講座の特徴

平成29年度の2次試験を振り返って

 みなさん、こんにちは。AAS合格コーチの桝田隆史です。
 例年通り、平成29 年度(今年度)の2次試験も、診断士試験と中小企業白書との関連性が明確に示されている内容でした。まさに、“馬鹿にするなよ!”中小企業白書です。

 先ず事例Ⅰでは、X社から事業を引き継いだA社が、新規事業展開により“第3の創業”を目指す事例が出題されました。これは、2017 年度版新白書の主要テーマである「事業承継」と「新規事業展開」を意識した事例設定であると考えられます。また、第4問は、2016 年度版白書の「稼ぐ力を支えるリスクマネジメント」からの出題と考えられます。同白書において“新規事業展開におけるリスクマネジメント”が詳細に解説されており、第4問の解答の方向性を示す内容となっています。さらに、A社の今後の課題である「人材の確保や育成」は、2017 年度版新白書、2015 年度版白書で取り上げられた主要テーマです。
 設問構成も、当講座で重視している成長戦略(環境分析、製品・市場戦略)と組織戦略(組織構造、組織文化)の組み合わせによる設問構成で、セオリー通りの内容です。例年【白書ミニ事例】 で一貫してお伝えしている思考プロセスであり、昨年度も第1回目の【白書ミニ事例】で詳細に解説しています。今回の2次試験では、人事戦略を直接問う問題は出題されませんでした(平成23 年度以来)。しかし、人材のテーマは、引き続き事例Ⅰと中小企業白書の重要なテーマです。今年度もしっかり学習していきます。

 次に、事例Ⅱです。今回も“地域の課題解決CRSV”のテーマでした。中小企業白書では、2014 年度版と2015 年度版で大きく取り上げられています。とりわけ、シルバー世代と子育て世代は、平成27 年度の商店街の事例でも出題されており、引き続き、地域の活性化において主要なターゲットとして位置付けられます。今回は、「施策」という言葉で問われていますが、事例Ⅱの「施策」とは“マーケティンング戦略”のことであり、「ターゲット+4P」の枠組みがしっかり頭に入っていれば、診断士らしい解答が導けます。このマーケティング戦略の思考プロセスについても例年【白書ミニ事例】で詳しくお伝えしています。
 また、昨年度は8回目の【白書ミニ事例】で「顧客価値」を高めるためのマーケティング戦略を出題しており、第3問と軌を一にしています。また、“連携”については、白書でも繰り返し強調されているテーマであり、お互いの強みを生かしシナジー効果を発揮させる点が重要となります。

 事例Ⅲは、新制度の本試験が始まって以来、初めて第1問で「強み」が問われませんでした。しかし、内容について変わりはありません。第1問と第2問は、生産管理上の課題と方策を問うています。与件文から課題を丁寧に拾い出し、改善策(1次知識)と因果関係を組み立てて解答します。この生産問題への対応方法も、昨年度6回目の【白書ミニ事例】で詳細に解説しています。特に「工程管理」のフレームワークは、第1問の解答の方向性として大いに活用できたのではないでしょうか。
 また、第3問、第4問の成長戦略の問題は、まさに中小企業白書から出題されたと言っても過言ではありません。第3問(市場戦略)、第4問(製品戦略)とも、2015 年度版白書第1章「中小企業・小規模事業者のイノベーションと販路開拓」の第4節「IT、外部資源、デザインを活用したイノベーションと販路開拓」で取り上げられた内容と考えられます。
 特に、第3問は2015 年度版白書P164 事例2-1-7「ITを活用した営業活動による一社依存からの脱却」がモデル事例として考えられます。第4問は「今後大きな設備投資や人員増をせずに」という設問の制約条件から、外部資源との連携の方向性で解答する問題であると考えられます。この外部資源の活用は、2017 年度版新白書の「新規事業展開の促進」でも大きく取り上げられており、“オープンイノベーション”等の知識を駆使して解答を組み立てたい問題でした。

 最後に事例Ⅳです。今回の事例Ⅳは、例年と異なり白書の知識をそのまま問う様な問題はありませんでした。しかし、事例のテーマは、2017 年度版新白書の「事業の譲渡、売却、統合」や「新規事業展開の重要性」にある「関心のある事業分野(環境・エネルギー)」等を意識した内容であると考えられます。また、例年通り第1問が経営分析であり、昨年度の【白書ミニ事例】7回目で同様のパターンの問題を出題しています。「財政状態」や「経営成績」、さらに、第3問で問われた「安全性」と「収益性」等について詳細に解説しており、第1 問における指標選択と記述、第3 問における指標選択の羅針盤になったのではないでしょうか。

2次試験の対応力

 2次試験の対応力は、以下の公式で養うことができます。

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 2次試験は、中小企業に対する診断助言の能力が試されますが、実際の試験は現場で行うのではなく、紙(試験問題と解答用紙)の上で行います。従って、「読む」×「考える」×「書く」という国語のスキルが重要になります。このスキルは、どのような与件文や設問文であったとしても、普遍のスキルです。そして、同等に大切なものが「知識」です。「知識」がないと2次試験に対処できません。
 では、知識とは何の知識でしょうか。これは、1次試験の学術的な知識と企業活動に関する知識、言い換えれば「わが国の中小企業に関する知識」ということになります。「わが国の中小企業に関する知識」には受験生個々にバラツキがあります。それは、年齢や職種、職歴が受験生によって大きく異なるからです。そして、このバラツキを埋めるための最も効率的かつ効果的な学習教材が『中小企業白書』です。

中小企業白書の位置づけ

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 上の表に示すように、1次試験の最後を締めくくる科目として中小企業経営・中小企業政策があり、これが2次試験全体のベースになっています。診断士試験も中小企業白書も国(経済産業省)が所轄しており、密接に繋がっていることを理解してください。
 私は現在、独立診断士として活動を行っていますが、中小企業白書や中小企業施策利用ガイドブックは必携の書となっています。中小企業診断士を目指される方であれば、試験対策だけでなく日頃から興味をもって中小企業に関する知識を取得しておくことが大切です。そして、これが2次試験を突破して中小企業診断士となるための重要な要素でもあるのです。

 中小企業白書の意味合いや学習の大切さをお伝えしましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
もっとも、中小企業白書は、主要なテーマが数年で1ラウンドするよう構成されていますので、直近のものだけを学習しても効果が限定的です。直近数年分(5年程度)の中小企業白書を学習する必要があります。しかし、時間的な制約から独学では困難であり、また、情報量が多いためにポイントが絞れず、2次試験の現場で活かせる知識として定着させることが難しいのが現状です。そこで、中小企業白書の学習を効率的かつ効果的に進めていただくため、本講座を開設しました。
 本講座では、2次試験で絶対必要な中小企業白書の論点を過去の中小企業白書も含めて学習するとともに、「白書ミニ事例」を通して2次試験の具体的な解法スキルもお伝えしていきます。また、新中小企業白書や1次試験の「中小企業経営・中小企業政策」にもワンストップで対応できる内容です。
ぜひ、ご期待ください!!