ひねくれて考えない!常に多面的に考える!

合格年度 合格者氏名 再現答案  
23年度 谷池 公治 pdf_ico_32

1.はじめに
  12/9の筆記合格発表日、二次試験2年目の私は有給休暇を取って家にいました。去年、私は職場で不合格を知り、午後は仕事にならなかったのです。今年も本試験の手ごたえがあまりにも悪かったので、まぁ不合格だろうと思い、職場の労働生産性を高めるためと称して休んでおりました。
  10:00になり、去年の嫌な気持ちを思い出しながら番号を探しました。「この儀式が終わったら気晴らしにどこかに出かけよう」とか考えながら。
  ところが、番号がありました。二度見しました。いや、三度、四度も確認し、妻にも受験票を見せて確認してもらいました。それでも信じられず、口述試験の通知ハガキが来るまで、何かの間違いではないかと不安でした。口述試験を終えた今でも、心のどこかで合格が信じられない自分がいます。
  おそらく、点数で並べたら私が794番目の合格者だと思います。そんな私ですが、自分が合格できた要因を自分なりに分析してみるとともに、今後AASさんの門を叩くかもしれない皆さんのご参考になればと思い、合格体験記を書かせていただきます。
   
2.私のプロフィールと勉強環境分析
  受験生の方には色々な方がいらっしゃいます。ご自分に近い状況にある人の合格体験記を参考にされた方がいいと思いますので、まず私の自己紹介から始めさせてください。
 私は、茨城県在住の地方公務員です。もっと言えば市役所の職員です。この時点で、すでに状況が似ている方はいないかもしれません…。さて、受験の目的は、平たく言えば自己啓発でした。地方行政の世界でも、民間経営感覚を取り入れたり、企業の方々とお話する機会は多いため、「市役所にも企業経営をかじった人間が一人くらいいた方がいいんじゃないか」と思ったのがきっかけです。
 勉強環境としては、以下のような属性がありました。どちらかといえば恵まれていた方ではないか、と自分では感じています。
  1茨城在住のため、都内への通学は難しいこと
  2公務員とはいえ、それなりに残業や休日出勤があること
  3家族は妻だけのため、勉強より優先すべき制約(子育て等)が少なかったこと

 私の受験歴は、以下の通りです。

受験年度 一次試験 二次試験 備考
H22年度 × BBBA 総合B
H23年度 受験せず  

 平成22年度は、U社の通信講座を受講していました。一次試験についてはとてもわかりやすいテキストをいただき、U社の通信講座と、T社出版のスピード問題集だけで何とか通過することができました。U社の通信講座は二次対策も含まれていましたが、私の二次対策開始が遅かった(一次試験後にようやく始めました)ことや情報収集が甘かったこと、講座に過去問の添削がなかったことなどもあり、かなり準備不足で二次試験を迎え、当然のごとく撃沈しました。
 何せ、当時は「切り口」や「設問分解」といった解答テクニックの意味すら知らなかったのです。テクニックだけでもいけないのでしょうが、去年の私の解答が伝わりづらい解答であったのは確かです。『徒手空拳では勝てない』と自分の甘さを痛感するとともに、二次は自己流の勉強方法では難しいことを強く認識しました。

3.今年、私がどうしたか ~私の勉強戦略
 不合格を受けた私は、『徒手空拳で戦うのではなく、武器を得てその扱い方を覚え、経験を積み、敵を知り、そのうえで戦おう』という戦略を立て、具体的には以下のようなことを行いました。

・二次に専念する
 一次試験は受験せず、「今年が最後」と背水の陣で臨みました。

・AASさんの門を叩く ~武器を得る
 「独学では難しい」と感じていましたので、不合格後すぐに受験校を検討しました。検討時に重視したのは、1、通学が難しいので通信講座であること、2、添削回数が十分であること、3、コスト、の3点でした。検討した結果、二次対策専門であり、過去問・新作の添削回数が他の通信講座より格段に多かったAASさんを選ばせていただき、年末から受講を始めました。

・模試を受けまくる ~経験を積む
 H22は模試を受験しませんでした。一次試験が終わるまでは一次対策だけやっていましたし、二次試験の何たるかも分かっていなかったからです。これを反省し、H23は出来る限り模試を受けて経験を積もう、と決めました。結果、M社の模試3回、L社とT社を1回ずつ、計5回の模試を受験しました。結果はどれも芳しくありませんでしたが、場数を踏んだことで本試験当日も落ち着いて受験できました。

・とにかく情報を集める
 通学できない私のネックは、勉強仲間を作りづらいことでした。そのため、Twitterのアカウントを作って他の受験生のつぶやきを見たり、「タキプロ」や「一発合格道場」などをヘビーに閲覧し、情報を集めました。特に、タキプロさんのブログは昨年、一昨年まで受験生だった方々が執筆されているので、とても参考になりました。

・カフェ勉をしない
 カフェやレストランでの勉強は、一次対策では結構効果がありました。とりあえず時間をかけて問題集を何回転もすれば、苦手科目でもだんだん分かってくるものです。私は飽きっぽい人間ですので、問題集だけ持ってカフェに入り、帰る時間を決めて勉強することで勉強時間を確保していました。
ですが、少なくとも私にとっては、二次対策では逆効果でした。なにせ、騒がしくて集中できないのです。二次は時間をかければいいものではなく、どれだけ集中して事例と向き合ったかが重要だと思います。もちろん、カフェの方が集中できるという方もいるでしょうが、自分が一番集中できる場所がどこなのかを認識することが必要です。私の場合は自宅の机でした。

4.自分が合格答案を書けた要因を考えてみる
 正直を言えば、今でも自分が合格できた理由が分かりません。もっと他に素晴らしい解答を書いていた人も多かったと思います。それでも私が当日合格答案を書けた理由があるとすれば、それは以下の2点に集約されると思います。

・ひねくれて考えない
 与件に書いてあったり設問で問われていたりするキーワードを素直にそのまま使うことです。たとえばH23事例Ⅰの第3問。出資者が仕入れ先や社員持ち株会であることが設問文に書いてありますが、受験校各社の模範解答を見ると、「仕入れ先」や「社員持ち株会」といったキーワードを使っている解答はあまりありませんでした。もちろん、そのまま書いた私が正解かどうかはわかりません。ですが、当日事例Ⅰではこの問題だけは自信を持って解答を書けました。

・常に多面的に考える
 設問に対しては、一つの答えを書くのではなく、複数の内容を盛り込むよう心がけました。それにより大外しするリスクを軽減できるうえ、説得力も高まります。たとえば、H23事例Ⅱの第4問。サービスリカバリーシステムの要件を説明せよ、という問題では、顧客を①サービスに失敗した顧客本人、②今後同じ失敗が起こりうる他の顧客、の二種類に分けて説明しました。二次試験で問われるものは、理由であったり留意点であったり対策であったりアドバイスであったり多岐にわたります。しかし、共通しているのは「答えは一つではない」ことだと思います。

 この2つは、AASで学んだ鉄則でした。もちろんAASのテキストにも載っているテクニックですが、それ以上に、過去問の青ペン添削やそれを踏まえた2週目の過去問添削での気づきを通して、また何度も石原先生や早坂先生に「伝わらないですよ」とか「ひとりよがりですよ」と言われ、悩みに悩んだ結果、骨身に染みたものです。最初から最後まで、出口が見えず苦しい試験勉強でしたが、その苦しみが血となり肉となり、合格を連れてきてくれたのだと思います。

5.おわりに ~人事戦略の視点で試験勉強を考えてみる
 突然ですが、AASでは、組織人事の事例対策の中で、「人事戦略については能力とモラールの切り口で考えてみる」ということを教わります。能力だけ高めてもダメですし、どんなに士気が高くても能力が伴わなければなりません。両面から人事を考えてこそ説得力の高い答案が書ける、というものですが、私はこれを初めて学んだとき『これは勉強と同じだな』、と思いました。試験勉強でも、問題を解ける能力と、面倒くさい勉強に立ち向かえる士気の高さ、その両方が必要なんじゃないか、と。
もちろん、試験において直接的に問われるのはその能力(読む力、考える力、書く力)だけです。しかし、その能力を持続的に高め、結果合格を勝ち取れるのは、高いモチベーションを保てた人間だけなのではないでしょうか。特に、明確な正答が公開されず、今の自分の方向性が正しいのかどうかの確証もないままで暗闇を走り抜けるような二次試験対策においては、自分を信じ、診断士になった後の自分をイメージしながら、決してあきらめないことが重要なのではないか、と思います。
 ずいぶん偉そうになりましたが、私もこの一年、「所詮自分には過ぎた資格だった」とか、「別にこの資格がなくても生きてはいけるじゃないか」とか、いろいろ後ろ向きなことを考えてあきらめそうになったことも多くありました。お世辞にも高いモチベーションを保てたとは言い難いと思います。それでも、AASの通信添削はほとんど毎週ありました。毎週あるということは、添削結果も毎週帰ってきます。添削問題をやらざるを得ない状況が作られており、帰ってきた添削に叱咤激励される、その毎週の繰り返しが、なんとか勉強習慣を保ってくれたのだと思います。

 とりあえず今は、「もう勉強しなくていいんだ」と、安堵の気持ちでいっぱいです。実際には実務補習があったり、診断士としてのスキルアップもしていかなければなりませんし、今後も、この資格を活かして社会に貢献していくための勉強が続いていくんだろう、と思います。それでも今は、「暗闇を抜けて一歩進めた」、という実感が湧いてきています。これも、石原先生と早坂先生をはじめとしたAASの講師の皆さん、Twitterやブログ等で試験情報を教えてくれた皆さん、そして何より応援してくれた妻のおかげです。本当に、本当に感謝しています。
 最後に、私のつたない文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。いつか、同じ中小企業診断士としてどこかでお会いできることを楽しみにしています。
 お互い、がんばっていきましょう。

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