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合格体験記>平成21年度 第2次試験合格体験記

「素直に、丁寧に」 山上 敬  

■ はじめに
  中小企業診断士試験の勉強を始めて2年目で合格することができました。この2年間を振り返ると、役に立ったことや失敗したことがいろいろありました。この合格体験記は、中小企業診断士試験の受験を志す方が、学習を進めていく中で悩んだときに何らかの参考になればと思い、私がどんな受験勉強をやって、どんなことに気付いたかを書いていきます。

 

■ 診断士を志したきっかけ

  中小企業診断士試験の勉強を始めた時、私は電気メーカーの研究所に勤務していました。近年の景気低迷の中、研究テーマは自然科学から社会科学の分野へのシフトし、私の業務も、会社の技術戦略や事業戦略の策定への関与が増えて行きました。そうした業務の中で得た経営に関する知識を体系的に学び直したいと思ったのが、診断士を志したきっかけでした。その頃、会社の主力事業の再生プロジェクトを一緒にやっていた先輩に相談したところ、中小企業診断士試験の受験を進められました。その先輩も中小企業診断士の勉強をされていて、試験の内容、科目構成や制度などをわかりやすく教えてくださいました。これまでの知識を体系化でき、サラリーマンとしてのスキルアップにつながること、コンサルタントとしての独立に役立つことを知り、T社に通学し受験を目指すことにしました。

 

■ 受験歴

 
1次
2次
学校
平成20年度
○(523点)
CABA総合B
T社通学
平成21年度
○(510点)
AAS通学

 

■ 平成20年度 1次試験

  平成19年9月から、T社のストレート本科に通学しました。1次試験の勉強はT社を信頼し100%依存していました。どの科目も基本的には同じ勉強方法で通しました。当時は出張が多く、移動時間を含めて、かなりの勉強時間を確保できたことが幸運でした。

【勉強の習慣をつける】
  T社の講義に合わせて、以下のことを毎週やっていました。無理な計画は立てず、確実にできることを続けました。
@予習でテキストをざっと読む
A復習で「トレーニング」という基礎問題集を解く
B移動中にiPodで講義の録音を聴く
  講義の録音を聴くのは、気乗りしない時にも受身でできるので、楽に勉強を続けることができました。

【財務会計は計算問題で自信をつける】
  通常は10月スタートなのですが、9月スタートのコースでは、財務会計を9月と11月(同じ内容の講義)の2回受講することができました。財務会計に苦手意識を持つ受験生が多いのですが、通常の2倍の時間をかけられたことが幸いしました。
  T社では計算問題集が提供されていて、これを毎日1問、2次試験まで解きました。何度も同じ問題を解くことで、自信をつけることができました。

【サブノートは無理せずに】
  サブノートに関しては、T社の先生にも賛否両方の意見があり、怠け者の私はサブノート否定派でした。しかし、企業経営理論の基礎答練の成績が悪かったのでサブノート作りをやってみました。確かに、効果はありましたが、時間がかかりすぎて講義のスケジュールに間に合わず、結局やめました。サブノートは苦手や重要箇所に絞ってやるのが良いと思います。マクロ経済のグラフ、キャッシュフロー計算書、など。

【直前は基礎問題で】
  直前は、3社の模試を受け、過去問にもトライしましたが、かなり苦戦しました。ストレート合格するなら1次試験で平均70点くらい取らなきゃいけないといわれていましたが、私は平均65点くらいで、しかも本業の情報が90点以上なので、残りの科目の平均は60点ぎりぎりでした。本試験レベルの問題は歯が立たず、効率も悪いと判断し、基礎的な問題に絞り込み、繰り返しやりました。

【職場で知識を使う工夫】
  結果的には、かなり高得点で1次試験を通過できました。何が良かったのかと考えると、学んだ知識を職場などですぐ使うことを心がけていたことが大きかったと思います。この知識で、あいつをやりこめてやろうといった意地悪な使い方をするために、いろいろ調べて理論武装していきました。T社のポケットテキストを今でも持ち歩き時々使っています。

 

■ 平成20年度 2次試験

  2次試験の勉強は早めに始めるように言われながら手につかず、1次試験が終ってから始めました。しかし、何をやれば良いのか、まったく見当がつかず、5年分の過去問をただ解くだけの作業を、試験直前までなんとなくやっていました。模試や答練では、80分で解答するのがやっとという状態でした。答案の添削が返却されても、自分の解答のどこが悪いのかがはっきりせず、採点方法にも納得できませんでした。今考えると、私の解答は、中小企業へのアドバイスではなく、ウルトラC狙いの連発だったのです。この試験の本質をまったく理解できていませんでした。
  模試ではいつも80分ぎりぎりで終っていたのが、本番では10分以上の余裕がありました。当日は火事場の馬鹿力かと思っていましたが、実は、焦りと読み飛ばしの連続だったのです。事例Tでは余った時間に答案を見直したら、組織・人事での対応ができていないことに気がつき、慌てて中途半端に書き直したことが仇となりました。また、事例Vでも制約条件を大きく外した解答をしてしまいました。

 

■ 平成21年度 2次試験

  平成20年度2次試験の直前にAASの講座を受講し、2次試験の4事例のフレームワークに出会ったことが目からウロコでした。それで2年目は迷わずAASの本科に通学することに決めました。

(1)「私の読み方」
  3月に、「私の読み方」を作り、80分の戦い方を始めて書き出しました。それ以降、アウトプットで80分の戦い方をいろいろ試行し、講義や議論の中での気付きを反映させ、最終的な改訂回数は23版にもなりました。
  これを各事例1ページに編集したものを試験場に持って行き、直前の最終確認とイメージ・トレーニングを行いました。

【80分のマネジメント】
  私の80分のマネジメントは、1年目にできなかった考える時間を少しでも確保できるように設計しました。時間はある程度の目安に留め、現場対応で調整しました。
@ 設問文を読む(10分):事例の設計図に題意、制約条件を書き出す
A 与件文を読む(15分):最初から細かく、設問とのリンクを貼りながら
B 解答を考える(10分):全体を俯瞰し、一貫性と整合性に留意して
C 解答を書く (40分):何度も書き直して良いと割り切って、丁寧に
D 解答を見直す( 5分):誤字・脱字なく、読みやすい文章になっているか?

【色分け】
  いろいろ試してみて、問題番号での色分けがしっくりきました。第1問:茶、第2問:紫、第3問:赤、第4問:青、第5問:オレンジと決めて、与件文に線を引いたりメモしたりしました。私の場合、手を動かしながら読まないと気が散るので、白紙に事例の設計図を書きながら読みました。

(2)解答技術
  結局、次の2つです。何度も指摘されて、やっと身に着けることができました。
 「題意」と「制約条件」に素直に解釈し、首をタテにふること
 「表現力×構成力×与件引用」を武器にして、丁寧に解答すること

(3)読む力
 設問分解:過去問3年分の設問分解を徹底的にやりました。1事例に、3日も4日もかかることがありましたが、じっくり、過去問を研究することができて、一番効果のある学習方法だったと思います。石原先生に添削していただき、厳しい指導と心温まる激励の言葉を何度ももらいました。おかげで飽きっぽい私でも続けることができました。3年分がやっと完了したのが試験の2週間ほど前でしたが、やり遂げた達成感を持って本試験に臨むことができました。
 写経:写経することで、それまで気付かなかったことに気付いけました。最初は手書きでやっていたが、手が痛くなるので、パソコンに打ち込むことに変えました。気分の乗らないときでも細部に注意して読むことができるので良い方法です。写経した文書に、色分け・線引きして1ページに印刷し持ち歩いていました。1ページに印刷すると、一覧性が飛躍的に向上しイメージで捉えやすくなります。

(4)事例Tと事例Wに自信をつける
  設問分解での最大の気付きは事例Tの攻略方法でした。AASのフレームワークが面白いように当て嵌まるではありませんか。そこで、AASの合格者の答案で確認し、最後の仕上げにキーワード集を作成して試験に備えました。苦手な人が多い事例Tを、AASの組織・人事のフレームワークを使って華麗に解答すれば、スタートダッシュを決められるという自信がありました。
  事例Wは、経営分析のパターンをマスターできていたこと、毎日こつこつ計算問題をこなしたことだけでしたが、他の事例で失敗しても20点くらいなら、最後に逆転できると思っていました。実際には、計算問題を全問外してしまいましたが、経営分析がしっかりできたのでなんとかなりました。
  このように、事例Tと事例Wに自信を持つことで、試験当日、余裕を持って受験できたと思います。

(5)よき先生方とよき勉強仲間
  私はAAS本科で成績が振るわず、いつも後を追いかける立場でしたので、石原先生や講師陣の先生方の他、共に学んだ勉強仲間も、私の先生みたいなものでした。本来ならもっと焦っても良さそうなのですが、毎回、多くの気付きをもらって帰れて、とても楽しく学べました。私にとつては最高の学習環境だったと思います。講義やメールで、腑に落ちるまで議論させてもらったことで、自分の未熟さに気付き、事例の攻略方法を教わり、カッコいい言葉を憶えました。
  1年前、設問に素直に答えることのできなかった私が、問われたことに「素直に、丁寧に」答えることができたのも、このような学習環境があったればこそと感謝しています。

 

■ 終わりに


  合格できた最大の要因は、いろんな人の意見を素直に受け入れることができるようになったことだと思っています。去年の敗因は、自分の普通が他人にとっても普通だと考え、独りよがりな解答をしていたことだと思いました。なので、今年はより多くの人に分かってもらえる素直な解答を、丁寧に伝えることを目標にしてきました。
  AASでは、多くの人の意見を聞くことができました。勉強仲間の他にも、創業ゼミやMOT(技術経営)講座の仲間との交流を通して、いろんな人と意見交換ができました。皆さんの意見を少しずつ拝借して、A社、B社、C社、D社の社長の相談事に答えた結果が、今回の合格に繋がったのだと思います。
  私の強みは、講師をしてくださった先輩方や受験生仲間の皆さんから、情報と励ましをもらったことでした。皆さん、本当に有難うございました。
  来年の受験生の皆さん、頑張ってください。

平成21年度 第2次試験

 
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