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わたしの再現答案リアル解説(R06事例4 89点) コウジ

本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例4 89点) コウジ

今回からは私が受験した昨年度の二次試験の実際の答案について、解説する記事を書いていきます。
できるだけリアルにお伝えできるようにしたいと思います。

本シリーズでは、私の得点が最もよかった科目から順番に記事を書いていきたいと思います。

理系の私にとっては得点源となる事例4が、やはり本番でも最も得点が高かったので、今回は事例4の再現答案について書いていきます。

過去問のネタバレがございますので、まだ解いていないという方は、解いた後に読むことをお勧めします。

第1問(設問1)

設問

D 社および同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較してD社が優れていると考えられる財務指標を1つ、劣っていると考えられる財務指標を2 つ取り上げ、それぞれについて、名称を⒜欄に、その値を⒝欄に記入せよ。
解答にあたっては、①の欄に優れていると考えられる指標を、②、③の欄に劣っていると考えられる指標を記入すること。なお、⒝欄の値については、小数第3位を四捨五入し、小数第2位まで表示すること。また、⒝欄のカッコ内に単位を明記すること。

答案①優れている財務指標

有形固定資産回転率
11.26回

答案②劣っている財務指標

売上高営業利益率
1.01%

負債比率
606.94%

解答作成時の思考プロセス

以下のように、明確に劣っている指標を探し出し、優れている指標は消去法で回答しました

  • 貸借対照表から、純資産が少なく、負債が多いが悪いことがわかる
    (負債比率:D社は606.94%、同業他社は180.37%)
  • 損益計算書から、利益率が低いことがわかる
    一貫体制の構築・維持にコスト→体制管理のコスト(販管費)と考え、売上高営業利益率を選定
    (売上高営業利益率:D社は1.01%、同業他社は4.22%)
  • 明確に劣っている指標が安全性と収益性から2点見つかったので、残り1点は効率性から優れている指標を探す
    効率性では、棚卸資産回転率、売上債権回転率は劣っているので、有形固定資産回転率を選定
    (有形固定資産回転率:D社は11.26回、同業他社は6.74回)

第1問(設問2)

設問

D 社の当期の財政状態および経営成績について、同業他社と比較した場合の特徴を80字以内で述べよ。

答案

製品開発から販売に至る一貫体制で、開発の迅速化や店舗運営の効率化で、効率性は高いが、体制維持のためのコスト負担で収益性が低く、借入金依存度が高く安全性も低い。

解答作成時の思考プロセス

回答の根拠として、強みと弱みを整理し回答を作成しました

  • 優れている指標(効率性が高い)
    強みは、地元産の食材、事業の多角化でリスク分散、生産~販売の一貫体制
  • 劣っている指標(収益性、安全性が低い)
    弱みは、売り上げ減少、一貫体制のコスト負担による財務的リスク

第2問(設問1)

設問

X社およびY社と交渉したところ、両社とも注文数量の調整に応じてくれることが分かった。次期の営業利益を最大化するための生産数量と、そのときの営業利益の額を答えよ。
解答にあたっては、X社向けの生産数量を⒜欄に、Y社向けの生産数量を⒝欄に、それぞれ記入すること。また、営業利益の額は⒞欄に記入するとともに、計算過程を⒟欄に示すこと。

答案

(a)6500

(b)240

(c)2,670,800

(d)X社向け売価は3000円、変動費は1780円、限界利益は1220円 Y社向け売価は4800円、変動費は3380円、限界利益は1420円 X社、Y社向け販売数をx,yとすると、 x+2.5y≦10000、2x+2.5y≦13600を満たす必要がある。 限界利益1220x+1420yを最大化するときx=6500、y=240となり、 営業利益は1220×6500-1420×240-5,600,000=2,670,800

解答作成時の思考プロセス

典型的なCVPの問題なので、以下の流れで考えました

  1. 最初に限界利益を計算する
  2. 生産数量の制約を数式化する
  3. 生産数量の制約を満足する条件で、限界利益を最大化する条件を探す
    多くのケースでは、①いずれかの製品を最大限に作った場合、②制約となるリソースをすべて使いつくす場合(→連立方程式の解)、が該当する条件となる
    今回は、X社向けの時間当たり限界利益が大きいため、X社向けに最大限に生産する場合が限界利益を最大化できる条件となる
  4. 条件を最大化するときの販売数から、営業利益を計算する(営業利益=限界利益-固定費)

第2問(設問2)

設問

Y 社から、最低でも2,400袋以上購入することを希望しており、また販売価格の引き上げについては交渉に応じる旨の連絡があった。なおD社は、設定した販売価格の下で営業利益を最大化するように生産数量を決定するという方針をとっている。生産数量についてのY社の希望に応じるためには、Y社向けの製品の販売価格を何円以上に設定すればよいか。
解答にあたっては、販売価格を⒜欄に記入するとともに、計算過程を⒝欄に示すこと。

答案

(a)4894.5

(b)(設問1)の連立方程式を解くとx=3600、y=2560となる
ここで営業利益は、1220×3600+1420×2560ー5,600,000=2,427,200
営業利益の減少額は、2,670,800-2,427,200=243,600円
値上げ額は243,600/2560=95.16円

Y社向けの生産量が最小のy=2400のとき、x=3800が最大生産量となる
このとき営業利益は、1220×3800+1420×2400-5,600,000=2,444,000
営業利益の減少額は、2,670,800-2,444,000=226,800円
値上げ額は226,800/2400=94.5円

よって販売価格は4894.5円

解答作成時の思考プロセス

CVPの応用問題なので、利益を最大化しうる複数の場合について計算を行い、値上げ幅が最も小さくなる数値を回答としました

第3問(設問1)

設問

初年度および2年度のキャッシュフローの更新前と比べた増加額(初期投資と旧機械の売却収入を除く)を計算せよ。
解答にあたっては、初年度の増加額を⒜欄に、2年度の増加額を⒝欄に、それぞれ記入すること。

答案

(a)36
(b)74

解答作成時の思考プロセス

典型的なキャッシュフロー(CF)の計算問題なので、税引き後営業利益の増加(プラスのCF)、運転資本の増加(マイナスのCF)、減価償却費の増加(プラスのCF)を考慮して解きました

  1. 初年度
    • 営業CFは、利益増加30ー法人税増加30×0.3=21万円
    • 運転資本増加によるCF増加は、-25万円
    • 減価償却費の増加は、540/6-240/12=40万円
    • 21-25+40=36万円
    • 初期投資と旧機械の売却収入を考慮しないと書いてあったので、旧機械の売却損(70-240×9/12=110万円)に対する法人税の減額分(110×0.3=33万円)は含めずに回答としました
  2. 2年度
    • 営業CFは、利益増加70ー法人税増加70×0.3=49万円
    • 運転資本増加によるCF増加は、-15万円
    • 減価償却費の増加は、540/6-240/12=40万円
    • 49-15+40=74万円

第3問(設問2)

設問

この新機械の試験的導入における正味現在価値を計算せよ。ただし、資本コストは9%とする。利子率9%のときの複利現価係数と年金現価係数は以下のとおりである。解答は小数第3位を四捨五入し、小数第2位まで表示すること。なお、正味現在価値を⒜欄に記入し、計算過程を⒝欄に示すこと。

答案

(a)51.14

(b)各年度のCFは投資時点:-470
1年目:+69
2年目:+74
3~8年目:+89
9年目:+129
NPV=-470+69×0.917+74×0.842+89×0.842×5.033+40×0.460=51.14

解答作成時の思考プロセス

典型的なNPVの計算問題なので、9年間のCFを計算して現在価値に変換する方法で解きました

  • 各年度のCFを整理すると以下の通り
0年1年2年3~8年9年
営業CF変化30707070
利益増加による税変化-9-21-21-21
運転資本変化-25-1540
減価償却費変化40404040
損失による税変化110×0.3
投資CF-540+70
合計-470697489129
  • 与えられているのが7年の年金減価係数だったので、3~9年目の営業CF、減価償却費変化分を年金減価係数で計算し、9年目の運転資本変化の分は別途計算しました
  • NPV=-470+69×0.917+74×0.842+89×0.842×5.033+40×0.460=51.14

第3問(設問3)

設問

D社は、営業利益の予測が正しいかどうかを探るため、初年度期首に30万円をかけて市場調査を行った。その結果、営業利益は60%の確率で予測どおりとなるが、40%の確率で価格競争の激化により予測の7割にとどまることが分かった。なお、営業利益が減少する場合でも、運転資本の残高に関する予測に変化はない。
このとき、新機械の試験的導入を実行すべきかどうか、正味現在価値を示して答えよ。正味現在価値は⒜欄に、小数第3位を四捨五入し、小数第2位まで表示するとともに、⒝欄のカッコ内の「ある」か「ない」に○印を付して答えること。また、⒞欄に計算過程を示すこと。

答案

(a)18.96

(b)ある

(c)価格競争が激化するケースの各年度のCFは
投資時点:-470 1年目:+62.7 2年目:+59.3 3~8年目:+74.3 9年目:+114.3
よってNPVはー29.31万円
NPVの期待値は、51.14×0.6+(-29.31)×0.4=18.96万円となりNPVが正であるから投資を実行すべき。

解答作成時の思考プロセス

設問2と同様に、競争が激化するケースでの9年間のCFを計算して現在価値に変換する方法で解きました

  • 各年度のCFを整理すると以下の通り
0年1年2年3~8年9年
営業CF変化21494949
利益増加による税変化6.314.714.714.7
運転資本変化-25-1540
減価償却費変化40404040
損失による税変化110×0.3
投資CF-540+70
合計-47062.759.374.3114.3
  • 与えられているのが7年の年金減価係数だったので、3~9年目の営業CF、減価償却費変化分を年金減価係数で計算し、9年目の運転資本変化の分は別途計算しました
  • 競争が激化するケースのNPV=-470+62.7×0.917+59.3×0.842+74.3×0.842×5.033+40×0.460=-29.31
  • 競争が激化しないのは60%の確率で+51.14万円、競争が激化するのは40%の確率でー29.31万円であるため、
    NPV=51.14×0.6+(-29.31)×0.4=18.96
    よって、「投資すべき」

第4問(設問1)

設問

D 社では、事業部の業績評価のために、加工事業部から飲食事業部および惣菜事業部への製品の供給を事業部間の販売とみなし、そこでは製品単位当たりの全部原価に一定の割合の利潤を上乗せした価格を用いている。D社が採用しているこのような価格の設定方法には、事業部の業績評価を行う上でどのような問題点があるのか、80字以内で説明せよ。

答案(設問1)

問題点は、製品の原価を正確に把握できず、事業部の収益性の評価が妥当でなく、事業部の経営判断を誤るリスクがあること。D社内での製品供給に利潤を上乗せすべきでない。

解答作成時の思考プロセス(設問2)

原価と収益性を正しく把握できない点を指摘しましたが、字数が余ってしまったので、枠を埋めるために「上乗せすべきでない」と書きました

第4問(設問2)

設問

D 社では、創業者である社長が事業部の運営に大きな影響力を有しており、設備投資に関しては当該社長が実質的な意思決定権限を持っている。このような場合、財務指標を用いて事業部長の業績評価を行うときに留意すべき点を、60字以内で説明せよ。

答案(設問1)

留意点は、①投資活動による減価償却費を評価基準に含めない、②設備能力の差を考慮して評価する、③管理可能貢献利益で評価する。

解答作成時の思考プロセス(設問2)

権限と責任の範囲が一致する原則から、権限で対処できる範囲のみ(管理可能貢献利益)で評価すべきと回答しました

おわりに

事例4特化型の人間として、ほぼすべての計算問題を正答できていたと思います。

R6年度は手ごたえがあまりよくない人でも80点以上を取れていたという話も聞きますので、他社との比較という観点では、思ったほど得点が伸びなかったという印象です。

明確に分析したわけではありませんが、「記述試験のウェートはある程度維持したまま、計算試験については部分点を多く着けるような得点調整がされたのではないか」と考えています。

いまや事例4対策のセオリーではありますが、筆記問題で確実に得点することわからない問題でも部分点を狙うことは非常に重要であるといえるのではないでしょうか。

ポイントを押さえておけば、事例4で大きくマイナスになることは避けられるはずですので、苦手な方もあきらめず対策を続けていきましょう。

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