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合格体験記>平成23年度 第2次試験合格体験記

「亡き母への合格報告」   関口 功  

1.プロフィール
・大手都市銀行に約30年間勤務しました。融資の専門家としての教育を受け、企業を、財務面だけでなく産業動向やその中でどういうモノやサービスを提供しているか、経営者の識見はどうか、という「人・物・金」の面から見るという訓練を続けてきました。
・中堅時代の約10年は、融資業務を中心としたリスク管理分野の仕事をする機会が多く、子会社の 経営管理や、経営危機に陥った取引先の一部上場メーカーの再建責任者として派遣され、その会社を黒字化して配当を再開する、という経験もしました。
・銀行時代の最後の10年間は、リスク管理・法務・コンプライアンスの仕事に従事し、銀行を卒業してからも、一貫してその分野の仕事を続けて、現在は銀行子会社の役員をしています。

2.受験を志した理由
・一昨年(平成22年)の3月半ば、同じ市内にお住まいの診断士の方にお会いする機会があり、私のキャリアから判断されて、受験を勧められました。興味はありましたが、当時は、それまで数年間施設に入っていた母のフォローで、土日に勉強する時間が取れず、「そのうちに」と考えていました。
・ところが、その月の月末になって、母が突然亡くなりました。葬儀やその後の整理で忙殺されましたが、4月の半ばを過ぎて一段落して、3月にお会いした診断士の方の言葉を思い出し、21年度の1次試験の問題を解いてみると、「情報」と「中小」以外は半分程度できました。2次試験、内容はとも かく形式は、小学生時代からずっと訓練を続けてきた「記述式」の問題でしたので、「これは何とかな るな」と考えて、受験勉強を始めました。
・上記は勉強を始めた「キッカケ」ですが、受験を志した(診断士に興味をもった)大きな理由は、「私の専門分野との相乗効果」があると考えたからです。具体的には、私は、@学生時代から会計学や経営学の勉強を続けて(ゼミは管理会計)、金融機関に勤務してからは、財務面だけでなく「モノやヒト」の面からも企業を見る融資の専門家としての訓練を続けてきたこと、A中堅行員以降、約20年にわたってリスク管理やコンプライアンス・法務の仕事に従事してきたことから、診断士の資格を得たら、リスク管理やガバナンスの視点も加えた、中小企業のアドバイザーとしての仕事の分野を開拓していけるのではないかと考えたからです。

3.一昨年の状況
・TACのスピードシリーズのテキストと問題集を揃え、後は過去問を数年間分やって、6月末のTAC模試1次模試を受けてから、8月の試験に臨みました。勉強中に気がついたことは、「1次試験は、かなりの問題が、暗記ではなくて理屈で解ける」ということでした。自己採点の結果、「財務」と「運営 管理」は70点台、あとは、60点台が2科目、50点台が3科目で、合計約440点で通っていました で、すぐにTACの2次直前コースに申し込みました。しかしながら2ヶ月間の準備では2次試験は歯 が立たず、「BACA/B」で涙を飲みました。
・2次試験の準備中に、雑誌「企業診断」に掲載されていた各受験機関が出題した問題の解説を読んで、AASの解説が最もロジカルであり、私には馴染みやすかったので、「今年落ちたら、AASで1年勉強しよう」と考えておりました。2次記述試験の発表翌日にAASの講座説明会に出席して内容 を確認した上で、その日に本科通学コースに申し込みました。

4.昨年の状況
・いくつかの段階に分けて記載します。
(1)AAS入会後、4月まで
・AASに入会すると最初に、「AASのお作法」なるものを教わります。AAS流の、与件文の読み方や考え方、解答の書き方などです。また、「設問分解練習」という、与件文への取り組み方や、与件文・設問文の読み方も徹底的に訓練されます。
・これらにより、AAS流の読み方、考え方、書き方を身につけると、これまで「どう書いたよいか、見当がつかなかった」問題でも、自分なりの解答が書けるようになりました。私はこの時期、かなりの量のアウトプットを行って、AAS流を身に付ける努力をしましたが、これが功を奏したのか、第1クール (3〜4月)の4事例の合計では、東京本科生20数名中のみならず、大阪本科生も含めでトップの 成績を取ることができました。
・この時期(以降も含めて)有効だったのは、AASのHPからダウンロードした音声ファイルやレジュメをスマートフォンに保存して、通勤時間を利用して、レジュメを見ながら何度も聴いたことです。AASで学んだ10ヶ月間、私の1日平均の勉強時間は約5時間でしたが、そのうちのざっと平日の1時 間は、この音声ファイルを聴くことによる勉強でした。
(2)突然のスランプ
・ところが、5月のGW合宿から、突然スランプに落ち込みました。あとから考えると、その理由は、@AAS流にも慣れてきて、与件文を読むスピードもアップし余裕が出てきたため、自分の経験も踏まえて、あれこれ考えて余計なことを考えてしまっていた。A他のAAS生もAAS流を身に付けて、レベルアップしてきた、ということが考えられます。結果的にこのスランプは、6月一杯ぐらいまで続 きました。第2クール(5〜6月)の4事例の成績も、東京本科生で6位ぐらいまで低下しました。
(3)調整時期
・6〜7月は調整時期でした。@ひとつは、これまでと勉強のやり方を変えるために、アウトプットの本数を減らして、5月末にAASから送られた、「過去問分析シート」に取り組みました。このシートは、過去問を、年度毎ではなくて、事例別に設問の性格(環境分析、全体戦略、個別戦略等・・・)毎にバ ラバラにして、過去どのような問題が出題されているかを分析するシートです。詳細は省きますが、 このシートを使った訓練を徹底的にやると、このレイヤー(階層)の問題にはどのように対応するか、 ということがわかってきました。この「過去問分析シート」により、過去問の分析を徹底的にやったこ とが、あとにご説明する「復活」に繋がったのではないかと思います。
・Aもうひとつは、1次試験対策です。AASでは、2次試験の受験資格がある受験生にも、1次試験の受験を勧めています。これは、その年度の傾向が理解できるだけでなく、1次知識の補強にも繋がります。2次試験に落ちた場合には、来年は1次試験からやり直しになりますので、そのプレッシャーも軽減するためにも、暗記の負担が多い「中小」以外は、それなりに勉強して受験しました。結果は 、「中小」を除く6科目の科目合格という、狙った通りの結果となりました。「財務」だけ自己採点した ところ84点でしたので、「中小」は40点未満で足切りとなったわけです。しかしこれで、来年は「財 務」と勉強すれば点が取れる「中小」の2科目を受験すれば、財務はまず70点以上は取れるので「 中小」で50点以上取れば、また2年間の2次受験資格を得られることになります。これで、かなり安心して2次試験に臨めるようになりました。1次試験の勉強ですが、前にも述べたように、私は昨年「1次試験は、かなりの問題が、暗記ではなくて理屈で解ける」ということに気が付いていた(そういう 勉強をした)ので、昨年はそれをなぞるだけでよく、負担はあまりありませんでした。
C復活時期
・1次試験が終了し、8月の下旬から10月上旬に掛けて、第3クールがあります。またその後は、直前合宿があります。結論からいうと、この第3クールでトップ、合宿では、かなりミスをしたものの、5位入賞(AAS生の中では3位)と合格可能性A判定を頂戴し、自信を持って筆記試験に臨んで、合 格に繋げることができたと考えています。この時期に学んだことは、「設問間の関連性」ということで す。事例Tや事例Vでは、与件をいくら読んでも、「何を答えたらよいか、わからない」という問題が 時々出題されます。このときに有効な手法が、「設問間の関連性」を考えることです。詳しいことは省 きますが、これもAASで学んだ、貴重なノウハウのひとつです。
・また、この時期に私が注力したことは、「過去に経験した問題の徹底的な復習」でした。具体的には、9月上旬に実施されるTAC模試の2回目をターゲットとして、AASの第1クール、GW合宿、第2クールの4本×3=12本、TAC模試昨年2回目と今年1回目、及びMMC模試今年の1回目と2回目(3〜4回目は受験せず)の4本×4=16本、計28本の復習を1ヶ月弱で行いました。TACやMMCの解答はAAS流とは違いますが、その解答をAASスタイルで書き直してみるのは、結構有益でした。
D試験直前期
・TAC模試終了から試験までの約1ヶ月半の間(直前合宿を挟んだ時期)は、Cで勉強した問題に、TAC模試2回目、AASの第3クール、直前合宿、過去問8年分を加えた、合計72事例の徹底復習です。具体的には、それぞれの問題の設問文や模範解答、それに対する自分の解答、 各問題の重要なポイントなどをスマートフォンに保存してある各事例ごとのファイルに入力して、新たに考えた解答を書き直す、という作業を繰り返し、繰り返し、行いました。これにより、過去に学んだ論点を頭に刻み込みました。
E試験前日〜当日
・いよいよ、本番です。私はいつも9〜10時に寝て、朝4時頃に起きて勉強する「朝型」なのですが、休日など朝4時起きで勉強していると、午後3時過ぎには疲れてきます。そこで前日は、いつもよりも就寝時刻を2時間ほど遅らせて、11時過ぎに就寝しました。結果として、朝は 6時までぐっすり寝ることができました。快適な目覚めです。シリアルとバナナ、牛乳の朝食を採ったあとは、スマートフォンの中のファイルに書き溜めた「ラストペーパー」に目を通していました。御茶ノ水駅には8時過ぎには到着して、マックでコーヒーを飲みながら、ラストペーパー。9時少し前にリバティに到着し、AASの仲間と健闘を誓い合い受験会場へ。ここでエネルギー補充用のブドウ糖を1粒。そしてラストペーパー。事例T終了後にもブドウ糖を1粒、昼食はおにぎり1個、事例V終了後にもおにぎり1個 。血液が頭に集中するように、試験問題と闘うのに必要最低限なエネルギーしか採りませんでした。
・そのほか、試験中で気をつけたことは、下記の5点です。
 @AAS流を主としながら、他機関の手法も適宜取り入れた自分の文章スタイルで、A与件を活用し、B因果を用いたロジカルな文章で、C120字以上だったら結論先出し、D題意は何度も確認して、絶対に外さない、ということを意識し続けました。
・試験直前に復讐した論点は、既に頭の中に刻み込んであります。これに、上記の留意点を掛け合わせて、「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせながら、問題に向かいました。
・事例Vまで終了し、ここまでは、実際の答案の出来栄えレベルはともかくとして、昨年の本試験やこれまで受験した5回の他校模試、合宿を含めたAASの答練のどれよりも、自分の力を発揮できたという感覚がありましたので、極めて強い満足感を持ちました。あとは、得意の事例Wで取りこぼさないこと。「落ち着け、落ち着け」と言いながら、問題を解きました。事例Wの計算問題が易化したのは明らかでしたので、題意の取り違えがないように、ケアレスミスをしないように、慎重に「作業」を続けました。今年の事例Wは、まさに「作業」という感じです。経営分析は難しいから、大きく外さなければOK。計算問題は全問取ろう、と自分で決めた方針通りに「作業」を進め、ベルが鳴ったときには、合格できたな、と思いました。

5.勉強期間を振り返って
・初めの方にも書きましたが、この試験にチャレンジした理由は、「もうひとつの専門分野を顕在化して、現在の専門分野とのシナジー効果を発揮させよう」ということでした。「企業を見る目」も、「人、物、金」の面から、企業にアドバイスし、業績を改善・向上させる経験や能力も、自分の中では相当程度身についていると思いましたし、だからこそ、お会いした診断士の方も受験を勧めてくださったのだと 思いますが、それにしても、昨年の6ヶ月、今年の10ヶ月の、約1年4ヶ月の勉強期間は、結構大変でした。
・しかしながら、この歳で、自分よりずっと若い方たちと一緒に切磋琢磨し、あのプレッシャーを勝ち抜けたことは、本当に大きな達成感がありました。この試験にチャレンジして、心から良かったと思います。
・なお、AASに報告した私の勉強量は、報告対象の40週で1,425時間、アウト276本。1週あたり35時間強、6.9本。1日あたり約5時間、約1本、です。

6.亡き母への合格報告
・前述のとおり、私が受験を志したのは母の死がきっかけです。私が受験を勧めてくださった診断士の方にお会いしたわずか2週間後に、母は当然に亡くなりました。それまでの数年間、週末を介護に充てていた私に対して、母が「お前は子供の頃から勉強が好きだったのだから、やりたいことが見つかったのなら、私のことはもういいから、頑張りなさい。私も疲れたので、もう逝くから」とでも言うかのように。
・受験勉強を始めてからは、折々に、仏壇の母の位牌に報告しました。母の弔い合戦のような気持ちもあったので、最初の受験で絶対に合格したかったのですが、届きませんでした。私は母に、「母さん、ごめんね。今回はだめだったけど、来年は絶対に受かるから」と誓いました。
・この年齢になって、私が強固なモチベーションを持ち続けて相当量の勉強量を確保できた理由は、
「今回は必ず、亡き母へ合格報告をしたい」、という強い思いからでした。最終合格後の翌々日の日曜日に、母の墓前に出向いて報告をしてまいりました。

平成23年度 第2次試験

 
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