本日解説するわたしの再現答案はこちらです(R06年度事例3 54点) 雄町
こんにちは、雄町です。
「夏越しの酒」と書いて「なごしの酒」と読ませる「ひやおろし」が待ち遠しい限りです。
私の二次試験の進め方は「与件文の第1段落を読む」→「段落罫線を引く」→「設問文を読む」→「与件文に戻って通読」→「設問文にとりかかる」の順番でいつも進めていました。また、5色のマーカーを使う派です。
今回の事例Ⅲですが、私は当日最後の1分まで書いては消してを繰り返していました。特に第2問と第3問の切り分けや、そもそもの解答要素を拾ってくることがうまくいかずに半ばパニックになり、試験終了時には「足切りかも…」と絶望していました。ですので再現答案の内容があまり筋道立ったものになっていなかったり、アイデア論的な記述が多くなってしまっています。
第1問(配点20点)
[設問文]C社の強みを80字以内で述べよ。
[解答]
強みは、①C社長の搬送機器を含む工場設備レイアウト設計に精通し、顧客の工場生産力を高める提案力、②特注品の受託生産可能、③生産を国内移管で安定した納品力。
制約条件がなく、強みだけを聞かれているので、第5問との兼ね合いで選びました。基本的に強みは【企業概要】の部分に書かれていることが多い印象なので、第4段落、第5段落、第7段落から取りました。今から見れば、②の観点は強みというよりも①の結果としてそうなったようなものなので、別の記述を探した方が良かったなと思います。
第2問(配点20点)
[設問文]コロナ禍以降増加傾向にある受注量に対応するため、C社製造部では工程改善によって生産能力の向上を図る検討を進めている。どのように工程改善を進めるべきか、100字以内で助言せよ。
[解答]
助言は、①ボトルネックである製缶課の業務を一部機械加工課や組立課へ移し、業務を平準化すること、②NC工作機を中央統制し生産力向上、③材料と外注品の発注と在庫管理に余裕をもって、改善を進める。
この問題の核である「工程改善」をきちんと捉えられるかでこの問題は差が出てくるのだと思います。しかも生産能力の向上を図れることが条件なので、これに沿った記述をする必要があります。私は第15段落の製缶課がボトルネックになっていることは気づけたのですが、①の記述で止まってしまいました。②は第6段落のNC工作機からDNCを書きたかったと思われるが与件文に問題点の言及がなく、また③の外注品の管理もそもそも問題を起こしている記述が与件文にないので無理やり感が否めません。恐らく②と③は得点が入っていないと思います。
第3問(配点20点)
[設問文]C社では、受注量の増加や納期短縮要請などの影響で製造部の工程管理が混乱している。どのように工程管理業務を改善するべきか、その進め方を100字以内で助言せよ。
[解答]
助言は、①現在各課長の経験則で作成されている週次計画から実際の進度に基づく日次計画へ切り替え、進捗管理を精緻化する、②営業部と顧客との連絡を密にし、納期変更や短縮連絡を早期に受け取り反映すること。
この設問は制約がややこしく、「工程管理業務の改善」の目的は「工程管理の混乱」解消です。受注量増加や納期短縮ではないことに注意です。第14段落から大日程計画や週次日程計画に混乱が生じていることが書かれているので、①ではそのスパンを短くすること、②では第14段落の1行目の記述を裏返す形で解答しました。ただ、今思えば14段落の最終行に「IT利用も図りながら」とあるので、この観点は踏まえるべきだったと思います。また、計画のスパンを短くするのはある種のセオリーになっており私も深く考えずに書いてしまっているのですが、第13段落の6行目に「製造部各課長の経験を基に作成されている」といった記載があるので、現在の日程計画の立て方を改善する事に着目する方が与件文に寄り添った解答だったと思います。
第4問(配点20点)
[設問文]C社の顧客企業との契約金額は、最近の材料費や人件費の高騰に対応した見直しは行われているものの、現状のコスト高には対応できていない。今後、顧客企業と価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策を120字以内で助言せよ。
[解答]
事前対策は、①材料費算定を部品構成表に基づいて正確に算出する、②納期短縮変更を見越した加工費に余裕をもって算出する、③決裁者を営業部長だけでなく設計・製造部長も加え見積もりの具体性を高める。
第四問も制約条件の「価格交渉を円滑に行うための社内の事前対策」である点に注意です。
第8段落に営業部員による見積もり算出の方法が書かれているので、①はその問題点である材料費算定について書きました。②は第13段落の最後と第14段落の冒頭に顧客都合での納期変更について書かれているのでその対応として書きました。③は第8段落の4行目の記載を受けて他部署との連携を意図して書きました。
第5問(配点20点)
[設問文]C社社長は、小規模の工場施設や物流施設の新設や更新を計画している企業との直接契約し、自社企画の製品を設計、製造することで事業を拡大したいと考えている。この新しい事業展開を成功させるにはどのように推進するべきか、120字以内で助言せよ。
[解答]
助言は、①受託製造から自社開発になるため、C社社長の知見や顧客のニーズを把握したうえで開発を行う、②自社製品の見込み生産を行うため、部品製造の国内移管を進め、在庫管理を徹底すること、③メンテナンスを自社で行う必要性があり、保守部門を新設する。
第5問ですが、私は①開発、②製造、③保守の観点で書きました。①は第一問の強みを生かした形です。②は「自社企画の製品を設計、製造」に引っ張られ、見込み生産で在庫を持つと勝手に想像してしまっているのでこの様な記述になっています(思い込みは本当に注意です…)。③は第16段落のメンテナンスの記述を受けてこのようにしています。
終わりに
足切りにこそならなかったものの、題意にきちんと沿って解答できているかといえば怪しい部分が多かったです。
当日パニックを起こしてしまうと、どの道に進むのが正しいのかわからなくなり時間だけが過ぎていきます。今でこそ言えるの言葉ではありますが、そういうときは一旦深呼吸して、自分の解ける問題から取り組み、アイデア論にならず設問と与件から丁寧にキーワードを拾うことを心がけましょう。私は第2問・第3問で止まってしまったため、後ろの問題からやっていました。(結果的にパニックを引きずったまま最後の一分まで書き続けることになりましたが…)。
来月は私の二次試験失敗談か事例Ⅳの再現を行いたいと思います。また読んでいただければ幸いです。