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わたしの再現答案リアル解説(R06事例4 90点) 【とっつぁん⑤】

本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例4 90点) とっつぁん

こんにちは、とっつぁんです!

今回はR6年度本試験事例4の再現答案の解説をさせていただきます。

なお再現答案については、助詞などの使い方が適切でない文章もそのまま残していますがご了承ください。

試験終了後に本試験で実際に記載したと思われる内容を整理した結果ですので、試験で解答したリアルを感じていただければと思います。

※解答内容や計算式は、メモ用紙の下書きから解答用紙に写した後に解答用紙上で直接修正したり、記憶を頼りに再現しているため、計算が合わなかったり前後の解答と矛盾している場合があります。

※解答した順番も後述していますので参照ください

各設問の再現答案と解説

第 1 問(配点 25 点)
(設問 1 )
 D 社および同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較して D社が優れていると考えられる財務指標を 1 つ、劣っていると考えられる財務指標を2 つ取り上げ、それぞれについて、名称を⒜欄に、その値を⒝欄に記入せよ。解答にあたっては、①の欄に優れていると考えられる指標を、②、③の欄に劣っている
と考えられる指標を記入すること。なお、⒝欄の値については、小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示すること。また、⒝欄のカッコ内に単位を明記すること。
(設問 2 )
 D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を 80 字以内で述べよ。

(設問 1 )
①有形固定資産回転率 11.26回
②負債比率 606.94%
③売上高総利益率 59.01%

(設問 2 )
特徴は、自社工場生産で顧客の評価が高く効率性は良いが、来店客数と客単価がコロナ禍以前の水準でなく競争環境が激しく一貫体制の構築・維持コストで収益性、安全性が悪い。

まず、与件文を読みながら、SWOT分析などからD社の特徴を把握し、対象となる指標を想定し、その後、D社、同業他社の代表的な指標を計算しました。

参照したものとしては(与件文抜粋)、

S)

第2段落:地元産の新鮮な食材にこだわったメニューに特色があり、とりわけ契約農場から仕入れた鶏を原料として自社工場で製造する焼き鳥や唐揚げは、顧客から高い評価を獲得している。

第6段落:製品開発から生産、加工、販売に至る一貫体制を構築したことが、開発の迅速化、品質管理の徹底、店舗運営の効率化などに寄与

W)

第2段落:業績は回復途上にあるものの、来店客数や客単価はコロナ禍以前の水準に達していない。加えて近
年、大手資本の進出が相次ぎ、競争環境が厳しさを増している点が懸念材料となっている。

第4段落:飲食事業と惣菜事業については、現在はほぼ Z 市および県内市町村のみで展開している。

第5段落:ここ数年は売上の減少が続いており、コスト効率の向上が求められている。

第6段落:こうした一貫体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めている

また、財務指標の切り口は安全性指標、収益性指標、効率性指標の3つから多面的に解答することがセオリーですので、想定される財務指標をイメージしながら整理を行いました。

・安全性指標に該当しそうな内容

→一貫体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めている

・収益性指標に該当しそうな内容

→一貫体制の構築・維持にはコストがかかり、財務的なリスクを高めている/ここ数年は売上の減少が続いており、コスト効率の向上が求められている。

・効率性指標に該当しそうな内容

→自社工場で製造する焼き鳥や唐揚げは、顧客から高い評価を獲得している。

上記及び各財務指標の計算結果を参照し、

優れている点:効率性

劣っている点:安全性収益性

とし、具体的な指標は、

・安全性:貸借対照表の情報から長期借入金が同業他社比較で非常に大きいため「負債比率」を選択(一貫体制を構築するための工場の保有などが影響していると想定)

・収益性:生産〜販売課程は効率化ができている=販管費に対する課題感は小さいとは思われたため、販管費が含まれない「売上高総利益率」を選択

・効率性:自社工場で製造する焼き鳥や唐揚げは顧客から高い評価を獲得を獲得していることから「有形固定資産回転率」を選択

しています。

上記を踏まえて、(設問2)D社の特徴を整理しました。

第 2 問(配点 20 点)
(設問 1 )
 取引先の X 社から次期に最大 6,500 袋を購入したいという引き合いがあった。ただし、販売価格 3,000 円での納入を打診されている。D 社としては加工事業のテコ入れを検討しているという事情もあり、引き受けを検討している。
 一方で、新たに Y 社からも、次期に最大 4,200 袋を購入したいという引き合いがあった。ただし、タレで味付けするなどの追加加工を行った上で、4,800 円で納入することを打診されている。なお、追加加工は現有の設備で可能であり、新規の設備投資は必要ない。追加加工に必要な 1 袋当たりの原価などのデータは以下のとおりである。
 X 社および Y 社と交渉したところ、両社とも注文数量の調整に応じてくれることが分かった。次期の営業利益を最大化するための生産数量と、そのときの営業利益の額を答えよ。
 解答にあたっては、X 社向けの生産数量を⒜欄に、Y 社向けの生産数量を⒝欄に、それぞれ記入すること。また、営業利益の額は⒞欄に記入するとともに、計算過程を⒟欄に示すこと。

a:6,500袋
b:240袋
c:2,670,800円
d:
X、Yの時間あたり限界利益を算出する。
X:限界利益1220円/袋、直接作業時間あたり1220円、機械運転時間あたり610円
Y:限界利益1420円/袋、直接作業時間あたり568円、機械運転時間あたり568円
より時間あたり限界利益の大きいXを優先的に生産する。
Xを6,500袋生産すると直接作業時間6,500h、機械運転時間13,000hより残りは直接作業時間3,500h、機械運転時間600hとなる。
機械運転時間より600h÷2.5h/袋=240袋
営業利益=6500×(3000-1780)+240×(4800-3380)-5,600,000=2,670,800円

第 2 問
(設問 2 )
 Y 社から、最低でも 2,400 袋以上購入することを希望しており、また販売価格の引き上げについては交渉に応じる旨の連絡があった。なお D 社は、設定した販売価格の下で営業利益を最大化するように生産数量を決定するという方針をとっている。生産数量についての Y 社の希望に応じるためには、Y 社向けの製品の販売価格を何円以上に設定すればよいか。
 解答にあたっては、販売価格を⒜欄に記入するとともに、計算過程を⒝欄に示すこと。

a:4,896円
b:
一袋あたりの直接作業時間X1.0h,Y2.5h、機械運転時間X2.0h,Y2.5hより
Xの生産量をx,Yの生産量をyとすると、
直接作業時時間x+2.5y≦10,000
機械運転時間2x+2.5y≦13,600
が成立するx,yを求めると、x≦3600袋,y≦2560袋
最大数量の時に営業利益が最大になる。
Yの販売価格をtとすると、稼働時間からの最大営業利益より
営業利益=3600×1220+2560×(t-3380)-5,600,000≧2,670,800
よりt≧4895.156円のため4,896円以上

各作業時間の式の交点=営業利益が最大になる数量と、その時の単価を算出する問題であると考えました。

設問文「設定した販売価格の下で営業利益を最大化するように生産数量を決定するという方針をとっている」となっているが、営業利益が最大になる数量が”交点”であるため、交点の数量を販売した場合に必要となる最低単価を求めました。

第 3 問(配点 30 点)
(設問 1 )
 初年度および 2 年度のキャッシュフローの更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。
 解答にあたっては、初年度の増加額を⒜欄に、 2 年度の増加額を⒝欄に、それぞれ記入すること。

a:36万円
b:74万円

※設問文の誤読をしてセオリーとは異なる計算をしてしまった勿体無い問題となってしまいました、、、

(設問 2 )
 この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。ただし、資本コストは 9 %とする。利子率 9 %のときの複利現価係数と年金現価係数は以下のとおりである。解答は小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示すること。なお、正味現在価値を⒜欄に記入し、計算過程を⒝欄に示すこと。

a:15.05万円 ※メモ参照
b: ※
正味現在価値=各年のCFの現在価値の合計-初期投資費用を求める。
CF=営業利益×(1-税率)+減価償却費-運転資金増加額+設備売却価格より
1年目CF=(30-110)×0.7+40-25+110=69
2年目CF=70×0.7+40-15=74
3-8年目CF=70×0.7+40=89
9年目CF=70×0.7+40+40=129
より正味現在価値=106×0.917+74×0.842+89×(5.033-0.842)+129×0.460-540+70=51.849 ※記憶式から計算

(設問 3 )
 D 社は、営業利益の予測が正しいかどうかを探るため、初年度期首に 30 万円をかけて市場調査を行った。その結果、営業利益は 60 %の確率で予測どおりとなるが、40 %の確率で価格競争の激化により予測の 7 割にとどまることが分かった。なお、営業利益が減少する場合でも、運転資本の残高に関する予測に変化はない。このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。正味現在価値は⒜欄に、小数第 3 位を四捨五入し、小数第 2 位まで表示するとともに、⒝欄のカッコ内の「ある」か「ない」に○印を付して答えること。また、⒞欄に計算過程を示すこと。

a:△16.02万円 ※記憶
b:ない
c:
増加営業利益の期待値を算出する。
1年目営業利益=30×0.6+30×0.7×0.4=26.4
2 年目以降=70×0.6+70×0.7×0.4=61.6
より予測との差額は
1年目=26.4-30=-3.6万円
2-9年目=61.6-70=-8.4万円
より正味現在価値の差額=-(30+3.6×0.7×0.917+8.4×(0.842+0.842×5.033+0.460)×0.70)=-64.8847
予測との比較でNPV=51.849-64.884 =-16.02<0のため採用しない
※記憶式から計算(計算合わずのため中略)

※手元の最終的な結果と計算の書き出しのメモより上記を再現答案としている

第 4 問(配点 25 点)
(設問 1 )
 D 社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利潤を上乗せした価格を用いている。D 社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の業績評価を行う上でどのような問題点があるのか、80 字以内で説明せよ。
(設問 2 )
 D 社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を、60 字以内で説明せよ。

(設問 1 )
問題点は①加工事業部からの販売価格が市場価格以下の場合、本来得られた利益を得られないこと②市場価格以上の場合、他の事業部の仕入れコストが上がり利益を圧迫すること。

部門間の販売方法に「製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利潤を上乗せした価格を用いている」ことを、市場価格>社内販売価格の場合、市場価格<社内販売価格の場合を、販売する加工事業部目線、仕入れをする飲食事業部・惣菜事業部目線でデメリットになることを記載しました。

結果として、

販売部門としては、市場価格>社内販売価格なら市場に出せばより利益が得られる可能性があること

仕入れ部門としては、市場価格<社内販売価格なら必要以上のコストを払っている可能性があること

をまとめています。

(設問 2 )
留意点は①投資の意思決定権がないためプロフィットセンターとして評価すること②利息等を含めない貢献利益で業績評価をすること。

事例1と事例4の知識を組み合わせた解答を意識しました。

事例1の知識としては、権限責任の一致。事例4の知識としては、非投資部門の事業部長がコントロール可能な財務指標は何か、を整理しました。

販売投資の意思決定ができない(権限がない)という制約条件に加え、与件文から各事業部が市場(非社内)への売上を持っていることがわかることから、プロフィットセンターという単語を用いてどのような部門として評価するかを表現しました。

加えて、投資の意思決定を行わないことから投資の意思決定による影響のある費用を除く変動費と固定費(管理可能固定費)のみを対象にした財務指標=貢献利益で評価することを表現しました。

最後に

※記載内容には他の再現答案解説との重複があります

よく言われることではありますが、他の事例も含め解答において意識していたことは大きくこの2つだけです。

①設問文、与件文に忠実に。客観性をつけるために設問文・与件文の記載内容を単語レベルでも活用した解答とする。

まず、理由は?狙いは?施策は?などの問いに対して、解答の”主語”を間違えないこと。これは、解答作成における最重要事項でもあると思います。

私は、設問文を読むと同時に、解答用紙と解答下書き欄にまず主語だけ書いておくことで、問いに対して解答の方向性がズレないように意識していました。

また、NPVなどの文章+計算の問題では、「正味現在価値を求める」などを設問内容の確認時点で記載しておき、切り口を間違えないようにすることはもちろん、どこの解答枠に何を解答するのかを間違えないようにしました。

事例4で解答枠を間違えてしまうと大きな時間ロスになるので、解答時間をしっかり確保するための工夫は大切です。

事例4は他の事例と異なり、解答でストーリーを作るというよりも、各設問単独での解答内容が重視される試験だと思います。

全体の流れとしては下記の通りで実施しました。

①全体の設問内容に目を通す(最初の段階では設問文は長いので読まず問いの部分のみ確認)

②問われている内容から解答手法の目星をつける(CVP、NPVなど)

③解答する大問の順番を決める

④与件文を読む

⑤各設問の解答

解答は、満点を狙う設問→完答必須の設問→完答を狙いつつ部分点が取れるだけでもOKという順番で設定しました。

試験では第1問→第4問→第2問→第3問の順で解答しています。

特に第1問以外にも毎年1問は出題される文章のみで解答する問題(今回で言うと第4問)は、設問文+知識のみで対応できる問題でもあるので、高得点を狙える設問です。

また、計算問題以上に他の受験生と差をつけやすい設問なのではないかと推測していました。(NPV問題は他の受験生も解けない=差をつけにくいため、他の設問で点数の差をつける必要がある、と言う考え方をしました)

そのため、最初にしっかりとした解答を完了させることで、部分点を含めた加点を狙う計算問題に集中できるようにしておくと良いと思います。

試験本番では、事例演習を行っている時にできていることが、良くても同じレベルまでしか発揮できません。

試験時間の過ごし方や解答に至るプロセスや考え方、書き方は、再現性のある自身の”型”として定着させれば、試験当日の初見問題に対しても落ち着いて向き合えるようになるはずです。

満点解答がわからない試験ですので、合格者の解答もさまざまですし、解答を導くまでの型もひとつではありません。

ご自身に合う型を見つけ、定着させ、本試験に挑んでください!

おまけ

私は、全事例の中で事例4が一番得意な(できれば満点を取りたい)科目でした。

なので、苦手科目(具体的には事例3)は50点〜足切り回避、事例1・2で平均60点、得意の事例4は60点代後半〜70点代、と言うバランスを目指していました。

1年目の事例4は、解けなかった問題もあった中で68点という結果でしたので、少なくとも全問解き切ることができれば70点も十分狙えるものと考えていました。

ただ、いちばんの課題は、いかにして時間内に全問解き切るか、でしたし、中小企業診断士試験は偏差値評価でもある(と言う認識)ので、

・他の多くの受験生が解ける問題はできないとマイナス評価(足切りのリスク)になり得る

・他の受験生は解ける解けないが半々の問題は良くも悪くも差をつけられる問題

・他の多くの受験生が解けないと思われる問題の点数への影響は限定的

と考えていました。

そのため、今回の試験でいうと

第1問:確実に満点近い解答を

第2問:CVP問題は解ける解けないが半々になると思われるため、確実に満点近い解答を

第3問:NPVは解けない人が多いため、部分点でも加点できればOK

第4問:文章題は解ける解けないが半々になると思われるため、確実に満点近い解答を

と言う重要度切り分けをしました。

解答の順番は、

①重要度の高い第1問

②重要度が高く知識のみで解答可能(計算が不要)な第4問

③重要度が高く計算が必要な第2問

④難度が高く差が付きにくいため優先度は低いが、部分点を狙いつつ完答を目指す第3問

の順番で解答をしました。

結果的に、全問正解(満点)ではなかったものの、完答ができ60点を大きく超える点数を取れました。

皆さんの事例4の得手不得手や狙っている点数に合わせて、解答順を設定したり、最低でもどこまで解答するのか、など、設問に解答する以外の試験対策もご自身なりに設定してみてください。

以上

お勧め2次対策講座

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