二次試験もいわゆる「三タテ」を二回食らった末に、今年ようやく合格することが出来ました。その間、二次試験までたどり着けない年もあり、複雑な思いを何度も味合わされてきましたが、実際に合格してみると喜びと安堵感がやはり違いました。結局私はこの試験が好きだったし、学問として非常に高い関心を持って取組めた。だからこそあきらめないで良かったというやつです。特に何度も苦汁を味わっている方にとって、悩まれる局面が多々あるかと思われますが、「その状況において受験に取組んだ高い志」と「これまでに費やした自分の人生」を大切に、それを肯定すべく次の試験で決着を着けていただきたい、そんな思いも込めて書かせて頂きます。
■何度も不合格のなかで
試験制度が改定され二次試験の合格評定が示されるようになった平成18年度以降の私の成績です。(全受験歴ではありません)
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1次試験 |
2次試験 |
判定 |
平成18年度 |
○ |
× |
CBBA |
平成19年度 |
○ |
× |
ACAA |
平成20年度 |
○ |
× |
BCBA |
平成21年度 |
× |
○ |
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平成18年の直前合宿に参加させてもらって以降AASのお世話になりました。平成19年の本科では自分の解法や答案に修正が利き、成績は比較的上位。周囲からも「合格に近い」などと言われ、いい気になっていました。試験が終わったあと、「仕方がないな」と思いながらもなんとなく納得の不合格。評定を見て「もう少し。来年は行ける」と思ってしまったのです。しかし、翌年は違いました。殆どのメンバーが前年と同一であった平成20年の私の位置づけは本科では変わらず、「これを維持していく」ことで合格できると思って挑んだのですが、結果は不合格。しかもこの評定推移です。私はこのとき大きく落胆し、「自分だけが絶対に通されない試験なのではないか」「採点に公平性があるのか」「であれば継続して受験するという行為そのものに意味があるのか」と懐疑と失望に覆われた心境に追い込まれていました。
そのとき鷺山先生には懇切丁寧にフォローしていただきました。数度にわたり非常に長い文面のメールでケアをしてくださったその中で「あなたは優秀な人だし頑張っていた。それでも合格に届かなかったのは必ずどこかに原因がある。私も他の先生も出来る限りをするのでどんどん原因を見つけ出しなさい。そのうえで辞めてしまうならそれもOK。命までとられるわけではない。でもそこまで悔しければ、せめてそれを明らかにして将来を選択しなさい。服部さんとは長い付き合いだと思っているからあえて厳しく言いますが、あなたがこのまま心に曇りを残したまま生きたいのであれば、今すぐやめたほうがいい試験なんか」という主旨の記述がありました。また、合格された方には厳しい状況の中、耐えて試験に臨んだ人もいるということも知らせていただきました。これで少し気持ちが落ち着き、そのときに思った「不合格者答案を分析する」ということから始めようと、心を持ち直した覚えがあります。
また、その年の暮れ、AASのメンバー10人くらいで忘年会をしたのですが、飲んでいろいろ話をし、殆どが受験に前向きなその姿を見て、やはりやらなければという気持ちを再確認できました。その日、参加者の一人にその年の答案の提供を依頼し、他にも何名かの方の不合格者答案を手に入れることにしました。
■どうして不合格であったかを認識する
「自分はなぜ不合格なのか」「不合格者はなぜ不合格なのか」を徹底的に問うことによって合格発表後に抱いた疑念を徐々に晴らしてゆきました。例年合格者答案を目にすることはあっても自分以外の不合格者の答案を見ることはありませんでした。実際これをやってみると、「ああだからか」「ここが違うのか」という点が結構共通して解答に表れており、また、個人の性格や習性、学習歴などが出るものだなということもわかりました。これを数人でやり、自ら分析し、指摘をもらうことで自分の弱点(立ち位置)が明らかになりました。自分だけが阻害されているという被害妄想は消え、こうであれば合格できるのではという具体像が見えてきました。
具体的には私の答案は合格者のものと比べると
@ とにかくくどくて読みにくい。いろいろなことを盛り込みすぎ。
A 極端な内容の解答があり、他人と差をつけてやろうとの意図が見える。
B
一歩踏み込みが足りず、曖昧で字数稼ぎのような記述がある。
と、ざっと「書く」ということだけでもこれだけの問題点が見えてきました。また、他の不合格者の方にもこうした傾向が見られる方はおり、さらに全員に共通していたのは「制約条件を逃している」という点でした。要するに「問題を読んでいない(人のいうことをしっかり聞いていない)」ということです。私はこのような原因をより確固たるものにするために、しばらくこうした分析と合格者答案の写経という作業に終始していました。
■内観〜さらなるきっかけ〜
5月に合宿に参加しましたが、私の成績的な位置づけは変わりませんでした。普段なら「まあまあか」と思うところ、今回は終わったあと答案を分析し「ここはこの得点に留まったが内容的には良いのではないか」「ここは制約を逃しているから妙な記述になっている」というように得点にとらわれない反省をしました。また、その数日後に岩田先生がご好意で私の20年事例Tをチェックしたファイルを送ってくれました。「未だ理解度が低い」と酷評されましたが、「服部さんの場合、内面(心の持ちよう)に問題がある。経営者を何とか助けてあげたいという点で覚悟が足りていない。劇的な改善を望むなら自分の外側にある教材、トレーニングにヒントがある可能性は低く、自分の内側にある問題を発見して克服することだ」とのコメントを頂きました。これは今思うと大変もっともな指摘で、同時に推奨されたお試し策のうち
@ 自分の受験の動機付けの確認
A
合格者答案の写経
B
一日5分時間を取り、自分の問題点をメモする
の3点を実践してみることにしました。これにより心を決め、自分の精神的問題点を掘り下げることが出来ました。特に毎日自分を振り返ることは非常にしんどい作業でしたが、書き記した問題点を数日分まとめると、性格に起因する類似事例が多く、自分の解答にも見事に紐付けできるものが見えてきました。また、改めて合格者答案の写経をしてみて、私の解答は句点が少なく、正に余裕のない点にも気づかされました。こうした作業を得て自分の弱点を明らかにして行けました。
■具体的なトレーニング
これを受けて実際にトレーニングしたことは、強弱はあれども根幹は基本中の基本のものです。
@合格者答案写経+設問分解U
合格者の解答の組み立て方や記述の仕方を検証することで自分の答案内にある足りないもの・余分なものを見つけ出して行きました
A過去問の演習+自分なりの採点
「過去問は同じことを問うてくる」という点が何度もやっているうちにわかってきました。後述の事例U対策にしても同様で、「最低限求められる知っているべき枠組みがある」という旨の傾向が掴めました。私はわずか一問によって一次試験を落とされたことがありますが、これはよくよく考えると、最低限の実力を試すための問題が用意されているのに、それを確保できない人は容認できないという点で相通じるものがあると思っています。
B白書ミニ事例
『制約条件を捉える』という目的を達成するためには非常に有効なツールでした。
C事例U対策(過去問、スモールビジネスマーケティング)
2年連続C評価。これを克服しなければ合格はないと思い、5月、6月の殆どはこの事例に集中しました。
D春秋
写経して実際に書くスピードを維持する+要約を短時間で文章に落とすという目的で行いました
E中小企業白書
8月後半から毎週土曜日の決まった時間、決まったサイクルで白書を読み、白紙に自筆で要約しました。白書の考え方はここ数年本試験問題に多く盛り込まれていると思います。
F財務
9月頃からAASの過去のアウトプット事例より、経営指標、CVP、キャッシュフローなど分野を6つか7つくらい拾って、毎日15分〜20分程度充てました。
■本番
試験当日は例年に比べるとリラックスしていたように思います。しかし事例Tと対峙しているとき、あっという間に「大事に行こう」との意識に覆われ、どうも思うように行かない答案に内容に随分焦りました。80分で問題を解くというトレーニングの不足から、自信を持った時間配分は意外に難しくなっていました。しかし、毎時間始まる前に「欲張らずシンプルに書く」「内容で差をつけようとしない」というようなことを頭に念じ、その点だけを気をつけるようにしました。また、事例企業の方向性を間違えないようにドメインをしっかり設定することにも注力しました。さらに、なぜか殆ど全ての事例で「述語勝負」というメモ書きを残していました。知らず知らずどうすれば読みやすいかと考えた結果だと思います。それにしても事例Wはじめ、あまりの不出来に自分が情けなく思えました。打ち上げにも参加させてもらったのですが、「合格した年というものは揺さぶられても自分をある程度発揮できた」という先生のコメントを聞いているうちに、「ああ、ダメだな今年も」と観念しました。
合格発表の日も不合格を覚悟していました。裏切られるのが嫌で、診断協会にも行かず、HPも見ず、「今日郵便物が来ないことを確認することで不合格を知ろう」と非常に弱い気持ちでその日を迎えていました。ただ不思議と、来年もやろうとの意思は確定していました。その夜、協会から特定郵便が届いているのを確認し、歓喜の声を上げたことを覚えています。
■振り返り
拙い文章を長々と書いてきましたが、合格後、何が良かったかな、と考えたときに、徹底して自分と向き合ったこと、そして試験の本質と合格レベルをある程度設定できたこと、に行き着きました。過去の本試験でその評価がAであろうがCであろうがそれがどうしてなのかを考えていなかったと思います。本科でもなぜこの得点なのかという思いで内容を検証していたかどうかと今になって反省します。だからこそ試験内容や合格に必要なものについても真剣に考えていなかった。その結果が不合格だったのかな、と(あとは弱気と自己顕示欲が入り混じる性格面をいかに抑えるか、も含まれますが)。以上は合格したから言えることですが、内観するということは『あとどういう手を打てばいいかわからない』と悩む人にとって良い分岐点であり、効果が高いと思います。
この一年は自ら定めた要点だけに集中したせいで、トレーニング量はその前の年までに比べれば圧倒的に少なかったはずです。ですから、私の合格には過去の受験勉強やトレーニングの中で培われたものによるところが大きいという点はいうまでもありません。AASでは鷺山先生、岩田先生はじめ、諸先生、受験生から客観的な視点で意見を頂くことが出来ました。参考になる考え方や解き方はやはり講座の中から貰いました。また、受験へのモチベーション維持という点でも共に勉強している方がいる、気に掛けてサポートしてくれる方がいるということは大変な力です。この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。また、共に勉強してくださった受験仲間の方には本当に支えられたことも同時に胸に刻んでおります。
真剣に受験を志している方には、ぜひ効果的なトレーニングで早く合格して頂きたい。目的は様々ですが、あえて挑もうとする姿勢には敬意や共感が沸きます。前回残念な結果だったとすれば、それは頂上まで登らなかっただけのこと。ただし、山を降りるときの方が危ない。気をつけて、麓に下りて、また頂上を目指していただきたい。敢えてこんな思いで、皆様の成果を祈念しております。
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