏らしてしまいました。そのため苦肉の策で知識から短サイクル化と情報共有という与件に寄り添わない解答となってしまいました。この設問ではあまり得点が取れていないかもしれません。また、この設問文では生産管理でなく工程管理として問われています。私は気にかけず生産管理知識で解答しましたが、深く学習した人ほど作問者が言葉を使い分けている意図の読み取りに時間をかけてしまったのではないかと思います。
第 4 問(配点 20 点)
C社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を120字以内で助言せよ。
私の回答
事前対策は、①部品構成表の個別材料についてデジタルデータを活用し過去製品と比較しコスト高影響を見える化②材料費、人件費以外の設備コストやエネルギーコストについてデータ化を実施。以上の原価管理データ化により交渉円滑化を図る。
解釈
価格転嫁の社内対応策について聞かれていると解釈
考え方
コスト高による値上げ交渉の妥当性を示すためのデータを原価項目について準備すればよいと考えた。BOMデータはすでにデジタルデータ化されているがこれを活用し過去比較する方向性が考えられる
振返り
価格転嫁テーマの出題はある程度予想していました。が、BOMデータと並記するもうひとつの解答要素が探し出せず、やむなくその他固定費項目を持ち出しごまかしたような解答となってしまいました。もうひとつの解答要素は営業部門の業務プロセス改善面から検討するとよかったかもしれません。
第 5 問(配点 20 点)
C社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業と直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120字以内で助言せよ。
私の回答
C社は、①営業が生産を国内回帰させた機械メーカーからニーズ収集を行い、②レイアウトに応じた設計力を活用し自社企画の新製品を開発、③提案営業により新市場開拓を実施する。以上で売上拡大とX社依存脱却による経営リスク分散を図る。
解釈
強み・機会を活かした成長戦略が問われている
考え方
設問文から基本的には新市場開拓戦略の方向で具体策を提示すればよい。またX社売上が全体の6割と依存状態にあるためその解消にも言及ができる
振返り
ニーズ収集と設計提案力活用は押さえられました。一方でターゲット企業については生産を国内回帰させたのは与件文からわかる範囲ではX社のみであり私の解答は絞りすぎで大失点につながりかねないミスでした。また、定番施策とし提案営業を上げましたが、最終段落のメンテナンス要素を活用するほうが与件企業に沿った内容でしたがこの要素をうまく使うことができませんでした。
全体を通じて
自分の中では事例3は相対的には得意と考えていましたが、今回は作問者の意図を十分に読み込めたとは言えず、解答も苦し紛れの一般知識的な記述となりました。それでもなんとか部分点を積み重ねたか、得点は合格ラインを超えました。これもこれまでの学習の成果であると考えています。
また、私は与件文中のネガティブ要素は用紙右側に※印をつけておき、解答要素として使ったものは消し込むようにしていましたが、この事例では5分以上時間を余らせていたにも関わらず消込みチェックが抜けていました(怖)。本番では意識がどこに飛んでいたか覚えていません。平常心を保つことの難しさを改めて痛感いたします。今年本番ではぜひ、途中で深呼吸を入れて自分のプロセスが守れているかを数秒でよいので確認いただくとよいと思います。小さな行動が、焦りを防ぎ冷静な判断を助けてくれると思います。皆さんの努力が報われることを心から願っています!