第1問 中小企業診断士 鈴木靖之
第1問は配点が高く他の設問との相関性も高いので、多面的に検証すること。
今回、利益率の経営指標を、「売上高対営業利益率」とした人と「売上高総利益率」とした人に大きく二つに分かれました。正解は前者ですが、後者とした人は、「旅費などの負担増加要因」を見落としたか、利益段階の認識を見誤った人です。第1問は配点が高く、他の設問との相関性も高いので、ちょっとしたミスが芋づる式に大きく膨らみます。解答を多面的に検証してください。
次に文章のロジックについて説明します。文章は、「問題点は、理由により、結論である。」というロジックで記述してください。60字の論述問題は段落を区切らずに、このように一文で記述してください。なお、100字の論述の場合は、「問題点は、結論である。理由は、理由である。」という具合に結論+理由のロジックで記述してください。
次に結論の表現方法です。利益率の場合は「収益性が低い(低下した)点である。」、回転率の場合は「資産効率が悪い(悪化した)点である。」となります。「低い(悪い)」と「低下(悪化)」の使い分けにも注意が必要です。「低い(悪い)」は絶対水準、「低下(悪化)」は時系列比較した場合に使用します。
次に理由の表現方法です。理由は、原則として与件文より引用します(60字の問題では30〜40字程度)。与件文はあまり加工せずに、なるべくそのままの表現を使用してください。今回の「売上高対営業利益率」の場合は、売上高要因、売上原価要因、販管費及び一般管理費要因を必ず盛り込んでください。
第2問(設問1) 中小企業診断士 渡邊宏泰
ケアレスミスを無くしましょう!
キャッシュフロー計算書を作成する設問でした。キャッシュフロー計算書は、他の受験生も皆しっかり勉強して本番に臨むと思われます。負けないように本番では満点を目指してください。今回満点を取れた方は1人だけでした。概念は理解しているのにケアレスミスをしていたり、項目欄に空欄を作ってしまったりして、点数が加点されなかった方が多く見受けられました。当たり前ですが、これらの方は今後意識してミスをなくし、空欄を作らないようにすれば、すぐに満点近い点数が取れます。次回からはミスをしないよう正確に作成するようにしてください。
キャッシュフロー計算書は、繰り返し練習を!
まだまだキャッシュフロー計算書の理解が不足しているなと思わせる方も、少数ですがおられました。でも、悲観する必要はありません。これから勉強し、練習すれば、すぐに出来るようになります。過去問やアウトプットで出題されたものは、ほぼ完璧に出来るようにしてください。
第2問(設問2) 中小企業診断士 渡辺勝
頻出パターンは得点源に
本試験において、「キャッシュフローの状況(もしくは状態)」は、平成13年度、平成14年度、平成18年度と多年度にわたり問われている設問です。ということは、頻出テーマであり、今年度も含め今後も問われる可能性は十分にあります。ゆえに本問は過去問と合わせてしっかり復習しておく必要があります。
「キャッシュフローの状況」が問われた場合の解答パターンは、“結論+理由”になります。これまでの本試験を見ると、キャッシュフローを計算させた上で、その計算結果に基づいて分析させる設問となっています。ということは、計算結果に対しての判断を求められているということです。つまり、結論部分でまず端的に判断結果(良い、悪い、厳しいなど)を述べた上で、なぜそう判断したのか理由を具体的に示す必要があります。理由を述べる上でのポイントは、単に数値を並べるだけでなく因果関係(〜により…となったためetc.)と真因をきちんと述べるということです。解答例を参考に解答パターンをマスターして、ぜひ得点源にしていってください。
日本語は正しく使ってください
少し細かい点となりますが、「悪い」と「悪化(傾向)」は全く意味が異なります。「悪い」というのは一時点(単年度)の状態を表す言葉であり、「悪化(傾向)」というのは複数年を比較して時系列での状況を表す言葉です。本設問の場合、平成19年度のキャッシュフローの状況を問われているので、「悪化(傾向)」ではなく「悪い」と書かなければ、厳密にいえば正解とはなりません。くれぐれも気を付けてください。
第3問(設問1) 中小企業診断士 渡辺勝
細部まで丁寧に解答してください
D社のフリーキャッシュフローを算出する設問でした。同様の問題が平成16年度第3問で出題されています。第2問と同様、過去問で問われている以上、計算ができなかった受講生の方はしっかり復習しておいてください。
計算ができれば簡単な設問ですが、最後まで油断しないでください。今回の答案の中に、「14」(数値のみ)、「14百万」と書かれているものがありました。善意で解釈すれば正解とできますが、採点者側に判断(解釈)を委ねることとなってしまいます。せっかく計算できたのであれば、採点者に有無を言わせず得点できるよう万全の解答を目指してください。
第3問(設問2) 中小企業診断士 渡辺勝
問われたことに問われたように
設問1ができればさほど難しくない設問であると思われましたが、得点にばらつきが出た設問でした。まず、本問は「妥当な金額かどうか」と判断を求められています。さらに、本設問は理由と合わせて60字で書かなければなりません。結論の妥当性を高めるには、結論を端的に(この場合であれば「妥当である」もしくは「妥当ない」)述べ、理由をきちんと明解かつコンパクトに述べる必要があります。
得点できなかった受講生の答案は、@理由を書かなくてはいけないところを「具体的には」と具体的内容を書いている、A金額が妥当であるかを聞かれているにも関わらず、理由の部分で与件文を引用して書いてしまっている、ものでした。@については、基本中の基本のところなので、解答骨子を作成するときなどに事前に確認するしか解決策はありません。Aに関しては、企業価値と買収案の金額を比較して買収案の金額が妥当かどうか判断する設問であるため、「妥当でない」と判断するならば企業価値と比較して買収案の金額が高いことが理由となるはずです。これ以外に明確な根拠はないはずです。にも関わらず、理由を与件文から引用して買収自体の受け入れ可否を述べてしまっている答案がありました。@およびAに共通する点は、「問われたように問われたように」解答していないという点です。字数が少ないが故に、問われたことに問われたようにかつ愚直に解答することが肝要だということを痛感させられる設問でした。
第4問(設問1) 中小企業診断士 杉本茂樹
財務事例も一貫性
「事例W」では、財務諸表と与件から「定量的」かつ「定性的」に問題点を明確にし、解決の方策についても「定量的なアプローチ」と「定性的なアプローチ」が求められてきます。
第一問であげた問題点を解決するために、設問1で「強み」「機会」の切り口から定性的なアプローチを、設問2では「収益性」「回転率」の切り口から定量的なアプローチを行うことで、与件を論理的に整理し説得力を高めてください。
また、論述問題に取り組む時間を確保するためにも、頻出の計算問題(財務分析、CF、直接原価計算、設備投資の経済性計算など)の学習には慣れておくようにしてください。
第4問(設問2) 大槻頼克
経営分析で明らかになった問題の改善を常に意識して下さい!
大変難しい問題でした。「設問1での取組みを行っていくに当たって」という制約条件があったため、設問1に対する留意点だけを解答している方が多数いました。財務・会計の問題は各設問の独立性が強く設問間の一貫性を忘れがちになります。しかし、本試験の事例問題を分析すると、@経営分析でD社の問題点を明らかにする、A各設問を解答することによってD社の問題点を改善する、という一貫した方向性が要求されています。
ここでは、設問1で企業から直接の受注を受けることで取引条件を改善し、収益性を高めて営業利益率を改善する視点と、営業体制の強化により売上債権回収サイトを改善する視点から、D社の問題点を克服するのです。 |