第1問 中小企業診断士 石原真一
常に採点者志向の答案を作成する
ほとんどの答案が与件情報を特定して答案を作成できている設問でした。では、なぜ、得点差がついてしまうのでしょうか? 常に出題者の意図を踏まえ、採点者志向の答案を作成することを心がけることが高得点につながるのではないでしょうか。「わかった」と判断した設問ほど、3つの基本を大切にして答案を作成しましょう。3つの基本とは、@主述の関係は設問から導き問われていることにしっかりと答えること、A与件のキーワードを活用し客観性を高めること、B因果関係で文章構成し論理性を高めること、です。
第2問 中小企業診断士 石原真一
何らかの切り口を設定すること
重複している答案や思いつきであげている答案が多いように思われます。何らかの理由や意味があるから「2つ」が問われているのです。「なぜ2つなのか?」を常に考える癖をつけてください。つまり、MECE(もれなくだぶりなく)の視点を常に思考プロセスの中に活用していくことです。外部と内部、質と量、ハードとソフト、効果と効率、メリットとデメリット、などのように、対立している概念もうまく活用してみてください。今回の採点においても、やはり、何らかの切り口を設定したと思われる答案は、その内容だけではなく、全体の一貫性や整合性を踏まえて作成していたり、語尾を「・・点」や「・・こと」などのように統一してよみやすさを意識して作成したりできています。きっと答案作成する際に、切り口を設定することによって、気持ちの余裕が生まれてくるからだと思います。ぜひ、複数個の場合はMECEの視点を忘れずに!
第3問 中小企業診断士 国谷昭仁
全体戦略は環境分析から導きましょう!
A社が検討している新規事業の是非をその理由とともに問われた設問でした。今後のA社の方向性(全体戦略)を示すことになります。全体戦略を提案する際には、環境分析から、この設問ではSWOT分析から導くのが基本です。つまり、『強み』を活かし『機会』を捉えていくことを「理由」として解答してほしかったです。
今回の皆さんの解答では、理由として『強み』だけを羅列しているものも多く見受けられましたが、『強み』だけで戦略を立案することはできません。また、『脅威』を挙げている解答もありましたが、大手旅行会社との取引(『機会』)を増やせれば、その結果として官公庁への依存度(『脅威』)が下がることになります。具体的な競合相手との競争などが与件に書かれていれば、『強み』を活かし、その競争(『脅威』)を回避できる、という理由も考えられますが、今回の事例ではあてはまりません。
過去の本試験においても、戦略レベルの設問で理由を答えさせるパターンが何度も出題されています。基本的な思考パターンをぜひ身につけてください。
第4問(設問1) 中小企業診断士 国谷昭仁
一次知識はあくまでも解答のヒント、制約条件を意識した解答を!
A社の現在の組織構造(=機能別組織)のデメリットが問われていました。機能別組織のメリット、デメリットは一次試験の基本知識ですが、この設問では「A社が事業構造を変革していく上で」のデメリットを解答しなければ得点になりません。つまり第3問で解答した「今後のA社の方向性=新規事業に取り組む上で」のデメリットを解答することが必要です。
一次知識の機能別組織のデメリットを思い浮かべつつ、与件文をチェックしていくと制約条件に合致したデメリットを一つ(部門間の調整に時間がかかり、迅速な意思決定ができない)は見つけられたと思います。一方、解答例のもう一つのデメリットは、かなり難しかったと思います。こういう時でも、MECEを使って考えてみる(「時間と空間」の切り口)、(設問2)で解答する組織構造の特徴(メリット)から逆に考えてみる等、諦めずに制約条件に合致した妥当性の高い解答を導き出してください。
第4問(設問2)中小企業診断士 国谷昭仁
A社=経営資源の限られた中小企業に合った解答を!
A社が今後採用すべき組織構造をその理由とともに問われた設問です。この設問も「A社が事業構造を変革していく上で」が制約条件になっています。つまり(設問1)で指摘した現在の組織構造が持つデメリットを克服できる組織構造を解答しなければなりません。
今回、皆さんの中には『事業部制組織』を挙げている方が何人かいらっしゃいました。確かにA社の現在の組織構造のデメリットを克服できる内容が理由にも挙げられており、妥当性があるように思われますが、A社は従業員数15名の会社です。このような小規模な会社で経営資源が各部門で重複する事業部制組織が機能するでしょうか?A社の経営資源を考えた場合、新規事業が順調に軌道に乗るまでプロジェクト・チームのような動態的な組織で対応する方が妥当性は高いと判断できます。「事例企業の身の丈に合った提案をする」ことも解答の制約条件だと考えてください。
第5問 中小企業診断士 石原真一
なぜ、若手社員の不満 を解消しモラールを向上させるのか
どうしても一般論になってしまっている答案が目立ちました。おそらく「どのような人事制度を構築すべきか」だけに着眼してしまい「A社の若手社員の不満を解消しモラールを向上させるために」や「具体的に」などをしっかりと踏まえた答案作成ができていないからだと思われます。
多くの方が、与件情報から「なぜ、A社は若手社員の不満持っているのか」を問題点として認識できる箇所を特定し、その問題点に対して、人事制度によって解決することを答案で作成していくこと思われます。
その際に、なぜ、問題点として認識したのか?をしっかり踏まえると他の設問との一貫性を図る必要性が意識できるはずです。結果として、第3問との一貫性をとっていないと一般論として伝わってしまいます。
次に、「具体的に」をしっかり踏まえると、人事制度の具体的な内容をあげる必要性が意識できるはずです。結果として、A社にあった具体性のある人事制度が提案できていることになります。
モラールや能力などの切り口も大切ですが、A社にあった提案を行うためにはしっかりと設問の制約条件をどう答案の中で表現するかもセットで考えてみてください。 |