1.思い起こせば
30代では「中小企業診断士」という国家資格に対し、見て見ぬふりをしてきました。
しかし、厄年を迎える年代を前に区切りとして取得しておきたいとの思いに至り、平成20年10月から受験のための学習を始めました。
仕事の時間帯も流動的で自己管理が苦手な私は、学習のペースをつくるためにもまず某大手一次受験対策校を選択しました。
一次対策の学習は、対象範囲が広いものの受験校のテキストも充実した内容だったので、今思えば比較的順調に学習することができたと思います。学習の時間や労力をかけた分だけ成果を実感しやすく、学んだ成果が比較的、確認テストや模擬テストの結果に反映されました。言わば正答のある学びの範囲は達成感も得やすいことから、モチベーションを維持しやすかったように思います。
私の場合、複数年に渡る長期間の学習や資格取得に向けたモチベーションを保持できないと最初から思っていたので、できるだけ短期勝負でいきたいと思い、同じ受験校で二次対策の集中講座も受講しました。10数名の二次対策クラスでは、担当講師独自の解答手法を学びながら、ある程度「書ける」ようなつもりになっていました。事例対策に取り組む課程では、これまでとったことがないような採点結果(20点台や30点台は当たり前)が続き、苦しく切ない日々が今でも思い出されます。
曲がりなりにも事例特有の解答パターンや言い回しなどを身につけるにつれ、直前模試の頃にはAレベルの採点も時にはあったので、何とか当日の「運」を味方につければ「合格できるかもしれない・・・」などと淡い期待を持って受験初年度の二次試験に挑みました。
しかし、本試験では最後まで神風が吹くこともなく、結果は事例T:A、事例U:B、事例V:D、事例W:Cの総合:Cで、最初の挑戦は見事に撃沈しました。
■ 私の通算受験暦
受験年度 |
一次試験 |
学習方法 |
二次試験 |
学習方法 |
平成21年度 |
○ |
某大手受験校 |
×(総合:C) |
某大手受験校 |
平成22年度 |
△:科目合格 |
独 学 |
○ |
AAS二次本科講座 |
2.途方に暮れた二次対策学習
すでに書きましたが、一次試験は学習範囲が広いものの正答のある学習対象なので、成果や達成感を実感し易いと思います。自分の習熟レベルがどれくらいにあるのか、つまり自分の現在地を把握しやすく、そういう意味では取り組みやすかったと思います。これに対して、明確な正答がない、あるいは複数の解答も有り得る二次試験対策の学習では、毎回異なる事例問題に取り組む中で掴みどころのない感覚の連続でした。そのため、12月に二次試験の不合格が確定した後は、これからどのように取り組むべきか、見通しを付けられない中で、不安な年末年始を過ごしました。
それまでのやり方では、何度トライしても二次試験を突破できるイメージを自分の中で持つことができませんでした。これは、大手受験校の教材や担当講師の指導が不十分であるわけではなく、自分の解答には何らかの欠陥があるのではないか、そもそも基本的な部分に問題があるのではないか、そんな思いにも至ったのでした。診断士の二次対策を具体的にどこから、どのように取り組めばよいのか、これからの対策を考える日々の中、「名古屋・浜松で唯一通学できる中小企業診断士二次試験の専門校」と謳われたホームページを発見し、年明けの講座説明会に参加したのが、AAS:鷺山先生との出会いでした。
3.愚直に取り組んだAAS名古屋流の学習方法
講座説明会では、講師の鷺山先生一人に対し、参加者二人と何とも密な関係で始まりました。全体説明を聞くと言うよりも、講師からの問いかけに対して個別に解答するようなペースで始まりました。その際の内容をあまり覚えていませんが、初めて「春秋要約」の基本を体感したことが印象深く残っています。何を要約すればよいのか、読み取ることができませんでした。
そのことで、事例問題に関連する知識やキーワードをさらに詰め込もうとしていた当時の私に、一寸の光が差し込んだ感じがしました。土日の出張が多い仕事柄、年明け2月から始まった本科講座へ参加後、自宅や出先からのFAX送信や浜松での振り替えを活用しながら、AAS流の学習方法に次第に引き込まれていくような感じでした。「ゼロベースで愚直に取り組みましょう!」という鷺山先生からの言葉を基本コンセプトにして、新たな二次対策の学びが始まりました。
ところが、講座に参加してのアウトプット(AAS創作事例への解答)や毎日の春秋写経と要約、過去問を中心とした設問分解など、月日を重ねどなかなか得点アップにつながりませんでした。AAS独自の事例別フレームワークや切り口をいくら暗記しても、合格レベルの得点にはつながらず、苦しい心境の日々が改めて続きました。
4.開き直ってベストを尽くした本試験前
一次試験が終わり、夏から秋へ季節が移り変わる頃、事例中心の二次対策学習もいよいよ終盤へ差し掛かかる中で感じていたのは、以下のことでした。
・AAS本科講座で学んだ解答技法を活用しても去年よりも書けない・・・スランプなのか、実力なのか。
・フレームワークも戦略マトリックスも活用しているのに、一貫性のある全体戦略が描けない。
・直前合宿での結果はどん底でショック!!(本科生ではない参加者よりも低ランク)
本試験まで1ヶ月を切り、身に着けた解答技法で安定して得点しているはずが、直前合宿での結果は最悪となり、本当にショックでした。これまでの取り組みはなんだったのか・・・そんな思いにも駆られましたが、「この試験は、最後まで分からない。直前合宿の高順位が合格する可能性とは限らない。」そんな鷺山先生からのコメントにも励まされ、開き直って覚悟を決めたのが良かったのかもしれません。
試験当日までの学習方法は、今一度、原点に立ち戻るため、直前での合宿事例及びアウトプット事例を中心とした、丁寧な「設問分解」を繰り返しました。ここで一番のヒントになったのは、直前合宿で対応してくれた先輩合格者の解説・コメントでした。先輩合格者のMさんが教えてくれた「対概念」と「助け舟」というキーワードは、試験当日の私に大いに力を与えてくれました。この場を借りて、改めて感謝いたします。そうしたヒントを改めて踏まえながら取り組んだ設問分解を繰り返すうちに、解答に必要な情報の見つけ方、ロジックに基づく表現方法を身に付けられたことが、試験当日の良い結果につながったのではないかと思っています。
5.本試験当日を迎えて
試験前日は、妙に落ち着いた心境にありました。直前合宿のどん底の心境から、限られた時間の中で、「自分なりにできることはやった」そんな開き直りに近い満足感から精神的には落ち着いたように思います。
事前にシミュレーションしていた80分間の大まかな流れは、読む:25分、考える:15分、書く40分です。具体的な解答手順は、以下のようにまとめておきました。
■ 自分なりの解答ステップ
1. 試験開始後、名前と受験番号を書く。(これも大事な手順!)
2. 与件全体の分量を見て、最初の段落(企業概要)と最後(事例の方向性)を
理解する。
3. 設問を読んで題意と制約条件をマーキング・分解・切り口をメモする。
4. 事例戦略マトリックスを大まかに整理する。
5. 事例のテーマをイメージし、概要をメモする。
6. 与件を読む。(段落ごとに概要整理、下線によるマーキング、接続詞と助け舟
に留意)
7. 設問文から題意・制約条件を、与件文から必要な情報を抽出し、レイヤーと
関係性を整理する。(診断情報と助言キーワードに分ける)
8. 設問ごとに解答骨子(主語と述語を決める)を作成する。
・ 設問の通りに骨子をつくり、与件から内容を入れる。
・ 診断、分析では「〜なので、〜である。」、助言、
提案:「〜することで、〜する。」の「黄金文律」を活用する。
9. 事例テーマに沿った切り口及び対概念を意識して、洩れなくダブりなく
(MECE)具体的に書く。
10.設問間の一貫性(SWOT分析と戦略、戦略と戦術の関係など)が取れるよう
にどの設問に何を書くか決めてから、解答骨子に沿って書く。
あれこれ深く考えすぎず、全体的にシンプルに事例に向き合うことを意識しながら解答しました。全体的には、@与件や設問に記述のない情報はできるだけ書かないこと、A主語と述語が矛盾しない短い文章表現を意識すること、です。また、戦術レベルでは、@事例企業に合わせて具体的な記述を意識すること、A切口や対概念によるバランスを意識すること、です。
同時に、「問われたことに、問われたように」を呪文のように心の中でつぶやきながら解答用紙のマス目を埋めていたように思います。最後に付け加えるとすれば、解答ではロジックを意識しつつも、結論と具体例など「うつくしい文章構成にこだわらない」、「マス目が少々余っても無理に全部埋めようとしない」、と心に決めておいたことで精神的に楽になれた気がします。
6.本試験(筆記)合格後から口述試験まで
今となっては、口述試験で具体的に何を聞かれたかをあまり覚えていません。口述試験の目的は、診断士としてのコミュニケーション能力の確認であったように思います。絶対合格できるとはいえないかもしれませんが、例年の不合格率は極めて少ないのが現状のようです。とは言え、受験校が実施する口述対策にも参加して、事前に練習をしておくと、精神的にも安定して望むことができるでしょう。
7.最後に
今でも自分の解答レベルが、合格水準だったかどうかは自信がありません。また、もう一度、受験して合格できる自身もあまりありません。ただ、不合格だった年の自分と合格した年の自分の違いを一言で言うと、本試験終了後にT〜W事例すべての「再現答案が書けたこと」だと思っています。再現答案を書くためには、本試験で解答するためのステップを安定してこなし、解答骨子や抽出したキーワードのメモが残っていなければ、記憶だけではなかなか再現できません。AAS名古屋流の解答ステップに加え、先輩合格者や学友から学んだことを愚直に実施したことが、解答を再現できる解答スタイルを身に着けることができたのではないかと思います。
鷺山先生を始めご指導いただいたAAS講師の皆様、惜しげなく合格のコツを伝授いただいた先輩合格者の皆様、同じ目的を目指し身をもって知識と刺激を与えてくれた学友の皆さん、最後まで本当にありがとうございました。
「感謝」に変わる言葉が浮かびませんが、この場を借りてお礼申し上げます。
本当にお世話になりました。
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