11月の残心

みなさんこんにちは。

馬車の第五輪です。

2次試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。

受験者の中にはこの11月という時期は、何をするにも集中できない、ソワソワして仕事がなかなか手につかない、という方も多いのではないでしょうか。

かく言う自分も試験後、発表までの長期間、試験中や結果発表の夢に夜毎うなされておりましたので(だいたい悪夢)、「久しぶりに手にしたせっかくのオフタイム、他のことを考えてのんびりエンジョイしましょう」、といったポップなアドバイスは簡単に言えません。

この試験を受けたことのない人に、この11月特有の心境をどう伝えれば良いでしょう。

積年の想いを綴った恋文を送った相手から、

「返事は1ヶ月半待ってね」

と言われている状態とでもいいましょうか。(今年はなんと2ヶ月以上!)

その辺の野花でも渡されたら、深いため息とともに「受かる・落ちる」の花占いを始めてしまいかねないですよね。

「答案は放ちたる矢の如し。覆水盆に返らず。後悔先にたたず。後の祭り。今さら色々悩んでも、何をやっても結果は変わらない」

とよく言われましたし、考えました。

頭ではわかっているけど、そう簡単に割り切ることもできない。

気持ち、よくわかります。

今回はそういう複雑な心境の方に、武道でよくいわれる「残心」と言うキーワードをご紹介したいと思います。

(以下は、合気道ペーペー初心者による武道論の聞きかじりですので、「そんなのあるわけないけど、あるかもね」くらいのオープンマインドな感覚でお読みいただけると幸甚です。

【残心(残身)】とは 

(以下、弓道の残心(残身)説明)

矢の離れたあとの姿勢をいう。離れによって射は完成されたのではない。なお残されたものがある。精神でいえば「残心」形でいえば「残身」である。

「残心(残身)」は「離れ」の結果の連続であるから、「離れ」の姿勢をくずさず、気合いのこもったまま体は天地左右に伸張し、眼は矢所の着点に注いでいなければならない。

「残心(残身)」は射の総決算である。体形厳然として、縦横十文字の規矩を堅持していなければならない。

前述のように、一貫した射が立派に完成されたときは、「残心(残身)」も自然立派であり、弓倒しも生きてくる。「残心(残身)」の良し悪しによって射全体の判別ができるし、射手の品位格調も反映する。

「残心(残身)」ののち、弓を呼吸に合わせて倒し(弓倒しという)物見を静かにもどし、足をとじる。これらの動作は、すべて「残心(残身)」にふくまれるものであるという気持ちで行うことが肝要である。

- 「弓道教本」 全日本弓道連盟より -

 

 

つまり残心とは、一つの動作を終えた後に心身を緩めずにとどまること、です。

言い換えれば、動きが終わった後の心身の構えのことです。

そして重要なのは、残心によって、その前に終わった動きの質が変わることです。

ごく身近な例で言えば、ゴルフ場で、ボールを「打った後」であるはずのフォロースルーを意識することで、弾道が変わるという体験をされたことがある方がいらっしゃるのではないかと思います。ゴルフをやったことがなければ、ボーリングではどうでしょうか。

終わったのだけれど、まだ終わっていない。

自分が行った動きがあたかも必然なことであったかのように文脈を整えること。

皆さんはこのような「残心」を、診断士2次試験という真剣勝負の後の動きとしてできていますか?

・なるべく記憶の鮮度が高いうちの再現答案の作成

・自分が信頼している受験校の解答速報の入手、分析

・自分の解答の評価、分析

・支えてくれた家族へ感謝の気持ちを伝えること

・これまでの学習、取組みを振り返ること

このようなことがこの試験における残心にあたるのではないか、と僕は思います。

少なくとも、

・自分の手応え、主観的感想だけで勝手に落ち込んでずっと不機嫌でいる。

・自分の解答や受験校の分析結果から目をそむけ、耳を塞ぐ。

・家族や周囲のことは気にせず、ここぞとばかりに極端に自分の趣味・享楽に耽る。

というような態度は残心には程遠いといえるのではないでしょうか(自分で言っておきながら、とても身につまされます)。

まだ終わってない、自分の残心ができていない、と感じられる方は、ぜひ自分と真摯に向き合って納得のいく形で2次試験を終わらせてください。これはとても勇気が必要ですが、重要なことだと思います。

ルパン三世の五右衛門の斬鉄剣が「カチリ」と鞘に納まってから敵が四方に倒れるシーンのように、皆さんが見事な残心を決められることを切に願っております。

 

追伸:今回もマニアックなテーマですみません。

AASの「守・破・離」の考え方に興味を持ち、本当に合気道に入門してしまって以来、武道に熱中しておりまして。

ちなみに日本酒で、京都の老舗「松本酒造」の代表銘柄に「澤屋まつもと 守破離」という美味しいお酒があり最近はまっています(日本酒のソムリエ「唎酒師」である知人のイチ押し)。令和5年1月12日は是非こちらで乾杯を!

参考文献:内田樹 「武道論」 河出書房新社

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