●受験歴
1次 4回 2次 6回
●はじめに
昨年、長かった受験勉強をやっと終了させることができました。受験歴を見ていただくと分かりますが、中小企業診断士試験を初めて受験したのが新制度初回の平成13年度試験からです。学習をスタートさせたのが平成12年度の10月からで、某大手受験校の通学コースに通うことから始めました。
1次は全てクリアしたのですが、2次は過去5回とも失敗で、いわゆる多年度受験生となってしまいました。資格試験はストレート合格するのが最大の成功です。長引けばお金もかかりますし、何よりも貴重な時間を無駄にします。資格試験は取得することが大切ではなく、取得した後どうするかが大切です。そのためにも、サッサと受験勉強にはキリをつけるべきです。
これから診断士を目指す方々が、私と同じ失敗をしないように、少しでもこの合格体験記が参考になれば幸いです。
●失敗するは我にあり
5回も失敗するには訳があります。この6年間の学習を通じて痛感したのは、合格と不合格を分けるのは本当に紙一重の差だということです。診断士試験の勉強を2〜3年して1次に合格する力があれば、2次試験での実力差はそれ程ないと思います。2次の答練や模試の順位が上位の人が必ずしも合格しないのは、これが原因の一つではないかと私は考えています。ただ、注意していただきたいは、紙一重の差を運不運で考えてはいけないということです。
失敗の原因は必ず自分自身の中にあります。それに気付き克服(気付くだけではダメ)できたから、今回私は合格できたと考えています。
私は昨年学習を再開するに当たって、結構『資格本』いうのを読み漁りました。どうしたら合格できるのかを真剣に考えるうちに、診断士という枠を超えて、会計士や司法書士などの超難関といわれる資格試験のカリスマ講師などが書いた本なども読みました。大変参考になるので、学習をスタートもしくは再開する前に、一度目を通して見るのも良いかと思います。
そこで参考になったことの一つが、落ちたらどうしようと不安に思うことは、資格試験の学習においてはご法度だということです。不安があると、勉強が手につかず、その瞬間、遊んでいるのと同じ状況になります。また、不安は、余計な勉強へと心を向かわせます。一つの本だけでは心配なので、1冊を読み込む前に、もう一冊もう一冊と手を出し、試験では役に立たない曖昧な知識を量産します。一つの事例だけでは心配なので、もう1事例もう1事例と手を出し、確固たる事例の解法を身に付けられず、試験で慌てることになります。皆様も心当たりはありませんか?私も不合格を繰り返しているときは、直前期に新たな講座を受講したり、模試を受けまくったりしていました。順位や点数が悪ければますます慌て、更に不安になり余計なことに手を出していたと思います。
では、どうすれば不安を払拭できるのかというと、一瞬一瞬を勉強に徹することだそうです。合格だけを考えて、そのために全力を尽くしたという満足感があれば不安は消滅します。このことを、「人事を尽くして天命を待つ」と表現するのだそうです。そのためには、試験勉強を再開する最初の時期に、自分は何をなすべきかを徹底的に考え、自分に必要なことを見極め、学習すべきことを絞りに絞る必要があります。一年という時間は長いようで意外と短いものです。本試験という極限状況の中で本当に役に立つ知識や解法を身に付けるためには、あまりに多くのことに手を出している暇はありません。
私は、昨年再度受験すると決めてから、12月から1月にかけて『資格本』を読み漁るとともに、毎日毎日の通勤の行き帰りに「何故落ちたのか?」を繰り返し考え原因を整理していました。自分の傷に塩を塗るような非常に苦しい時間でしたが、一度以上不合格になられた方は、この作業を徹底的に行ってください。周りにベンチマークとなる合格者がいれば、その方の話しをよく聴いて、徹底的に違いを追求してください。私にも、アドバイスや、時には厳しい意見を述べてくれる合格者となった学習仲間がいました。
その結果、試験直前1週間前になっても驚くほど落ち着いており、試験当日も淡々と試験を受けることができました。試験後に財務の第4問ができていないと分かっても全く気になりませんでした。自分は1年弱の期間、第4問ではなく第2問のキャッシュフロー計算など、過去に何度も出題されている基礎・基本の問題を正解するための学習を繰り返してきて、それが達成できたという満足感があったからです。失敗の原因は必ず自分自身の中にあります。できるだけ早くそれに気付いて克服することができれば必ず合格できます。
●1次・2次別の学習について
『資格本』で参考になったもう一つに、試験の性質に合わせた学習方法が必要だということがあります。試験の性質は、実務試験と教養試験と大きく2つに分かれるそうです。一般に資格試験は、司法書士、税理士、社会保険労務士など、実務試験だそうです。診断士ももちろん実務試験です。ただ、1次試験は診断士の実務の範囲を超えて、他の領域も含まれているので教養試験的であると思います。
教養試験は、広く浅く過去の出題傾向だけを学習すれば良いそうですが、実務試験は細かく深く正確に学習する必要があるそうです。実務試験は、実務に関係する知識を出題するという歯止めがかかるけど、教養試験は実務に無関係なので出題範囲の歯止めがかからないからだそうです。
ですから、この辺を意識せずに1次の延長で2次の対策を考えると失敗すると思います。知識の詰め込みや事例解法パターンの詰め込みだけでは太刀打ちできないと思います。
●1次試験対策
1次については、広く浅く過去の頻出分野を中心に、試験委員の傾向を分析して出題範囲を想定し、その範囲を繰り返し学習すれば大丈夫だと思います。ただ、これを受験生がやる必要はなく、受験校に情報提供は任せておけば良いと思います。受験校を賢く利用して、できるだけ効率的に1次をパスするようにしてください。その上で、過去問を繰り返し演習しておけば大丈夫だと思います。いくつもの受験校の答練や模試を受けまくるより、できるだけ多くの過去問に触れておくべきだと思います。
特に、財務・会計は、全年度分学習しておくことをお薦めいたします。1次をパスするという方も、財務・会計だけはご自身で解いて、解答・解説集などでしっかりと理解しておいてください。理由は、2次の事例Wとの関連性が非常に高いからです。財務の1・2次の過去問を詳細に見比べていただければ分かりますが、1次の知識がベースとなり、2次の計算問題や論述問題が作問されています。直近の例(平成18年度)でいいますと、1次の第10問がベースとなり、2次の第3問(設問1)の計算問題があります。
余談ですが、財務系資格試験の問題集などでは、限界利益と貢献利益を同じものとして扱っているものもあるので、診断士試験ではどうかという点を把握するためにも、1次の財務過去問をしっかり勉強してください。
●2次試験対策
2次事例の解法は、各受験校で様々なものが提示されています。どれが優れているかという客観的な基準はないと思います。ですから、各自が自分に合うか合わないかを判断して自分で決めるしかないと思います。そして、何より重要なことは、自分の道具として「使いこなせる」ようになることだと思います。そのためには、1つ1つの事例をよく復習して、道具の使い方のどこが悪かったかを把握して、絶えずブラッシュアップしていく必要があると思います。私の場合、勉強仲間から教えてもらったのですが、1事例ごとに「間違いノート」というものを作成していました。何を間違えたではなく、何故間違えたのか分析してノートにまとめたものです。例えば、「題意の把握」「設問間の関連の把握」「真因遡及力」に問題があったから間違えたのだ、では、何故「題意の把握」に問題が発生したのか?それを更に分析していきノートにまとめるのです。非常に時間がかかりますが、普遍的な事例解法の力がつくと思います。1つの事例を解いて、模範解答・解説を読んで、マーカーを引いて、フンフンなるほどという数をこなす復習の方法では本当の力は身に付かないと思います。
また、2次試験を何回も失敗している人は、同じ過ちを何回も繰り返していると思います。これは、私の勉強仲間で、先に診断士試験に合格された方が必ずおっしゃることです。私もそうだと思います。私の場合は、「タイムマネジメント」が合格を阻害する最大要因であると考えました。過去の本試験を振り返ってみると、試験5分前になっても100字程度の設問がまるまる空白で残り、慌てて書きなぐり満足に見直す余裕もない状況で試験を終えていました。ですから、「全事例を5分前に全て書き上げ、残り5分で見直している状況で本試験を終えること。」が合格するための必須要件であると考えました。
ただ、5分前に終われないというのは一番表面の事象です。その事象を引き起こす要因をさらに因果関係も踏まえて追求して課題設定し、それを克服することだけに絞って学習プランを立てて実行してきました。先にも書きましたが、受験勉強を再開する最初の時期にそれを行い、本試験までそのことに集中しました。
それと、2次試験で重要なことに過去問を徹底的に分析することがあります。事例の解法と同様、これも受験校ごとに様々な模範解答・解説集があり、過去問分析講座が開講されたりしています。よく分析されていると思いますが、出題者でない他人の目を通して見るものなので、どうしてもバイアスがかかってしまうと思います。ですから、それらを参考にしながらも自分自身で繰り返し事例を解き、ポイントを整理しておく必要があります。私の場合、自主的な勉強会中心の学習だったので、2次学習のベースは過去問であり、特に直前1か月は過去問だけに集中しました。そして、最後の1週間で、全事例共通のポイントと各事例のポイントを整理し表にしたものをまとめました。
●最後に
6年間も勉強を継続するには、家族の理解が不可欠でした。時々文句は言いながらも、暖かく見守り続けてくれた妻には大変感謝しております。また、モチベーションを維持できたのは、AASの石原先生をはじめ、時には厳しく時には暖かくご指導いただいた講師の方々のお陰だと思います。そして何より、切磋琢磨しあった勉強仲間がいたからです。私は最初の3年間は、某受験校の通学講座に通いました。その後の3年間は、通学講座で知り合った仲間とのグループワークを中心に勉強を続けました。(今回AASに合格体験記を掲載されている福嶋さんは私の学習仲間です。)彼らとの出会いがなければ私の合格はなかったと思います。皆様も、ぜひ素敵な仲間と出会い、お互いに切磋琢磨しあって、合格という栄冠を勝ち取ってください。
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