本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例1 63点) とっつぁん
こんにちは、とっつぁんです!
今回はR6年度本試験事例1の再現答案の解説をさせていただきます。
なお再現答案については、助詞などの使い方が適切でない文章もそのまま残していますがご了承ください。
試験終了後に本試験で実際に記載したと思われる内容を整理した結果ですので、試験で解答したリアルを感じていただければと思います。
各設問の再現答案と解説
第 1 問(配点 20 点)
A 社の 2000 年当時における⒜強みと⒝弱みについて、それぞれ 30 字以内で答えよ。
a)
地元協力会事業者との連携、倉庫・配送での地元顧客要望への対応力。
b)
顧客新規開拓力が弱い、旧態依然の管理体質で受注管理面が非効率。
強み・弱みのリストアップには、2000年当時という時間軸に注意しました。
解答はそれぞれ2つ記載していますが、本事例に限らず、強み・弱みは与件文から1つしか明確にわからないことや、逆に3つ4つ想定できることもありますので、第2問以降との関連性を考慮して選択していきました。
第 2 問(配点 20 点)
なぜ、A 社は、首都圏の市場を開拓するためにプロジェクトチームを組織したのか。また、長女(後の2代目)をプロジェクトリーダーに任命した狙いは何か。100 字以内で答えよ。
理由は、専門知識を生かしスピード感を持って首都圏物流需要の新市場開拓のため。狙いは①前職での知識と経験を活用し組織の高次学習を促し事業推進をすること②事業承継を見据えリーダー経験で後継者育成をすること。
この設問は、”なぜ”から始まる文(理由)、”また”から始まる文(狙い)の2つの構成ですのでそれぞれ整理します。理由と狙いはピラミッド型の文章構成と考え、理由は1つ、狙いについては2つの切り口として多面的な解答としています。
理由について、この設問文におけるキーワードの一つは、プロジェクトチームです。プロジェクトチームの特徴は何か?新市場開拓に活かせるメリットは何か?をイメージしながら、与件文の単語を活用し整理しました。
狙いについては、長女に関しては、同業他社で経験を積みA社に加わっていること、後に2代目に着任することから、これらに関連することを記載しました。
3 問(配点 20 点)
なぜ、Z 社は A 社に案件を持ちかけたのか。100 字以内で答えよ。
理由は①県内進出にあたり地域物流のコーディネーターで地元顧客のニーズにきめ細かく対応できる配送と保管サービスを有していたため②長男の物流システム提案力で在庫管理や商品補充対応が可能になると考えたため。
なぜ、という理由を問われていますので、A社が選ばれる理由=A社の強み・特徴がZ社のニーズとしてあると考えました。
理由としては2つ記載していますが、①は第一問の記載内容、②はZ社が首都圏事業部とのつながりで県内進出の相談を受けたことから首都圏事業部ならではのことで長男のシステム提案力が切り口になると考えて記載をしました。
4 問(配点 40 点)
今後、A 社が 3 PL 事業者となるための事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問 1 )
2024 年の創業経営者の助言による配置転換の狙いは何か。80 字以内で答えよ。
(設問 2 )
A 社が Z 社との取引関係を強化していくために必要な施策を、100 字以内で助言せよ。
1)
狙いは①県内事業部のノウハウを長女に共有し全社的な意思決定が可能な体制とするため②長男を県内事業部の統括に抜擢することで年功序列的な古い習慣を変えるため。
2)
施策は①各事業部のノウハウ共有でシナジーをうみ適正在庫管理や機動的な商品補充ニーズに対応する②処遇制度を見直し成果給制度導入でモラール向上し社内人材を確保し、首都圏委託先と連携強化で対応体制を強化する。
この設問の位置付けは3PL事業者としての事業戦略につなげることにあります。
また、ここまでの解答において、与件文に記載されている重要な情報である組織図をまだ使用しておりませんでしたので、図を活用しながら解いていきました。
※与件文・設問文に図が出てきたら、図の活用はMustです!
設問1は配置転換ですので組織体制につなげる、さらに抽象化すると組織戦略に関することだと考えました。
組織戦略は構造と文化。配置転換として大きな変化は長女とその長男の配置ですので、その2つを切り口にしています。
また、設問2にもつながると考えたため、第1問だけ独立しているような印象となる解答は避け、設問2の解答を意識して整理をしています。
なお、解答に記載した”抜擢”という単語は与件文の長男の配置転換に関する記載にも使用されていたのですが、わざわざ入れている表現だと思ったため与件文活用(客観性)という点で記載しました。
設問2の問いは”施策”ですので、人事戦略である能力とモラールの向上を切り口と考えました。また、それをZ社との取引関係の強化(ニーズやボトルネックの解消)につなげる解答を意識しました。
能力については、図を参照した記載としています。図の書き方として、別々の事業部としての活動をしているように見えること、設問1で二代目の長女とその長男の配置転換により部門間の連携がしやすくなったと考え、シナジーという単語で組織能力を向上させることを表現しました。
モラールについては、不満として出ている処遇面の解消をすること、ただ解消するだけでなくその背景にも触れるような記載としました。これにより人材確保をすることで、ニーズに対応するための体制を整えること意識した記載をしました。
最後に
よく言われることではありますが、他の事例も含め解答において意識していたことは大きくこの2つだけです。
①設問文、与件文に忠実に。客観性をつけるために設問文・与件文の記載内容を単語レベルでも活用した解答とする。
まず、理由は?狙いは?施策は?などの問いに対して、解答の”主語”を間違えないこと。これは、解答作成における最重要事項でもあると思います。
私は、設問文を読むと同時に、解答用紙と解答下書き欄にまず主語だけ書いておくことで、問いに対して解答の方向性がズレないように意識していました。
加えて、時期などの制約も漏らさないように気をつけます。
また、事例企業に対する診断・助言ですので、企業の状態を考慮しているということが伝わるように、必ず設問文・与件文に記載されている内容を活用します。最低限では、特徴的な単語ひとつでも良いともいます。
一方で、相談を受けている”中小企業診断士”の立場ですので、中小企業診断士としての知識・スキルを活用していることがわかるような内容とする=文の抜き出しだけにならないようにすることも重要です。(ex.第2問の高次学習や事業承継という単語を使用)
②第1問から第4問までがストーリーとなるような繋がりのある解答とする。
事例問題は、企業の現状分析をもとに戦略を考える(助言する)というストーリーです。ですので、一貫性のある解答を意識します。
最終的には戦略の助言をするため、私は第4問(最終問題)を最初にまとめ、第一問まで順に戻るように意識して解答をしていました。
ただ、順番に戻れないことも当然あるので、第4問は最初に大枠の整理をすることはMustとしつつ、場合によっては第2-3問が最後になることがあっても良いと思います。
実際に私は本試験の時に、最後に書いていたのは第4問でした。事前の整理段階でうまくまとめることができていなかったので、書きながらまとめていたので、試験終了の合図の時まで書いていた記憶があります。(そのため、解答の締め方もメチャクチャになっています)
試験本番では、事例演習を行っている時にできていることが、良くても同じレベルまでしか発揮できません。
試験時間の過ごし方や解答に至るプロセスや考え方、書き方は、再現性のある自身の”型”として定着させれば、試験当日の初見問題に対しても落ち着いて向き合えるようになるはずです。
満点解答がわからない試験ですので、合格者の解答もさまざまですし、解答を導くまでの型もひとつではありません。
ご自身に合う型を見つけ、定着させ、本試験に挑んでください!
以上