『多年度生の罠』からの(俺なりの)脱却法

合格年度 合格者氏名 再現答案  
R01年度 山中良剛 pdf_ico_32

はじめに

2次試験を何回受験したら「多年度生」と呼ばれるか明確な定義は無いと思いますが、自分は5回受験したので「多年度生」の部類に入ると思います。試験の回数を重ねると通常「また繰り返してしまうのではないか?」という負の力が強くなり力を発揮できなくなるものですが、5回目は比較的淡々と試験に臨み、過去最も少ない勉強時間で合格することができました。自分の様に2次試験を何回受けても結果がでない方に、ブレークスルーへ向けた一助になればと思い、その方法をご紹介したいと思います。

プロフィール

  • IT関連企業勤務の49歳。
  • 昔は開発や運用など「現場」で「ブラック」に働くも、「やりたいこと」や「なりたいもの」が見つけられず、目の前の仕事をこなすので精一杯。
  • しかし、8年ほど前からスタッフ部門に異動。管理会計を担当。
  • 私事でも子を授かり、家を買うなどし、仕事にも時間的余裕が出てくると、「このままの自分で良いのか?」という思いが強くなる。
  • そこでこれまで見えていなかったマネジメント系の業務が見えてきて、「自分がやりたいこと」「自分しかできないこと」「自分に求められていること」の真ん中に、中小企業診断士があるのでは?と思い、2015年の春から勉強を開始。

受験歴

 

年度 1次 合計 備考
2015 7科目 62 65 49 60 236 8月からL社
2016 47 46 60 59 212 勉強会
2017 7科目 47 58 52 62 219 勉強会+8月から某小規模予備校
2018 7科目 54 55 59 55 223 AAS
2019 4科目 合格 GW明けから勉強開始
8月からO社
某スクールのオプション講座

学習方法

【一次試験について】

「過去問を繰り返し解く」これに尽きます。2次試験の権利の無い年は、勿論7科目に全力で取り組む必要があります。しかし権利のある年は無理して7科目狙わず、2次試験に関係のある部分だけ学習するのが良いかと思います。1次受験しないで2次に専念という考え方もありますが、1次知識の再整理という意味でも最低限、企業経営理論(除:労務)、財務会計(除:2次に関係しない範囲)、運営管理(除:店舗・販売管理)は学習することをお勧めします。

【AAS通学以前】

  • 1回目:知り合いの合格者から「2次試験は独学では受からないので、どこかスクールに通った方が良い」とのアドバイスから、1次受験後からスクールを探し唯一空きがあったL社に通いました。そこでは、演習実施後に何人かの解答をコピーし全員に配布し、講師が所謂「公開処刑」するスタイルをとっていました。他の受験生の解答の相場感を掴む意味では良かったと思います。L社の演習以外は過去問を10年くらい遡って解くくらいで訳も分からず受験しました。結果は不合格とはいえあと4点と「そこそこ」の結果でした。逆にこの点数が立ち塞がりのちのち苦しめられました。
  • 2~3回目:会場が職場から近いこともあり、某勉強会に通いました。勉強会仲間との議論や過去の合格者の指導がとても刺激的でしたが、結果には繋がりませんでした。質・量・方向性に気をつけて頑張ったつもりではいましたが、「あと少し頑張れば合格に届くだろう」とどこかで気の緩みがあったのかも知れません。
  • 「やはり、本格的なスクールに1年通してガッツリ通って勉強しなければ」と思い何校か検討しました。「学習体系がしっかりしている」「大規模でなく小規模でもなく先生と生徒の距離が近い」ところとしてAASを選択しました。

【AAS通学の2018年】

〇成績

イベント 合計 順位/人数 判定
第1クール 64 26 33 37 160 28位/41人
GW合宿 47 43 58 52 200 8位/29人
第2クール 68 22 31 74 195 9位/43人
AAS模試 60 65 45 49 221 10位/84人
9月合宿 71 64 89 74 298 1位/27人
第3クール 82 51 52 69 254 5位/64人

〇学習時間:約1,120時間/40週間、28時間/週、4時間/日

(含:洗濯/雪かきしながらの講義動画・音声視聴時間)

〇事例数:(正確な記録は残っていませんが確か)130事例位です。(5回目は60事例)

 

<第1クール(2月~GW)>

2次試験に3回落ちすっかり自信喪失した状態からスタートですが、心機一転AASと心中するくらいの覚悟で臨みました。とにかく、AASの課題をひたすらこなし体系をマスターするのにがむしゃらな毎日でした。洗濯・雪かき・帰宅の徒歩時間でも講義動画・音声を聞きまくりました。AASの課題を詳細かつ丁寧にこなしていくと、早坂先生から「優秀賞」と評されました。これを積み重ね自信回復に繋がっていきました。その結果、事例Ⅰは成績が伴ってきましたが、事例Ⅱ以降は全く点数が伴わず悩む日々でした。

<第2クール(GW~一次試験)>

ここでもAASの課題をこなすのに精いっぱいの日々でした。ただ、だんだん成績が伴ってくるようになり、このままのスタイルを続けることとしました。特に、事例Ⅰや事例ⅣのNPV計算法が自分なりに確立したことで、これらを軸にオールラウンドに学習していく方向性を取りました。

<第3クール(1次試験~)>

9月中旬の合宿で何故か1位となりました。当時は10月にも合宿があり、人が分散したのも要因かと思われます。ただ、ここにピークを持ってきたつもりも無く1位となってしまったことで、その後1ヶ月どう学習していったら良いか本当に悩みました。結局過去問を解くことと、それまでの演習の復習に重点を置きました。今から思えばAASが推奨する、守破離の「守」に留まってしまいました。

<2次試験>

同じ試験の部屋には、AASやかつての勉強会の戦友が数多くおり、通常の演習の感覚で臨むことができました。試験が終了した直後は、特段失敗した感覚も無く逆にうまくいった感も無く、ただただ「やり切った」感に充ち溢れました。結果は不合格でした。

あれだけ頑張ったこの1年は何だったのか?と自問自答する日々が続き、正直、学習がばからしく思えたこともありました。しかし、翌年2次試験を受験する権利があったため、5回目も2次試験を受験する気持ちは失うことはありませんでした。ただし、今までと違いやる気が沸いてきません。

 

【2019年】

<第1クール>

当初はこの1年もガッツリ勉強するつもりでいましたが、家庭環境で家事・育児に加え介護問題ものしかかり、妻からは前年ほどの協力を得るのは物理的に不可能となりました。こんな状態で家庭環境を犠牲にできないと思い、ガッツリ勉強することは諦めました。また早坂先生にも相談したところ、「5月頃までは2次試験から離れてみた方が良いのでは」「過去に敢えて数カ月離れることで、事例問題を初心に戻って取り組めるようになった合格者もいる」といった助言も頂きました。そこで「GW明けまでは学習せず、生活基盤の立て直しに専念する」「(勉強を再開しても)土曜日は勉強せず、家族サービスに徹する」ことを決めました。

<第2クール>

一応、学習を再開しました。実施したことは以下の通りです。

  • 事例Ⅳ合格点突破計算問題集を1日1題解く
  • 中小企業白書の事例を1日1事例読む
  • 過去の2次試験問題の与件・設問を1日1段落程度、写経する
  • 2次試験に関連する1次試験の過去問を解く
  • AASの「みんなの再現答案分析」や某スクールの同様なオプション講座の動画を通勤電車の中で見まくる。←70点答案の相場感を掴むには、これが一番有効だったと確信しています。

<第3クール>

この第3クールの過ごし方は本当に悩みました。これまでをじっくり振り返り、良かった点・悪かった点の棚卸しをしました。

[心]

4回目のAASでの成績をみれば合格圏内にあったものの、実力が本番で十分に発揮できていない理由を考えました。以下の様に考え方を変えることで、本番でトラブルが生じても比較的余裕ができ落ち着いて臨むことができたと思います。

  • 依存心→自律心:それまでは、「どこどこの指導法が・・・」と(無駄に)念じる時間が多かったのですが、「答案に解答を書くのはあくまで自分」と再認識し、自分と向き合うことに専念しました。そこで役立ったのがAASの講師の一人から紹介頂いた、「羽生結弦の『発明ノート』」です。本家本元のような自己対話形式になっていませんが、自分を見つめ直す良いツールとなりました。
  • 詰め込み→疲れない:いつも本番で頭がカチカチになり当たり前の提案が書けていないように感じたので、あまり詰め込まず・追い込まず、睡眠時間を優先するなど、とにかく頭が疲れないようにすることを優先しました。
  • 素直な受け止め:前年までは学習が想定外のハプニング等で思うように捗らないとキリキリと(無駄に)悔やんでいましたが、「そういうこともある」と素直に受け止めるようにしました。無理にリカバリしようとせず、残された時間で集中して効率的に取り組むことだけを考えました。

[技]

独学も考えましたが、添削してもらう環境があった方が良いと考え通塾することにしました。AASへ復帰するか悩みましたが、通学のし易さや前年に合宿で1位になったことから、守破離の破と離を実践するため敢えて異なる学校を選びました。その他、破と離で具体的に実践したことは以下の通りです。

  • マーカーの使い方:AASでは設問分解や与件文読解でマーカーの使い方を教えて貰います。これにより読み逃しが無くなり読みが安定するという一定の効果がありました。しかし、自分にとっては本番でどうしても時間がかかり、また、ペンの持ち替えに意識が取られるという弱点がありました。そこで、原則4色のフリクションボールを使用し、本当に重要なところだけマーカーを塗るというスタイルに切り替えました。
  • 過去問活用:ふぞろいな合格答案を徹底活用しました。これまでの自分の再現答案と60点代・70点代・80点代の再現答案を、ふぞろいを使って採点・比較し、どうすれば、60点代・70点代・80点代なるのか徹底的に考えました。AASには過去の70点代・80点代の再現答案がストックされているので、これらが比較的容易に入手できます。
  • 1次知識:よく、「2次受験者は1次を突破しているので必要最低限の1次知識は備わっている」という意見があります。自分もそう信じてきましたが、上記の過去問活用で自分の再現答案を分析すると、自分には2次で使える1次知識が身についていないことがわかりました。そこで、某スクールの100次訓練や「一発合格まとめシート」を活用し1次知識を再整理し2次に使えるようにしました。
  • 事例Ⅳ:失点の原因を分析すると、「意外とCVPで失点している」「計算ミスがある」ことがわかりました。CVPは過去問や模試の復習を繰り返し、CVP問題を解いている中でもどのプロセスで間違い易いか分析し、そこを間違えないようにしました。また計算ミス防止には、よく間違いノートや一覧を作っていましたが、自分はそれで歯止めが効かなかったので間違いを犯した問題用紙を束ね、赤ペンで問題カ所の特定、青ペンで正しい手順、緑ペンでどうやって防止するか書き留めました。これによりミスが激減しました。

[体]

  • 運動:比較的点数の良かった1回目は、週末早起きしてウォーキングを行っていました。しかし2~4回目は何も運動は行っていませんでした。自分の中では運動の習慣と点数に相関関係がありました。5回目は、GW明けから娘が毎週土曜日にスイミングスクールの親子教室に通い始めたので、自分が付き添うことにしました。自分にとっては運動になるだけでなく、娘とのコミュニケーションの時間もとれ、妻の育児負担が少し減るという、一石三鳥の効果がありました。これは2次試験前日も勿論行いました。
  • 飲食:朝一の飲み物は色々工夫した結果、コップ一杯の白湯と米麹甘酒・牛乳・豆乳・きな粉のミックスに落ち着きました。某TV番組で米麹甘酒を飲むと風邪を引かないと紹介されていたからです。結果、インフルエンザの予防接種することなくここ5~6年風邪を引いたことはありません。

<2次試験当日>

  • 事前:会場である東京理科大学葛飾キャンパスの入り口で早坂先生に1年ぶりに会い、温かく握手で見送って頂きました。お陰で少しリラックスして会場に入ることができました。また教室には前回と異なり知り合いがいなかったため、自分に集中するには好都合でした。
  • 事例Ⅰ:隣の席の人がすぐに書き始めるスタイルに影響されたためか、1問目を解いた後に10分早く解答に着手したことに気がつきました。しかしパニックにならず、過去にも10分時間を間違った時、意外と成績が良かったことを思い出し、冷静に努めることができました。5分だけ解答骨子の再確認に費やし、残りは記述に充てました。今回は組織文化よりの事例でAASでも組織文化面は良く訓練していたため、「巡り合せが良かった」と感じました。
  • 事例Ⅱ:「ジェルネイル」が出て一瞬焦りましたが、「国家試験だけに女性が有利になるような問題を作るハズが無い」「こういった問題ほど、より本質的なところが問われているに違いない」と冷静に対応できました。ただし、オプションを解答にうまく活用できなったことが悔やまれました。
  • 昼休み:食後は軽く事例Ⅲの論点確認を行い、「めぐりズム」を使い15分ほど昼寝をしました。その効果か、午後は眠くならずスッキリした状態で臨むことができました。
  • 事例Ⅲ:難易度は高く感じましたが、1次知識の再整理が活き生産管理と生産現場の切り分けが上手くでき、手ごたえはありました。
  • 事例Ⅳ:こてこてのNPVの問題が出て「ラッキー!」と心の中で叫びました。NPV問題を残し他の問題を2回検算したところで15分余ったので、最後まで解き切ることにしました。
  • 事後:再現答案は帰りの電車の中と帰宅して夕食後に書きあげました。また、妻に手ごたえを聞かれた時、「一般に手ごたえが良い時は落ちていることが多いというが、今回は今までで一番手ごたえがあり多分受かっていると思う。落ちるとしたら、事例Ⅰで足切りとなった場合だと思う。」と伝えました。

最後に

結局どうすれば「多年度生の罠」から脱却できるのか?

「AASに通って正しい基礎(守)を作り、5回目の第3クールで破離を実践する」

ことで、1年で合格できると確信しました。

自分は中学受験からことごとく失敗し、大学受験に至っては某大学を4回(前期・後期を2年)受けても受からず、受験コンプレックスを拭うことができずにきました。しかし、中小企業診断士試験は諦めずに考え抜くことで、ようやく「合格」を手に入れることが出来ました。諦めなくて本当に良かったと思っています。またここまで応援して頂いた、家族・AAS講師の皆さま・その他出逢った全ての皆さまに心より感謝申し上げます。

(番外編)

■試験勉強中に励まされたことば

  • 何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。
    (中澤正仁陸上部監督→高橋尚子)
  • 滑走路は長いほど遠くまで飛べる
  • 「ちょっとずつ勝たなきゃいけないのは“前の自分”であって、クラスにいられる人達を羨ましいと思ったら一歩も進めない『昨日よりは進もう』というスタンスはずっと子供の時からある」
  • 「遠回りに思えるけどどこかで必ず役に立っていて。本質的に大事なことは『どこまで続けるか』という事だと思うから、その覚悟は常に持ってまた歩いていきたい」
    (山口 絵理子 株式会社マザーハウス社長)
  • 私は我が運命の支配者、我が魂の指揮官なのだ
    I am the master of my fate:
    I am the captain of my soul.
    - ウィリアム・アーネスト・ヘンリー「INVICTUS」