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合格体験記>平成23年度 第2次試験合格体験記

「基礎力としてのAASスキル」 加藤 雄紀  

◆ 受験歴

 

年度 1次試験 2次試験 学習方法
1年目 平成21年度 BDCD 独学(市販本+模試)
2年目 平成22年度 BBBA AAS東京本科
3年目 平成23年度 独学(市販本+模試)

◆ はじめに

 平成23年の本試験当日、事例Vの終了時間まであと4分となった時点で、残していた第1問の(a)欄、(b)欄の両方、合計80文字がまだ空白のままでした。パニックに近い状態で書きなぐりました。時間にしてわずか数秒だったのでしょうが、「C社の…事業変遷を理解した上で」の制約条件で、平成20年の組織人事事例(アントレーの事例)が頭をよぎり、また生産事例の強みのお作法「無形資源で書く」も想起し、あとは手癖に任せてなんとか解答欄を埋めた直後、終了のベル。見直しをする時間すらなかったため敗北感が押し寄せてきました。そのため次の財務事例では半ば諦め気分で臨み、疲労困憊で帰宅。さらに翌日には再現答案作成中に事例Tで致命的なミスを発見しました。

 そんな状態でしたから、合格が判明した瞬間は、まさに自分の目を疑う状態でした。なぜ合格したのか、いまだによくわかりませんが、「AAS本科生からいったん不合格、1年後にリベンジ」の事例としてご参考になればと思い、以下に記します。

◆ AAS本科、しかし不合格

 平成22年にAAS東京本科に在籍しましたがあえなく不合格。その後、翌年23年の1次試験がある8月まで、2次試験の勉強は全くしませんでした。1次試験の合格が判明し、あわてて2次の学習にとりかかろうとしたものの、AASでの学習では前年「徹底的にやり切った」感があり、これ以上何をどうすれば良いのか、という気持ちでした。

 まずは、前年の自分の再現答案をあらためて分析。1年前の不合格直後に早坂先生に再現答案をチェックしていただき、A判定でなかった主因を分析されていたので、なぜ事例1から3まで全てB判定だったのかの、「表面的な」理由はわかっていました。具体的には、「与件の問題点を放置」、「重要な制約条件を無視」などが各事例1問ずつぐらいありました。

 しかし不合格の「本質的な理由」は別にあると感じていました。前年も「実力は出し切った」という思いがありましたから、同じ条件でもう1度受験しても同じ失敗をするのではないか。本質的な課題は、「同じ失敗をしないためにはどうしたら良いのか」のはず。その根本的な対策が見えてきません。2次試験までは11週間しかありません。

◆ 敬遠していた「ふぞろい」を利用

 そんな折、1次試験の会場で偶然お会いしたAAS同期で同じ境遇の方との、情報交換会と称した飲み会に参加しました。そこでいろいろ勉強方法を参考にさせてもらいました。その結果、まずAAS本科生時代は敬遠していた「ふぞろいな合格答案」シリーズの書籍をあらためて研究してみることにしました。

 具体的には、「ふぞろいな合格答案」から、再現答案の部分だけを抜き出して一覧にし、1問ごとに合格者の答案やA答案からB、C、D答案までと自分の再現答案を並べて1ページで比較できるようにしました。例えば以下のような形です。

「ふぞろい」と自分の答案の一覧比較の例
第1問 A社が〜・・・理由について100字以内で説明せよ。
<再現答案>

生産者と売り手が・・・ 合格
理由は、・・・ 合格
砂糖商社の商売は・・・
理由は、・・・
理由は、・・・
自分 理由は、・・・

 数日間、この一覧表をただただ眺めていました。すると、はじめはおぼろげながら、そしてそのうち、だんだんはっきりと、自分がなぜ昨年失敗したのかの理由が見えてきました。

 気づいたのは、自分の答案は「中身が薄い」「考えが浅い」ということです。「だから何なのか」が伝わってこない答案なのです。「与件を使っているからこれで良いだろう」「切り口を使っているから良いはずだ」とばかりに、紋切り型で終わっています。形式は整っています。しかし中身が無いのです。極端に言えば「考えているふりはしているが実は何も考えていない」ように見える解答だと感じました。なぜそんな答案になってしまったのでしょうか。

◆ 「考える」を軽視

 私は「読む・考える・書く」のうち「考える」を軽視しすぎていました。そしてなぜそうなったかというと、おそらく、私がAASの指導方針を曲解してしまったからです。

 AASの本科では「考える」にそれほど多くの時間を割きません。もちろん「考える」を軽視せよ、と教えているわけではありません。「考える」は各自が気の済むまでやればよいことで、そのために石原真一先生の「過去問アシスト」もあります。ただ、受講生と接する限られた時間の中では、過去問のミクロな分析や、あてどない正答探しで迷路に入らず、技術論を優先して教えている、という面はあると思います。

 それを誤解した私は、前年、「考えを軽視しすぎる」スタイルになっていました。具体的には、@2次試験に「正しい解答」があるわけではないのだから、考えても結論は出ない、A「考え」ても「書く」がなければ合格しない、B「考える」のは本試験「前」に済ませて、当日の80分は「読む・書く」に集中せよ、といった態度です。これが高じて、受験直前には「何も考えない(!)答案自動作成ロボットになりきる」という意識にまで進んでいました。AASの「お作法」(論理パターン、典型的切り口、与件活用)さえ守っていればそれで「自動的に」合格するのだから、「無駄に」考える必要はないという態度です。

◆ あらためて過去問に取り組む

 おそらくこういった私の「考え軽視」(?)の態度も、ある前提付きで有効です。それは、いったんは限界まで考え抜いたという前提です。その前提を欠いた、「単なる考え軽視」ではせいぜいB判定どまりであり、形式的なテクニックだけで通用するほど2次試験は甘くない。そのことが、ようやく分かったのが翌年9月の中頃、3度目の本試験まで1ヶ月と少しという時期でした。

 そこからです。1年前に徹底的にやったはずの過去問に、あらためて取り組みました。TACの模範解答解説も参考にし、80分間の思考の流れをシミュレーションしながら、吸収できるところはしました。そうして再び過去問を80分で解いていきました。どの年度も、もう与件はほぼ記憶していましたが、今回は「書く」よりも「考える」を重視するようにしました。

 そうすることで見えてくるものがありました。「考える」の比重を増やした結果、タイムマネジメントは厳しくなりました。そのぶん、時間内に絞り出した答案の日本語はあまり美しくないものが増えましたが、その事にも慣れるようにしました。この頃の私の標語は「格好つけず、泥臭く」でした。

◆ 「お作法」をあえて破る

 MMC模試のアドバイス返却も意外に役立ちました。「あなたの答案は設問要求には完璧に応えているが、何かもう1つだけほかの受験生と差別化できるキラーワード(知識要素)が無い」とアドバイスされました。自分の感じていたことと同じです。「与件×与件」を意識し過ぎており、因果関係を適切な知識で肉付けする事で説得力を増すことができていなかったようです。与件に無い言葉でも必要であれば恐れず使うことにしました。

 AASの「お作法」をあえて破ることも「練習」しました。というと妙な言い方ですが、それほどまでに「お作法」に縛られていた自分に気づきました。「いま自分が書いている文章はAASのお作法からははずれているが、この問題ではあえてそうしているのだ」ということを意識してできるようになりました。お作法通りでいける場合といけない場合の見極め、お作法通りにいけないのに無理してお作法にあてはめないこと、などを「自然に」できるように練習していきました。逆説的になりますが、こうした練習の過程で、AASのお作法がいかに良くできているかも再認識することになりました。

◆ そして3度目の本試験

 3度目の本試験では、冒頭にも書いたように楽に解答できたわけではありませんでした。形式的な美しさに逃げずに、最後の最後まで妥当性を検証し続けました。そのせいか前年に比べ疲労が激しく、また時間もいっぱいいっぱいで、終わったときは手応えも何も分からないほどの状態でした。しかし、今になってみると、その事自体が前年よりも向上している事の証左であったように思います。

◆ 終わりに

 私はすぐ楽をしたがる人間です。何かに依存したがります。思考を停止した方が楽だからです。しかし受験機関は宗教ではありません。与えられる課題だけをやっていれば自動的に救われる、という依存的な態度は間違いです。自分で考える事、結局それが重要でした。

 また、AASのスキルは基礎力であり、それをよりどころとした上で、本試験にどうあてはめるかの応用力、現場対応力が必要です。高校や大学で学んだ事がそのまま社会で通用するわけではないし、また、かといってそのことで基礎学習の重要性が揺らぐわけではない、というのに似ています。

 最後になりましたが、不合格後も丁寧に指導してくださった早坂先生はじめAAS講師の方々、惜しげも無く情報交換してくださった同期の方々に、心より感謝いたします。ありがとうございました。


平成23年度 第2次試験

 
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