■ はじめに
試験勉強を開始して2年余り、娘の誕生や職場の異動等の外部環境の変化もありながら、なんとか合格することができました。中小企業診断士2次試験は模範解答が発表されないため、日々の勉強も出口の見えないトンネルの中を歩いているような状態でしたが、合格した瞬間「自分の歩いてきた道筋は間違いではなかったんだ」と感じました。
合格に向けた解法は人それぞれ異なるものだと思います。今後受験される方々が自分に合った解法を確立するための一助になればと思い体験記を書かせていただきます。
■ 受験歴・受験の動機
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1次 |
2次 |
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| 平成19年度 |
○ |
× |
ABAB 総合 B |
| 平成20年度 |
― |
○ |
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平成18年7月に、労務担当として勤務していた会社から中小・ベンチャー企業を支援する機関に出向となりました。同機関では企業支援に関わる専門家の方々を迎え会議を重ねるわけですが、当初、財務諸表はもちろんのこと飛び交う単語すら理解することができず、この分野に関する知識習得の必要性を痛感する日々が続きました。
このような中、以前から中小企業診断士という資格の存在は知っていたこともあり、書店で調べたところ「中小企業診断士とは中小企業の経営を支援する専門家で、試験は財務・マーケティング・知財等の中小企業経営に関わる一通りの知識を問うものである」ということを知りました。まさに自分が求める知識が習得できる(この資格の取得を目指して勉強することにより結果として必要な知識を身に付けられる)と思い、勉強を開始した次第です。
■ 1年目の学習内容
<1次試験対策>
市販の診断士1次対策用書籍とヤフーオークションで購入した受験校DVDを組み合わせて勉強しました。通勤前の朝と勤務後に喫茶店で計3時間/日程度勉強し帰宅後DVDで解説を見る、という生活をほぼ毎日繰り返しました。書籍・DVDとも3〜5回転程度まわしましたが、その甲斐あってそれ程危なげなく1次は突破することができました。
<2次試験対策>
1つのことが終わらないと次のことが腰を据えて行えない性分のようで、1次試験終了後に2次試験に向けた対策を開始しました。2ヶ月半しか期間がないこともあり、今から受験校を探すくらいだったら独学で進めた方が良いだろうと思い、オークションで2次対策用の受験校DVDを購入しました。しかし何となく内容的にピンと来ず、同受験校の書籍も2冊ほど購入したのですがこれもピンと来るものではなく、そうこうしている内に1ヶ月半が経過しました(この時点で過去問は一度も見ていませんでした)。
このままでは確実に落ちると思い、他の書籍を探しました。2次対策用の市販の書籍はそれ程種類がありませんでしたが、過去問を題材としたものを見付けこれを購入しました。期間もなく後戻りはできない状況でありましたので、この書籍にすがる思いで1ヶ月間必死に解きました。そのお陰で何とか試験日2〜3日前までに解法手順を確立できたのですが、残念ながら結果は不合格でした。
受験校のストレートコースを受講して早い時期から計画的に2次対策をしていれば・・・?2次解法をより多く知っていて自分にあった解法を早期に見付けられていれば・・・?などと悔やみましたが、何れにしてもこれが独学の限界と感じました。
■ 2年目の学習内容
今年不合格なら資格取得は諦めようと考えていましたので、2年目は2次試験対策のみに集中しました。前年の反省を踏まえ通学か通信かは別として受験校を利用しようと考えておりましたので、各受験校のパンフレット等を見比べていましたが、私の居る仙台においては通学形式のものはAASしか存在しないと思われ、取り敢えず説明会に出てみることにしました。
当初AASのHPクラスを受講しようかなとも思っていたのですが、説明会の中で渡辺先生より「少人数でお互いに議論しながら良い答えを導いていく形式」とお聞きし、一方的に解法を押しつけられるのではなく、自分の考え方を基本としながらそれを正しい方向にブラッシュアップしていけるのではないかと考え、AAS仙台しかく塾に通学することを決めました。
仙台しかく塾においては、渡辺先生と石原先生が交互に講師をされる形でしたが、お二方とも熱心にきめ細かい講義及び添削指導をして下さり、そのお陰でフレームワーク・一貫性・妥当性等のAAS流の考え方を早期に体に浸透させることができたと思います。特に石原先生は神戸から仙台までこのために来て下さり、その採算度外視(受講者が私1人の時もありました)の情熱的な姿勢に頭の下がる思いでした。
4月以降は、娘が誕生した関係もあり家庭内の事情からしかく塾への通学が難しくなったのですが、それ以降もAASホームページの「こだわり便」より過去問解説DVD・インプット教材・直前対策問題集等の教材を購入し、ひたすら繰り返しました。しかく塾を受講していたおかげでAASの考え方の基本は身に付いていましたので、これらの解説を見てもスムーズに頭に入ってきたように感じました。
試験委員の著書(経営をしっかり理解する、スモールビジネス・マーケティング)についても、繰り返し読み込みました。特にスモールビジネス・マーケティングは著者の考え方がそのまま自分の考え方になる程度まで読み込みました。試験本番の事例Uでは「本格志向・関係性志向・人的コミュニケーション志向で以て解決するのだな」という先入観を持って取り組みました。スモールビジネス・マーケティングを読まずに試験本番に臨むというのは「地図を持たずに航海に出る」ようなものだと思います。
■ 合格の勝因
「合格」という結果を以てその勝因を振り返ると、その勝因とは「2次筆記試験で問うている事柄を自分なりに解釈し、それに対応した自分に合った解法を確立できたこと」ではないかと感じています。
やや漠然とした言い方になりますが、私の考えでは、出題者は2次筆記試験においては中小企業診断士としての解答を求めているのではなく(口述試験では求めますが)、今後中小企業診断士として活躍していくにあたって前提となる正しい考え方ができているか、を診る試験なのではないかと思います。(“正しい”考え方とは、実務においては複数存在すると思いますが、ここでは出題者の考える正しい考え方という意味です。)
参考になるかどうか分かりませんが、以下に時系列で「2次筆記試験で問うている事柄=試験において解答すべき事柄」についての私なりの解釈を記載させていただきます。
【H20.1〜2】
※AAS流の考え方をとにかく吸収することに努めていた時期です。
解答用紙は診断レポートであり、環境分析からドメイン(あるべき姿)を描き、それに向かうような解決策を、自分が事例企業の社長に提案するものである。(また、診断レポートであるためどこかの設問で問題点を挙げたら別の設問で解決策を挙げなければならない)
【H20.2〜3】
※AAS流の考え方を踏まえた上で、自分なりの考えも出始めた時期です。
設問は事例企業を解決に導くための“道しるべ”。自分はまだ診断士ではないので1人だけで解決に導くのはまだ無理。そこで先輩診断士が横に付いて「事例企業の強みは何なの?」「じゃあ、その部分どうすればいいの?」と質問してくれて、その誘導に従い答えていったら最終的に解答用紙が1枚の診断レポートになっていたというイメージ。
【H20.4〜5】
※しかく塾への通学が困難となり自宅で過去問を繰り返し解いていた時期です。
社長に対峙する主体が自分から先輩診断士に変わり、見習いである自分が、先輩から「今日一緒に付いてきてもらった企業こんな感じだったけど、この部分についてどう考える?」などと質問を投げかけられ、それに答えていく形で診断レポート(解答用紙)を作成し、それが先輩診断士(=採点者)から認められれば見習い合格(筆記試験合格)というイメージ。
(→なので先輩診断士(=採点者)の意図した解答を答えなければならない)
【H20.5〜6】
※解釈が確立した時期です。この解釈が私の結論で試験本番まで信じきりました。
2次筆記試験を“試験”と割り切りました。これまでは与件文を読みながら事例企業や社長の状況を思い浮かべていたのですが、“問題用紙”と向き合うようにしました。対峙するのは社長ではなく“出題者=採点者”と考え、どのような答えを出題者は想定しているのかに着目することとしました。例えば、「ここにこの文章を入れてくるということは、この文章から答えを導けと言っているのだな。この文章は制約条件として入れていて、ここを越える内容は×ですよと言っているのだな」又は「この出題者は著書のスモールビジネス・マーケティングでこう言っていたから、この文章はこちらの方向への誘導だな」などと、出題者の意図を探る読み方をするようにしました。
このように解釈した経緯としましては、「@試験なのだから点数を付けなければならない→A点数を付けるためには○×の基準を作らなければならない→B基準を作るためにはその根拠となるものを与件文・設問文に入れ込まなければならない」、また「大勢の人の採点をする中で、採点者はいちいちこのストーリーもいけるな、こっちもこっちで理にかなっているな、などとは考えないのではないか」、と考えたからです。このような考えから、ある程度の幅はあるにせよ出題者の想定する模範解答はあり、それにより近い解答を書いていくことが高得点に繋がるのではと結論付けました。
■ 試験当日
前日はそれ程勉強せず早く就寝しましたので、朝6時過ぎには自然と目が覚めました。診断士2次筆記試験はその時のコンディションにより軽く20点〜30点は変わってしまう試験ですので、朝食には頭の働きに良いとされる糖分をバナナ等で摂取し、鞄には休憩時間用のチョコレート、ポカリスウェット、栄養ドリンクを準備しました。以前どこかで見聞きした言葉で「練習は本番のように、本番は練習のように」という言葉が思い出され、自分の持っている力の100%ではなく80%の力が発揮できればあの独特な雰囲気の中では合格点だろうと考え、「がんばってね〜」との妻の送り出しの声に「まぁ普通にやってくるよ」と返答し家を後にしました。
試験場に着いた際は、去年経験していることもありそれ程変な緊張はしませんでしたが、事例Tが始まる直前にはさすがに緊張してきました。
事例Tがスタートし与件文を読み始めましたが、緊張のためか、「ンンッ?読んでいても全然頭に入っていかないぞ?」という去年には無かった感覚に陥りました。一瞬「今年も周囲に不合格報告をすることになるのか?!」という思いも頭をよぎったのですが、一旦間を置き、「受かっても落ちても今日で勉強漬けの生活は終わる、できるだけのことをしよう」と思い直し、その後は何とか時間内に仕上げることができました。やはり、「80%くらいの力で〜」とリラックスして考えていた方が自分の力を出せるものだと感じました。
その後の事例U・事例Vは何とか対応でき、去年の傾向から「まぁ時間余るだろうからゆっくり落ち着いてやろう」と思っていた事例Wについても、冷や汗をかくこととなりましたが、何とか大崩は回避することができました。
余談になりますが、私の左隣に10秒に1度「プッ」と言う親父さんがいて非常にペースを崩されました。さらに、1次試験の時には、同じく左隣に試験時間中も休憩時間も終始「貧乏ゆすり」をする親父さんがおり集中できませんでした(特に集中力が要求される財務・会計の時は左腕で隠し視界に入らないようにしました)。試験本番では予期せぬことも起こる可能性があります。対策の立てようはありませんが、予め考慮しておいた方が良いかもしれません。
■ おわりに
2次筆記試験は「自分に合った解法を確立し、それをブラッシュアップし、最後まで信じきる」ことが合格に繋がるのだと思います。長い受験生活の中で、自分の勉強方法について不安になったり、思うように勉強時間が確保できない等、数々の困難はあろうかと思いますが、是非それらを乗り越え合格の栄冠を勝ち取っていただきたいと思います。
最後になりますが、娘が生まれ大変な中で協力してくれた妻、ご指導下さった石原先生・渡辺先生、ご協力いただき相談にのって下さった受験仲間のFさん・Sさん、ご理解いただきました職場の方々に感謝申し上げ、結びとさせていただきます。 |