本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例1 59点) けーたろー
みなさん、こんにちは!
けーたろーです。
今回から、R06年度の私の再現答案について解説していきます。
少しでも皆さんのお役に立てるような情報を発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします!
まずは事例Ⅰです。
事例Ⅰの全体的な感想ですが、苦戦した印象です。
近年の傾向ですが与件文の文章量が多く、またR06年事例Ⅰの与件文は、登場人物も、創業者、長女、長男、経営幹部、協力会、X社、Y社、Z社などが出てきて多く、「えーっと、結局何がどうなってるんだっけ??」と混乱しました。
複雑な情報を整理して、重要な論点を洗い出すことが試されているんだろうとは思いましたが、試験時間の前半は迷いの中でした。時間制約の焦りもあり、「図 A社の組織図」については正直なところ、(良くないのですが)それを意味するところを深く考えている余裕はあまりありませんでした。そこから(こちらの記事でご紹介したように「SWOTの要素を消込しながら問題を解こう」、「できそうな問題を確実に取っていこう」と考えました。
以下、各設問ごとにどう考えたかをご紹介していきます。
第1問
[設問文]A社の2000年当時における(a)強みと(b)弱みについて、それぞれ30字以内で答えよ。
[解答 (a)強み] 地域密着で高い質のサービス、自社保有倉庫、X社からの安定受注
[解答 (b)弱み] 紙の伝票管理など非効率な受注管理業務、顧客の新規開拓力が弱い
第1問は基本的に第2問~第4問の解答骨子ができあがった後で、それらに関連したより重要な項目を列挙することにしていました。そしてできるだけ多面的に要素を2つ~3つ入れること、弱みは第2問~第4問で解消される要素を入れるように心がけました。
第2問
[設問文]なぜ、A社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。
[解答]理由は地元密着の方針を維持しつつ、首都圏市場開拓という違う役割を担うことを明確化するため。狙いは長女の営業経験を活かして首都圏市場を開拓、次期経営者として育成するため、長女が持つ首都圏情報の活用のため
プロジェクトチーム≒別動隊を作るからには、「そうした方が良いと考えられた理由があるのだろう」、「それは既定路線は既定路線でやっていくことを示し、既存の社員に動揺や混乱を与えない配慮もあったのだろう」と考えました。長女任命の理由は、最近の出題傾向も踏まえて事業承継を意図していること。また長女のスキルが経営課題である「新規開拓力が弱い」の解決につながりそうなので、このように解答しました。
ところがここまで書いて解答欄が余ってしまったので、「長女が持つ首都圏情報の活用のため」と追記しました。本当は「長女が持つ首都圏情報を活用し、・・・新規開拓」と因果関係がわかりやすく記述すれば良かったのだろうと思いますが、時間がなく、後ろに追加記入する形にとどまりました。
第3問
[設問文]なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。
[解答]理由は長男の物流システムの提案力が高く、首都圏で成功していたため。また県内で自社倉庫や協力企業等あり充実したサービスを受けられると期待された為。競合が県内に保管機能を持っていなかった為。
与件文で「首都圏で展開する・・・Z社から・・案件がA社に持ち込まれた」との記述の前に「持ち前の物流システム提案力を活かし、・・・営業を展開」とあったので、長男の活動が奏功したことを記載しました。またA社が持つ強みも機能したと考えました。ここでも解答欄が余ってしまい、「何とか多面的に要素を入れよう」と考えた結果、自社に対する競合の情報を、選ばれた理由の一つとして記載しました。
(ちなみに、この長男が、2代目の子供という認識がないままに私は解答していました。それでも何とかなったのは助かりました・・・。)
第4問
[設問文]今後、A社が3PL事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
[設問文 設問1] 2024年の創業者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。
[解答]狙いは経営幹部の助言を受けつつ、長女が意思決定権限を持つことの明確化。独断的な長男を育成すると共に県内事業部にシステムを導入し業務効率化を図るため。
この配置転換が2代目によるものではなく、創業経営者によるものだというところをよく考えようと思いました。なぜ創業経営者が経営を譲っているにも関わらず、口出しをすることになったのか?
それは傍から見ていて、「今、口出ししないと今後たいへんなことになる」、もしくは「2代目が気づいていないことを気づかせる、言いにくいことを代わりに言ってあげる、やってあげる」意味があったのではと考えました。
具体的には、与件文に長女が2代目となってからも県内事業部を経営幹部に任せっぱなしにしていると記述があったので、まずはこれの解消を図ったと考えました。
また「長男が独断的」という表現があったので、これもそのまま放置せず、何らかのアクションが必要であろうと考えました。そしてこの第4問設問1で解答要素として使う、つまり、経営幹部を指導役として長男の上に置いたと考えました。
さらに経営課題である県内事業部のITによる効率化を図ることも含めて解答としました。
ここで「組織の一体化を図る」ということも書ければより良かったのだろうと思いますが、上述しましたように「図 A社の組織図」に注意を向けられていなかった私はここで少し失点していたのだろうと思います。
[設問文 設問2]A社がZ社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100字以内で助言せよ。
[解答]施策はITを駆使して①受注・在庫管理の強化②人手不足に対し配送割当の効率化。また質の高いサービスを提供しZ社県内案件を完遂し関係を強化し首都圏その他で事業拡大を図る。評価制度を見直し専門人材の定着化
この問題は本当に苦労しました・・・。
与件文に記載の「A社を取り巻く課題」が4つも急に出てきて、さらに「物流の多様化・複雑化」にも応え、さらに「3PL事業者としてやっていく」というようなたくさんの要素をどう解答として組み込めば良いかわかりませんでした。
それでも試験時間終了間際、頭をひねりにひねり、次のように考えました。
- まずはZ社の積み残し課題をITで解決
- 「物流の多様化・複雑化」に対応するにはやっぱりIT活用が不可欠だろう。
- 「2024年問題」と言えば「人手不足」が問題だが、この事例では自社の社員の不足ではなく、関係先のドライバーの不足であることを間違えないようにしようと気をつけました。そしてITの力で配送の割り当てを効率化し、「2024年問題」に対応している企業の事例が白書に載っていたのを覚えており、また同じような内容がNHKのドキュメンタリー番組でも取り上げられていたことを覚えており、解答に反映させました。
- 以上のことを書いたところで、「処遇面への不満」への対応が書けていないと思ったので、解答欄の空きスペースにそれらしいことを因果(制度見直し→人材の定着化)でほぼ無理やり文章を突っ込みました。
なお、「これまでの成功事例を設問の解答に使う」は事例問題のセオリーかと思いますが、ここで「首都圏における協力会の組織化」を解答要素として書くべきか迷いました。しかしA社は首都圏では後発であり、今から「協力会を組織化」しても上手くいかないだろう、これは現実味がないとして、この案はナシと私は判断しました。
おわりに
以上のように、試験当日、事例Ⅰに取り組みました。
事例Ⅰが終わった後の気持ちとしては「これは失敗したかもしれん・・・。(情報が多くて整理に失敗したかも)」でした。
しかし得点が最終的にどうなるかもわからないし、これまでもそうであったように終わった科目ことは忘れて、次の事例Ⅱに集中するように心がけました。
当日作成した再現答案と各受験校の模範解答を見比べておおよそ51点くらいと予想しました。
そこから何らか答えがうまくはまって得点が上振れすることを期待していました。
結果としては59点でした。
今日のブログは以上です。
次回は、事例Ⅱの再現答案の解説をさせていただきます。
また、次回もお会いしましょう!