1.はじめに
私は合格まで足掛け6年の歳月をかけました。これだけ月日がかかったのはそもそも私が「勉強の仕方」を知らなかったことと、「自分に甘いという性根の弱さ」に勝てなかったことが原因でした。
この6年間は中小企業診断士の資格取得というよりは、「勉強の仕方習得」と「自分との戦い」だったといえます。
勉強方法は、1次・2次とも過去問題を活用した独学を基本とし、自主勉強会と受験機関の通信講座を利用しました。
2.合格までの道のり
私の受験暦は下記のとおりです。
| 年度 |
1次試験 |
2次試験(筆記) |
受験機関 |
| 平成17年度 |
× |
―――― |
他社(半通信) |
| 平成18年度 |
×(3科目合格) |
―――― |
―――― |
| 平成19年度 |
○(4科目合格) |
×(BABB) |
―――― |
| 平成20年度 |
―――― |
×(BABC) |
AAS(通信) |
| 平成21年度 |
○ |
×(BABA) |
―――― |
| 平成22年度 |
―――― |
○ |
AAS合格指南書
AAS口述対策集 |
■
平成17年度
初学者だった私は、綿密に学習計画を組み、受験機関から送られてきたテキストを読んで、DVDを見て、サブノートにまとめて暗記し、問題集を解いて、できるようになったら過去問題に取り組むという方針で学習を進めていました。しかし、その方法では、それまで見たこともない8科目(平成17年度)もの幅広い分野を限られた時間の中で習得することは私には困難でした。
そこで、先輩受験生のアドバイスを仰ぎ、過去問題中心の勉強スタイルへ変更しました。納得性の高い勉強方法でしたが取組方が甘く、1000点満点中548点とあと52点足りずに不合格となりました。
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平成18年度
この年度から、1次試験が7科目の科目合格制となりました。この年度も引き続き過去問題を中心とした勉強スタイルでした。そのほか、勉強のためのツールを作り隙間時間で覚えるように努力することで、学習内容を覚えることが容易になる効果を知りました。しかし、ツール作りに時間を掛けすぎて、反復練習が足りず、科目合格は3科目(経済、運営管理、情報システム)に留まりました。
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平成19年度
まずは1次突破をするために、徹底的に勉強しようと思いました。学習への意欲を高め必要な知識を得るため、簿記2級や知的財産検定2級、ビジネス実務法務2級を受験しました。
中小企業政策も徹底的に研究して、直前まで暗記に努めました。その結果、やっと1次を突破でき、2次試験へ進出しました。
1次合格から2次試験までの期間は短かったので、勉強会の仲間と勉強方法を工夫して取り組みましたが、BABB=Bで不合格となりました。
■平成20年
平成19年に2次試験に落ちたとき、自分に足りないのは、切り口設定と設問間の一貫性であると考えました。また、2次試験の勉強教材としては本試験の過去問題が最高の教材であると考えていたため、過去問題をスパーフレームワークで対応するAASのメソッドに惹かれ、通信教育を申し込みました。
石原先生にわがままを言って、AASの教材は一切使わず、過去問題の添削だけをお願いしたりしました。
残念ながら、その年と翌年は2次試験に落ちてしまいましたが、AASで教わったMECEや因果関係構築方法、スーパーフレームワーク思考などにより、飛躍的に2次問題での解答の書き方に関する理解が高まりました。
AASを活用しつつ、2次に専念し、全事例の全年度の過去問題を詳細に分析し、自分なりのベスト解答を作成することを行いましたが、それに時間を掛けすぎてしまい、2次の解答プロセスを確立はしたものの、熟練することができず、本番では表面的な記述・対応に終わったことで、評価もBABC=Bと前年よりも成績を落として終了しました。
■
平成21年
1次から再受験でしたので、1次までは1次に専念しました。ただし、実行した勉強は過去問だけでした。過去問題を論点別に整理したツールを作り、4回転ぐらい行い、苦手な論点を受験機関の模範解答やテキストで調べたりして理解を深め、習得する方法をとりました。この方法は非常に有効だったと思います。経済学は88点を取る事ができました。
2次試験対策としては、前年につくったツールを活用しリライトする過程を通じて、過去問題の戦略パターンや解答要素のパターンを把握することに努めました。この結果、2次試験で問われている論点はある特定の論点が繰り返し出題されていることがわかりました。(年度別パターンの変化はあります)
財務は毎日、計算問題を解くようにして、計算力が低下しないように注意しました。
9月ぐらいからは解法プロセスに基づいた80分ガチンコ解きを実施しましたが、解答内容に具体性が足りなかったり、設問間の一貫性が無いなど、もう一歩踏み込めず、表面的な解答になったので、不合格となりました。
評価はBABA=Bでした。相対評価とは言え、財務をAにできたことは大きな自信につながりました。
■
平成22年度
公私共に忙しく、勉強に対するモチベーションが上がらず、年初から8月ぐらいまではほとんど勉強しませんでした。8月ぐらいに気持ちが落ち着いたので、2次試験の準備を始めました。
そのときに、AAS名古屋の鷺沼先生のブログ経由で知った「合格指南書」を読みました。これはかなり有益だったと感じています。「因果関係に注意した解答とはどういうことか?」「設問間関係はどう整合性をとるのか?」など、私が知りたかったことがすべてかかれていました。
これを基に、自分の解法プロセスを修正し、実践で使えるように何度も修正を加えました。事例問題は80分ガチンコ解きを行い、8月から平成13年〜21年までの全過去問題を3回転しました。
特に、事例Tと事例Vが不得意科目だったので、重点的に取組み、過去問の頻出の重要論点を特定し、それへの対応策を確立しました。
たとえば、事例Tでは、組織問題として組織の構造や権限付与のあり方、人事問題としてモラール低下の要因と向上に効果のある施策、成果主義のメリット、デメリットなど良く出る論点を明確な切り口でわかりやすく書けるように研究し、文章にする練習しました。
事例Vでは、リードタイム短縮策やコスト削減策といったことを中心に研究し、文章にする練習をしました。
事例Wはひたすら毎朝、計算問題を解くようにしていました。特に、意思決定会計(取替え投資など)が苦手だったので、簿記1級の意思決定会計分野の問題集を購入し、4回転ぐらいさせました。
また、解答の書き方という点では、自主勉強会のML(メーリングリスト)を中心に、勉強仲間と相互添削を行うことで、因果関係に留意した解答の書き方や自分の悪い癖などを把握・修正できました。
結局、解答骨子を完全にまとめてから解答を記述するという解法プロセスは最後まで確立できなかったため、本番時も設問と与件文を把握したら、直接、解答用紙への解答を始める方法をとり、最後に矛盾が無いか確認する方法に切り替えました。最後は、「これが自分のスタイルだ」と開き直っていました。
■本試験当日
事例T〜Wどれをとっても簡単なものはありませんでしたが、最後の1秒まで使ってすべての解答欄を埋めることができました。また、少しだけ、各事例企業の全体戦略を意識した解答を書けたと思います。
今年は例年に比べて時間的余裕がなく、再現答案用のメモなどを書く余裕もありませんでした。それだけ、全力投球したので、本試験の事例W終了後はしばらく立ち上がる事ができませんでした。
しかし、実際再現答案を書いてみると、与件文は読み落とすわ、設問要求に応えていないわなど、アラがたくさん見えてきて、前年よりも手ごたえが悪かったため、不合格を確信していましたところ、なぜか筆記試験に合格してしまいました。
■
合格の決め手
自分が合格できたのは以下の理由だと思います。これがなかったら、あと何年受験することになったかわかりません。
★受験テクニック面
@
1次試験では、過去問題を出題要綱の順にソートしたツールを作り、それを4回転ぐらいまわしたことで苦手な部分が明確になり、それをつぶすことで得点をあげる事ができました。
A
2次試験は過去問題しか取り組まなかったことで、中小企業診断試験で問われる頻出論点や傾向が把握でき、その論点を自分なりに掘り下げて、診断企業への提案に使えるような汎用ツールセットを準備したこと。
B
2次では自分なりの解答プロセスを構築し、80分解きで最も良い解答を掛けるよう修正を繰り返し、本番で適切な解答を書けるようにしたこと。
C
解答記入時に因果関係を丁寧に表現する書き方をすれば読み手がわかりやすいと気づいたこと。
D
人が「これは良い」という解法プロセスでも、自分が何度も繰り返して会得できないものは無理に会得する必要はないと割り切ること。
★精神面
@
不合格だったときに「合格するまで受験してやる」と気持ちを切り替えたことも挙げられます。途中でやめなければいつかは合格します。
A
今年はトラブル続きだったので、1つぐらいはいいことが欲しくて、例年よりも合格に対する執念は強く持っていたと思います。だから、本試験でも全力を出し切ることができ、終了後に立てなくなったのだと思います。
B
今年は、わからないことはわかるまで聞く姿勢をつらぬきました。MLなどで相手の書いてきた内容がわからないとき、あるいは納得できないとき、以前はわかったふりをして流していましたが、今年は徹底的に確認し、相手が何を言いたかったのかを100%把握するようにしました。
C
今年は、何のために中小企業診断士になりたいのかを再確認しました。その結果、自分は心底、中小企業診断士になって、将来、日々がんばっている中小企業の社長さんのお手伝いをして、元気のない日本のさまざまな地域の活性化に寄与したいんだという強い思いを確認しました。
最後に
私にとって、中小企業診断士試験に挑戦することは、資格を取得して世間のお役に立ちたい、エンプロイヤビリティーを高め将来のリスクヘッジをしたいということに加え、弱い自分の性根との真っ向勝負の場であったといえます。まずは、筆記試験に合格したということで、第1ラウンドは勝利したといえますが、これから先、高いレベルで心技体がそろった診断士になっていくためには、日々、切磋琢磨していくことが必要です。つまり、永遠に自分の性根との戦いを続けていくことが必要だと思っています。
中小企業診断士試験を単なる資格試験だから合格しさえすればよいのだと思うか、診断士にふさわしい人間になるために勉強するんだと思うのかは人それぞれだと思いますが、個人的には、後者のスタンスで取り組んだほうが、はるかに人間として成長できるような気がします。自分との戦いはつらく厳しいですが、あえてその道を選ぶ方は、仲間と苦楽を分かち合い、自分に負けないようにがんばって勝利を勝ち取ってください。
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