本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例1 64点) カズ
こんにちは、カズです。
今回はR06年度事例1の私の再現答案について解説します。
第1問(配点 20 点)
[設問文]
A社の2000年当時における(a)強みと(b)弱みについて、それぞれ30字以内で答えよ。
再現答案
(a)強み 既存顧客との強い関係性、温湿度管理保管と流通加工能力の高さ。
(b)弱み 紙の伝票管理による受注管理業務の非効率、新規顧客開拓力の弱さ
解答作成プロセスの紹介
私の場合、与件文を読む際、3色のマーカーを使ってチェックを入れながら読んでいました。水色やピンクでチェックした要素を見ながら重要要素を抜き出して骨子を作り、解答作成しました。
・水色 :自社の強みや機会に関連しそうな内容(ポジティブ要素)
・ピンク:自社の弱みや脅威に関連しそうな内容(ネガティブ要素)
・黄色 :社長の想いやその他の重要そうな内容(「」で囲われている内容など)
色付けした箇所の中から、強みとしては、「流通加工や適切な温度・湿度で管理するサービス」「既存顧客との関係性が強い」をピックアップ。弱みとしては、「紙の伝票管理など受注管理面において非効率が生じていた」「顧客の新規開拓力が弱かった」をピックアップ。強み・弱みの選択にはあまり悩みませんでした。
振り返り
強み、弱みともに2つずつ要素を抜き出しましたが、いずれもそのままでは30字を超えてしまうため、少し自分で文章を要約して書きました。振り返って再現答案をみると、ややわかりにくい文章になってしまっているので、もう少し良い表現ができたかな、というのが反省点です。
第2問(配点20点)
[設問文]
なぜ、A社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。
再現答案
理由は①県外輸送の需要が増え首都圏での物流需要の可能性に期待②新規顧客開拓力の強化。狙いは①前職での物流企画や営業経験の活用②自ら入社意向を示した士気の高さに期待し、新規顧客獲得と後継者の育成を図った。
解答作成プロセスの紹介
解答骨子として、理由と狙いに関して、それぞれ以下のワードを抜き出しメモしました。
・理由:引き合い増加 新規開拓力強化
・狙い:経験 自ら意向 2代目経営者期待
これらのワードをつなぎ合わせて、解答文を作成しました。6段落目周辺に要素は集中していましたし、後継者育成の視点は事例1で良くあるパターンと考え、あまり悩まずに解答できました。
振り返り
振り返って再現答案をみると、第1問と同様に、やや読みにくい日本語になってしまっていると感じました。理由にも狙いにも「期待」って入っているし…もう少し落ち着いて、読みやすく正しい日本語で解答できるとよかったなと思います。
第3問(配点20点)
[設問文]
なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。
再現答案
物流システムの提案力を活かした営業を受け、①適正在庫管理や機動的な商品補充で物流業務を効率化②A社の協力会や地元企業との関係性③食品スーパーX社の輸送業務請負経験に期待し、円滑な県内進出を果たすため。
解答作成プロセスの紹介
解答骨子として、以下のワードを抜き出しメモしました。
・物流システム 提案、在庫管理 商品補充、地元の強み、コーディネート力、物流業務 効率化、期待
これらのワードをつなぎ合わせて、解答文を作成しました。解答作成の際に文字数オーバーが懸念され、優先度が低いと考えた「コーディネート力」は省きました。
振り返り
やっぱり少し違和感を感じる日本語になってしまった気がします。事例演習の際にも時々①②③を使って箇条書き解答をしていましたが、積極的に使っていたわけではないので、この箇条書きがうまく使いこなせていないんだと思います。慣れない解答の型を使うと、かえって良くない解答になってしまう可能性もあるためご注意ください。
第4問(配点40点)
[設問文]
今後、A社が3PL事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
2024年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。
再現答案
古くからの経営幹部を通じて首都圏・県内両事業部間の連携を強化し、県内事業部の古い慣習を改め、物流システムを活用した新たなサービスの定着・強化を図った。
解答作成プロセスの紹介
解答骨子として、以下のワードを抜き出しメモしました。
・組織間連携強化
・ビジョンを全社共有
・県内事業部へノウハウ共有 ⇒頭の中で、ノウハウ=物流システムを活用した新たなサービスに置換
・県内の古い慣習を見直し
・経営幹部と連携
・県内事業部の現状把握、活性化
これらのワードをつなぎ合わせて、解答文を作成しました。組織図を見ながら「商圏で切り分けた事業部制組織なのに、その下にぶら下がる機能組織の中身は事業部ごとに違う、いびつな組織だな~」と考えながら、解答作成しました。
振り返り
上記、いびつな組織を少しでも解消できるように、物流企画部や情報システム部のノウハウを県内事業部にも共有するようなイメージで解答を作りましたが、もう少し組織構造を意識していることが伝わるような文面にできるとよかったかなと思います。ご丁寧に2020年当時の組織図を書いてくれていますので。
(設問2)
A社がZ社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100字以内で助言せよ。
再現答案
施策は①物流システムを活用したサービスを強化して競合との差別化②協力会や外部委託先との関係性を強化し、混載も活用して運送業務を効率化③年功序列でなく実力が評価される公平な制度構築で組織活性化を図る。
解答作成プロセスの紹介
解答骨子として、以下のワードを抜き出しメモしました。
・強みをさらに サービス高度化 ⇒ 差別化
・2024年問題、人手不足、外部との関係性強化
・人事制度、多様性に対応、実力成果を評価、年功序列でなく、公平公正な
これらのワードをつなぎ合わせて、解答文を作成しました。解答を書きながら「昔は混載ができなかったって書いてあったな~」と思いだし、「混載も活用」は解答を書きながらその場で追加しました。
振り返り
最終段落に問題点がずらっと並んでいましたので、その裏返しが課題で、その課題を解決するための施策を助言すればよいだろうと考えました。強みをさらに強化、弱みを補強、この2つの視点でオーソドックスな施策を無難に並べました。
終わりに
事例1に対しては、組織人事に関連する業務経験もないことから、最も苦手意識を持っていました。そのため直前期には、事例1の事例演習の際の自身の解答や、演習後に作成したマイベスト答案を見返し、他の事例2~4よりも時間をかけて復習を行いました。
演習のときには「サチノヒモケブカイネコ」とメモ用紙に書いたものを見ながらでないと、解答要素を満足に考えられませんでしたが、念入りに復習した甲斐もあってか、試験当日はあまり悩むことなく時間内に全問解答を書き終え、合格ライン越え(64点)も達成できました。
苦手意識がある事例も、しっかり対策をして落ち着いて取り組むことで、良い結果はついてくると思います!
おすすめ書籍紹介
今回は事例1の再現答案紹介でしたので、組織・人事に関する書籍を紹介します。
『採用基準(伊賀泰代)』
元マッキンゼーの人材採用担当であった著者が、リーダーシップに焦点を当てた採用観を紹介しています。リーダーシップとは何なのか、どうすればリーダーシップを身に着けることができるのか、丁寧に解説されており、多くの日本企業(特に中小企業)においては見落とされがちな視点に気付かされます。採用に関わる方だけでなく、これから中小企業診断士を志す方のキャリア構築の指針にもなりえる一冊と思います。