本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例1 64点) おくと
こんにちは、今回からは令和6年度中小企業診断士2次試験について、私の再現答案を解説していきます。今回は事例Ⅰで、第3回目の投稿となります。
第1問:A社の強みと弱みの分析
[設問文]A社の2000年当時における(a)強みと(b)弱みについて、それぞれ30字以内で答えよ。 [解答 (a)強み]①地元密着型の質の高いサービス ②ニーズ収集力 ③事業者との連携。 [解答 (b)弱み]①旧態依然の管理体質 ②受注管理面の非効率 ③新規顧客開拓力低い。
この問題では、与件文の時制に注意しながら回答しました。
また、後の設問でも関連して出てくる内容なので、強みの①は第3問、②は第4問の設問1,2、弱みの①,②は第2問、③は第2,3問というように、接着性を意識して記載しました。与件文からは以下の情報を参照しました。
・第3段落:地域密着型の質の高い輸送サービス、協力会事業者との連携関係
・第4段落:地元顧客のニーズに対応、旧態依然の管理体質
・第5段落:受注管理面において非効率、顧客の新規開拓力が弱かった
第2問:プロジェクトチーム設立と長女起用の理由
[設問文]なぜ、A社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100字以内で答えよ。 [解答]理由は①物流需要がある首都圏で新市場開拓し②将来的に新事業部を発足させ、受注処理や在庫管理のノウハウを得るため。狙いは①物流企画や営業の経験を活かし②将来の経営者としてのマネジメント力を高めること。
この設問では、アンゾフの成長ベクトル(マトリックス)における「新市場開拓」の視点から考えました。そして、与件文からは以下の情報を参照しました。
反省点としては、地元志向が強いというA社の特性や、プロジェクトチームのメリットである「既存事業にとらわれない発想」などの要素を取り入れられなかった点が挙げられます。
・第6段落:首都圏での物流需要、新市場開拓、物流企画部門や営業部門を経験
・第7段落:プロジェクトチームは解散し首都圏事業部として再出発、ノウハウを蓄積
・第8段落:長女が2代目経営者に就任
第3問:Z社がA社に案件を持ちかけた理由
[設問文]なぜ、Z社はA社に案件を持ちかけたのか。100字以内で答えよ。 [解答]県内進出にあたり、地元密着型で質の高い県内事業部があるA社と取引することで、各店舗の適正在庫管理や機動的な商品補充を行い、A社の情報システムを活かして新規顧客獲得し、事業・売上拡大しようとしたから。
この問題では、A社の強みとZ社にとってのメリットを考慮して回答しました。そして、与件文からは以下の情報を参照しました。
反省点としては、「各店舗の適正在庫管理や機動的な商品補充」という要素は第4問の設問2で使うべきだった可能性があるという点が挙げられます。回答の配分をもう少し工夫できたかもしれません。
・第3段落:地域密着型の質の高い輸送サービス
・第9段落:新たに情報システム部を設立
・第11段落:県内進出、各店舗の適正在庫管理や機動的な商品補充
第4問:3PL事業者としての展開
(設問1)
[設問文]2024年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80字以内で答えよ。 [解答]狙いは、経営幹部が2代目経営者を支える体制にしてニーズ収集力を全社に反映させ、長男をマネージャーにすることで物流システム構築のノウハウを県内事業部にも活かすこと。
この設問では、X社の組織課題に対してA社の組織の強みを活用する形で回答しました。そして、与件文からは以下の情報を参照しました。
配置転換の内容を示した上でそれぞれの狙いを説明するような文章構成は読みやすく、良かったと思います。ただ、「ニーズ収集力」という表現よりも、「補佐する」や「相互連携」といった表現を使った方が良かったかもしれません。
・第3段落:地元特有の荷主のニーズを収集
・第9段落:物流システム構築に従事していた長男
・第12段落:経営幹部が専務取締役として2代目経営者を支える体制、長男を経営幹部の直下の運送部と倉庫部の統括マネージャーに配置する体制
(設問2)
[設問文]A社がZ社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100字以内で助言せよ。 [解答]施策は①長男を中心に情報システムをZ社のニーズに対応できるものにし②採用強化③公正・公平な評価制度④成果に応じた報酬制度導入⑤OJT等で能力開発すること。人手不足・Z社ニーズ対応し、取引関係強化を図る。
この設問では、中長期的な視点で実現可能な施策を記載しました。そして、与件文からは以下の情報を参照しました。
反省点としては、施策の羅列になってしまった点や、輸送事業者の確保という課題に対して「採用強化」という施策が適切だったかどうかという点が挙げられます。また、協力会事業者との連携強化や能力開発をどのように県内事業部の強化に繋げるかという点も、もう少し明確にできたかもしれません。
・第9段落:首都圏事業部の物流ノウハウに適合しない
・第13段落:人手不足、物流の多様化や複雑化への対応
おわりに
今回の事例Ⅰでは、A社の強みを活かした新しい事業展開、特に、地元密着型のサービスや情報システムの活用、人材の適材適所への配置など、経営資源の有効活用が重要なポイントでした。
回答作成時には、各設問の接着性を意識しながら、与件文の情報を的確に拾い上げることを心がけました。一方で、施策の羅列になってしまった箇所や、課題と施策の整合性が不十分だった点などは、反省点だと思います。そう考えると64点という得点にも納得がいくと思います。
次回は事例Ⅱの再現答案について解説していく予定です。引き続きよろしくお願いします!